18-甲: こちらい-18-甲、司令部応答願う。
HQ: こちら司令部。無線受信を確認。感度良好。状況を説明せよ。
18-甲: 了解。我々は現在外殻部を抜け洞窟を通過し、停泊可能な水域を発見した。水上には空気が確認できる。簡易検査の結果成分はやや窒素が多いが人体に無害。これより潜水艇から脱しSCP-477-JPへ進入を開始する。
HQ: 確認。探査に着手されたし。
(約30分間の作業後、隊員全員が洞窟内に進入した)
18-甲: 全隊員酸素供給を一時停止し装備ほに換装。外気とのフィルターを作動させろ。
(換装作業のため数分間沈黙)
18-甲: 全員換装は済んだな?先住民がいるかもしれん。念のため携行武装はいつでも使用可能な状態にしておけ。
(部隊は約5分洞窟を進んだ時点で、突如光が差し込む。部隊は巨大な空洞へと出た。空洞内にはスロープ状の構造が内周に沿って構築されており、地下へと続いている。中心は吹き抜けとなっており最下部は確認できない。壁には不明な光源が約10m間隔で設置されている)
18-甲: 司令部聞こえるか、空洞に下り坂だ。地下深くまで続いている。空洞の向こう側までは約80mといったところか。我々が通った所以外の洞窟とも繋がっているらしい。これより地下へ進入する。
HQ: 確認。注意して進め。
18-己: 驚きましたな。この空洞は砂岩を掘って作られたようです。
18-戊: ああ。どうやらここの住民は多少知恵があるようだ。ご丁寧に段差までついてるぞ。
18-丙: 一度転んだらそのまま一番下までまっしぐら、という心配はないですね。
18-乙: 一応注意しておくが転ぶなよ。もし装備を損失したら生きて地上に戻れるとは限らんぞ。
18-甲: その通りだ。くれぐれも足元に注意してくれ。
(部隊はスロープを下り、地下へと進行する。途中、瓦礫の堆積群を発見)
18-丁: これを見て下さい。
(丁が堆積群の中から何かを拾い上げる。この時丁が拾い上げた物品は後にSCP-477-2の前腕より先の骨格と判明した)
18-甲: 骨だな。人間のものか?
18-丁: 大きさからすれば成人の手の骨だと思われますが、末端部が異常です。資料として採取しておきましょう。
18-戊: 今夜は悪い夢を見れそうだ。
18-丙: 果たしてここの住民は我々を快く歓迎してくれますかね?
18-甲: それを知るために我々が探査を行っているんだ。そろそろ行くぞ。
(部隊は更に地下へと進行。海底から██mの地点に到達。司令部の音声受信装置に金属音が受信される)
18-甲: 全員止まれ。司令部、今の音を確認したか?
HQ: 確認した。警戒を怠るな。
18-甲: 全隊員装備を確認、安全装置は外しておけ。戊、この先を偵察してきてくれ。
(戊が先行し地下へと進行。他の隊員はその場で待機。数分後、司令部の映像機器に戊のカメラから送信された金属製の建造群の映像が映し出される)
HQ: 18-戊の送信から建造物を確認。直ちに合流されたし。
18-甲: 了解。戊はその場で待機しろ。今すぐそちらへ向かう。
(数分後、部隊は戊と合流。映像に空洞が突如開け広大な空間となっている様子が映し出された。空間内には多数の建造群及び光源が確認され、都市状に形成されていることが分かる。スロープは壁伝いに都市へと続いている。音声記録からは時折金属音が確認された)
18-乙: 何と……。
18-戊: さながら工業都市と言ったところだな。建物はトタンやコンクリートで作られているようだ。
18-甲: 第一目標は達成だ。丁はここで司令部及び全隊員との通信を維持してくれ。他の隊員は各自探査を行う。10分おきの定時連絡の他、注目すべき物品を発見した場合は直ちに連絡を取る事。30分後に再びここに集合する。
(各隊員により建造群の探査が開始される。探査開始から8分後、突如18-乙との通信が途絶する)
HQ: 18応答願う。乙との通信が途絶。確認されたし。
18-甲: こちら18-甲、特に異常は見られない。丁、乙との通信状況はどうなっている?
