SCP-630-JP
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SCP-630-JP

アイテム番号: SCP-630-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-630-JPはサイト8181の収容ロッカーに保管されています。実験を行う際にはBクラス以上の職員の承認が必要となります。

説明: SCP-630-JPは███社製のCD-Rディスクで、レーベル面に油性マーカーで「ラジオ体操スペシャル」と記入されています。ディスクの材質及び書かれた文字には分析の結果異常は見られませんでした。ディスク内にはCD-DA(音楽CD)形式で1トラック、6分40秒の音声データが収録されており、後述の異常特性を発揮する条件下にない場合は「ラジオ体操第一」および「ラジオ体操第二」が続けて再生されます。また、CDの複製、トラックデータのコピー、録音内容の別媒体へのダビングなどを行った場合、複製先の媒体は異常性を持たない事が判明しています。

SCP-630-JPが異常特性を発揮するのは、任意の再生機器によるトラック1の再生時に「通常のラジオ体操に必要な四肢・腰などの運動を支障なくこなせる状態の人間(以下対象者とする)」が、再生された音声の可聴範囲にいる場合です。この状況でも、前奏および最初の「のびの運動」の後半までは正常に再生されますが、2番目の体操の指示が始まった段階で機器の操作(再生の停止や早送り、巻き戻し、音量変更など)を一切受け付けなくなり、機器の通電を断っても未知の手段により再生が継続されます。2番目以降の体操の指示は、通常のラジオ体操第一、および第二内で行われる各体操の指示から単語を抜き出し継ぎ合わされたものになり、再生ごとに違う内容が生成されます。これは大抵の場合体操としては不自然なものとなり、人体構造上無理のある動きも含まれますが、対象者は自分の意思に関わらず指示通りの動きを強制的にさせられます。その結果、身体の損傷や意識消失により前述の条件に該当しなくなった場合、対象者はSCP-630-JPの影響から脱します。対象者の全員が影響を脱した場合、その時点でSCP-630-JPの再生は自動的に停止します。

SCP-630-JPの再生による体操の指示内容については「身体の致命的な損傷につながる動きを指示した例がまだないこと」「その一方で四肢の機能を損ない体操の中断につながる指示はほぼ確実に現れること」、さらに「指示内容に偶然とは考えにくい語句の偏りが多々含まれること」などから、完全な無作為ではなく(ある程度のランダム性を持ちつつも)何らかの基準に沿って生成されているものと推測されています。

SCP-630-JPは██県██町の町内会館で発見されました。会館前でラジオ体操を行った近隣住民18名全員が、肘関節や股関節の脱臼、上腕部骨折などにより搬送された事件が財団の注意を引き、その時使われていたCDラジカセから回収されました。SCP-630-JPを最初に発見した町内会役員は「会館の物置を整理中にこれを見つけ、試しに再生したところ普通のラジオ体操だったため利用する事にした」と述べています。この役員は慢性の腰痛を患っており、運動はほとんど出来ない状態だったためにSCP-630-JPの特性に気付かなかったと思われます。

実験記録001-1 - 20██/██/██
対象: D-630-JP-1、D-630-JP-2
備考: D-630-JP-1を配置した部屋に再生機器と集音マイクを設置、別室に配置したD-630-JP-2にマイクで拾った音声を聞かせる。
結果: D-630-JP-1、D-630-JP-2ともにSCP-630-JPの影響を受け体操を開始、4番目の「足を伸ばして正面で回し深くねじる運動」で D-630-JP-1はアキレス腱損傷、 D-630-JP-2は足首の骨折により中断。
分析: マイク越しでは特性は消えないようだ。

実験記録001-2 - 20██/██/██
対象: D-630-JP-3
備考: 実験記録001-1で再生された音声をICレコーダーに録音、その内容をD-630-JP-3に聞かせる。
結果: D-630-JP-3は影響を受けなかった。その際、異常な体操指示も含め、実験時の音声は全てそのまま録音されていた。
分析: 再生内容をライブで聞かせるのは駄目だが、録音なら大丈夫らしい。

実験記録002-1 - 20██/██/██
対象: D-630-JP-4
備考: 「運動可能」とみなされる条件についての検証。D-630-JP-4は両手を後ろ手に拘束した状態で配置。
結果: D-630-JP-4はSCP-630-JPの影響を受け体操を行い始め、3番目の体操の際に拘束された腕を強引に動かそうとして手首を骨折。SCP-630-JPの再生も停止。
分析: 体操が可能かどうかの判断に、外的要因は考慮されないようだな。

実験記録002-2 - 20██/██/██
対象: D-630-JP-5
備考: 「運動可能」とみなされる条件についての検証。D-630-JP-5は密閉された室内に配置、2番目の体操開始後に麻酔ガスを室内に注入し意識を失わせる。
結果: D-630-JP-5は体操の開始直後にガスを吸入し意識を失う。同時にSCP-630-JPの再生も停止。
分析: 原因が外部からの干渉であっても、対象者の身体状態の変化には反応するわけだ。とはいえ、負傷を未然に防ぐ手段としては使えないだろう。危険と気付いてからではまず間に合わん。

実験記録007-1 - 20██/██/██
対象: D-630-JP-12
備考: D-630-JP-12は元大道芸人で、間接外しや身体の柔軟さを活かした芸を得意としていた。
結果: 13番目の体操を終えた時点で「ラジオ体操第一」の曲が終了。続けて「ラジオ体操第二」が開始された。「第二」4番目の体操で強度の足関節外側靭帯損傷(捻挫)により中断。
分析: D-630-JP-12は「頼む、治ったらもう一度挑戦させてくれ!」と言っていた。やる気があるのはいい事だし、最後までいったらどうなるかの検証は確かに必要だが……「足を前後に反らす運動」で外側を6連発とか、クリアさせる気ないだろう、これ。

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