SCP-802-JP
評価: +122+x
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SCP-802-JP(センサー部の拡大)

アイテム番号: SCP-802-JP

オブジェクトクラス: Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-802-JPは現在収容されていません。回収された場合、隔離実験室に一時収容します。ただちに再稼働実験とオブジェクトクラス再評価実験を行って下さい。実験手順はSCP-802-JP再評価プロトコルに従います。

説明: SCP-802-JPはオフィス用コピー機に酷似した外見を持つ装置です。立体センサーで認識させた物体を複製し、側面にある22cm×15cmの開口部から出力します。開口部より大きな物体はセンサーが認識しません。液晶画面部分には数字のみが表示され、1回使用するごとに数字が1増加します。現在の数字は27です。複製される物品に特異性はありませんが、機能性などの点でオリジナルよりも大きく劣化しています。詳細は実験記録の抜粋を参照して下さい。

対象 結果 付記
未使用のUSBメモリ32GB 未使用のUSBメモリ4GBを出力。 メーカー名は同じでしたが、実在しない製品でした。生成物03と記録。後述の実験に使用。
[編集済]の書籍 同じ題名の書籍を出力。 社会学の古典的名著が、陰謀論と差別的偏見に満ちた内容に改竄されていました。生成物06と記録。焼却。
ビニール袋に封入された精米200g(コガネヒカリ) ビニール袋に封入された精米200gを出力。銘柄不明。 遺伝子解析と成分分析により、コガネヒカリの原種にあたるコシヒカリの古米と特定。生成物09と記録。焼却。
モルモットの生体 モルモットの死体を出力。 DNAはほぼ一致したが、幾つかの遺伝性疾患の因子を発見。生成物11と記録。焼却。
財団標準12mmショックブラスター(Defender Talon) 自動式9mm拳銃(SIG SAUER P220) 武装セキュリティの旧制式装備です。生成物17と記録。保管。

実験を繰り返す中で、不可解な結果が発生しました。下記の実験記録を参照して下さい。

実験記録022 - 日付2015/██/██

対象: 未使用のUSBメモリ32GB

実施方法: SCP-802-JPで複製。

結果: 未使用のUSBメモリ4GBを出力。方法・結果ともに生成物03の実験と全く同じです。
本来予定されていたのは生成物03を繰り返しSCP-802-JPでコピーし、劣化の進行度を確認する実験でした。予定と異なる実験が行われています。またオブジェクトの数字表示が27になっているのを確認。実験開始前は21でした。
オブジェクト周辺から未使用のUSBメモリ32GB 5個を回収。実験担当者によると予備とのことです。

分析: 表示されている数字が正確ならばSCP-802-JPは6回作動したことになり、因果関係としては生成物が6個出現していなくてはなりません。しかし現実にはそうなっていないため、因果関係が成立していないことになります。このためSCP-802-JPの故障、あるいは現実改変が発生した可能性が疑われます。検証のために、幾つかの実験が早急に必要です。

研究チームはさらなる実験を計画しましたが、実験022の後、SCP-802-JPは完全に作動しなくなりました。財団は様々な方法で分析と再稼働を試みましたが失敗し、2ヶ月後に全ての実験を終了。SCP-802-JPは回復不能なレベルで故障したものと結論づけられ、オブジェクトクラスはNeutralizedに変更されました。

補遺: オブジェクトクラス変更後、SCP-802-JPが消失しました。映像記録を参照して下さい。ただし以降の情報への接触には、セキュリティクリアランスレベル2が必要です。

映像記録 - 日付2015/██/██

<再生開始>

(初老の男性研究員が1人、保管庫でSCP-802-JPを調べている。IDカードの姓は"犀賀"と読める)

犀賀研究員: 多重複製で安全装置が作動してしまったのは誤算だったが……。

セキュリティ担当者: 誰だ!?

(巡回中のセキュリティ担当者が1名入ってくる。男性研究員はIDカードを提示)

犀賀研究員: 私だ。犀賀だよ。

セキュリティ担当者: ああ、犀賀博士。どうされたんですか?

犀賀研究員: こいつを搬出したいんだ。

セキュリティ担当者: Neutralizedオブジェクトをですか?

犀賀研究員: もうこの世界には必要のないものだからね。

セキュリティ担当者: 動かないガラクタですからね、ははは。

犀賀研究員: いやいや、ガラクタだなんてとんでもない。こいつを使えば、オリジナルとコピーが交換されたことに誰も気づかないのだよ。改良されたコピーの方を、ずっと前から存在しているオリジナルだと思い込んでしまうからね。まあ、もう終わった話だが。

セキュリティ担当者: そういうものですか……自分にはわかりかねます。許可書はお持ちですか?

犀賀研究員: これがオブジェクトの移動許可書だ。急ごう、次の予定が入っているのでね。

セキュリティ担当者: わかりました。すぐに手配します。

犀賀研究員: ありがとう。ところで君の郷里は長野だったね。

セキュリティ担当者: え? ああ、そうです。山奥も山奥ですよ。

犀賀研究員: うむ、良かった……たまには苦労も報われるものだな。

セキュリティ担当者: はあ……。

<再生終了>

終了報告書: この後、SCP-802-JPは消息不明になりました。取り付けられていたGPS発信機は異常な座標を示した直後に信号が途絶しました。通信は現在も回復していません。
財団に犀賀という名前の研究員は存在しません。セキュリティ担当者はインタビューに対し、「なぜか彼と旧知の間柄だと思い込んでいた」と答えました。SCP-802-JPは完全停止していたため、これは画像の人物の特異性によるものと考えられます。追跡と調査を継続中です。

この人物の発言が事実なら、実験022で使用されたUSBメモリ32GBと回収された予備のUSBメモリ32GB 5個は、いずれもSCP-802-JPの本来の生成物です。生成物と考えられていたUSBメモリ4GBはオリジナルであり、これを使って6回複製したことになります。この仮説は実験結果と矛盾しません。

過去の実験で用いられたオリジナルの物品は全てSCP-802-JPの生成物であり、逆に生成物として記録されていたものが全てオリジナルである可能性が出てきました。しかしオリジナルの物品は全て一般にも流通しているものばかりであり、この仮説が事実なら大規模な過去改変を含む現実改変が行われたことになります。オブジェクトの回収と検証が必要です。

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