18-丁: こちら18-丁、現在乙との通信回復を試みていますが原因が……
(丙のカメラに人型の実体が2体映り込む。これらは後にSCP-477-JP-2に指定される。実体は丙に向け何かを投擲する)
18-丙: ぐわあっ!
18-戊: どうした!?
18-甲: 丙!何があった!
18-丙: 来るな![呻き声]この野郎!
(丙が発砲。映像によれば銃弾は実体に命中したものの損傷は見られない。実体は射撃を続ける丙へと近づき、映像が飽和した時点で丙との通信が途絶する)
HQ: 18-甲、直ちに部隊を引き上げよ。丙との通信が途絶した。
18-甲: 全隊員集合地点へ戻れ!これより帰還作業を行う!
18-戊: 待てよ!丙はどうするんだ!?
18-己: 何がありました!?こちらは―
(己が転倒。映像にはSCP-477-JP-2実体が建造物上部から己に飛び掛り赤褐色の粘液を浴びせかける様子が映る。その後、己との通信は途絶)
18-甲: 己!応答しろ!無事か!?
18-戊: [編集済]!
18-丁: 隊長!こちらです!現在通信が途絶しているのは乙・丙・己の三名です。
18-甲: 戊、直ちに集合地点に戻れ!これ以上は危険だ!
18-戊: 丙は……己と乙はどうするんだ!?
18-甲: 一度戻ってからだ!戊、司令部からの命令だ!戻れ!
(以降戊は甲の呼びかけに応答せず、甲・丁のみで地上へと帰還する事となる。帰還作業中に戊との通信が途絶した。その後約2時間の間、断片的に戊からの音声通信が回復。依然呼びかけには応じず)
18-戊: 畜生、スーツが[不明瞭]
18-戊: 骨だ。骨で出来ている。
18-戊: 司令部応答願う、誰か……クソッ。
18-戊: 水だ!
18-戊: [爆発音][銃声]
18-戊: 己の装備を回収した。己は……見当たらない。これを聞いてる奴誰でもいい、誰か。
18-戊: 血が止まらねえ。こんな所[不明瞭]
18-戊: クソ、誰でもいい、応答してくれ!こちら018-戊、現在進入部より[不明瞭]にいる。遊園地だ、海底に……俺はどうかしちまったのか?遊園地のような建造群が見える。異常な実体が[不明瞭]
18-戊: [笑い声]
18-戊: 忌まわしき[不明瞭]の子よ。幾度我らを苛むか。幾度我らの静寂を侵すか。呪われて有れかし。
(探査から2日後、突如18-乙からの映像通信が回復した。映像は約10分程続き、建設物内部へと進入する様子が映し出されている。視点は廊下を進み、やがて複数のSCP-477-JP-2実体が集合している一室へ辿り付いた。室内には異形の偶像が立っており、中央には台が見える。実体は台の上に仰向けとなった18-丙を囲み、丙の口に赤褐色の液体を流し込む。丙に反応はなし。その後丙の腹部を[編集済]した時点で通信が途絶した)
付記: 探査から3日後、SCP-477-JP海上にて突如SCP-477-JP-1が発生、これまで観測された中でも最大の規模に達し周辺海域を航行中の船舶に対し甚大な被害を及ぼす。この際、当該海域に不明な船舶(後に蒐集院が保有する物と判明)が3隻出現、財団による封鎖を突破し船上にて乗組員が祝詞奏上プロトコルを執り行う。プロトコル開始から5時間後にSCP-477-JP-1は沈静化する。船舶の追跡及び確保は蒐集院からの妨害を受け失敗した。この事件を受けSCP-477-JP内の探査計画は打ち切られる。探査により行方不明となった機動部隊隊員はKIAとして処理された。