恐るべき事故
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048は呪われたナンバー。そんな迷信がサイト-19に生まれているらしい。全く馬鹿げている。確かにこのナンバーを割り当てられたSCiPは半月もしないうちに壊れたりなくなったりする。だが損壊や遺失に異常性は一切認められていないのだ。全ては偶然に過ぎない。いや、過去の記録によればほとんどは個人の失敗が原因だ。能力不足を呪いに責任転嫁するなど、知性ある研究者のすることではない。そして仮にNo.048に超自然的な特質があるとしたら、それを解明しないでどうするのだ。

サイト管理者への申請が通り、SCP-████はSCP-048に再割り当てされた。掌に収まるほど小さなSCiPを前担当者から受け取る。報告書はずいぶんと短かったが、後でじっくりと読み直そう。箱の中に保管すればいいようだが、念には念を入れて、声紋認証機能付きのロッカーに後で入れておかねばな。私はSCP-048をズボンのポケットへ入れた。

オフィスのドアが開いたとき、私は我に返った。しまった、ズボンのポケットには、穴が開いていた! 後で縫おうと思っていたが……オブジェクトはあるか!? 左手をポケットに突っ込むが、何の感触も無かった。そうだ、廊下を歩いていたとき、物が落ちたような音がしたじゃないか。後で確かめようと思っていたが……もたもたしていられない! 私は駆け出した。

廊下には何もなかった。くそっ、なぜこんな初歩的なミスを……後で落し物が届けられていないか確認……いや、今確認せねば! 私は事務へ向かった。

「ああ、それならゴミ箱に捨ててしまいました」
「な、なぜ勝手にそんなことを! 普通確認するだろう!?」
「すみません、ただの石ころだと思って……念のため後で確認しようと思ったんですが……」
くそっ、くそっ。

私は食堂で朝食を摂っていた。遺失の原因がオブジェクトの性質か、No.048の性質か、単純に私のミスかは分からない。だが起きてしまったことはどうしようもない。私は気持ちを切り替え、もう一度ナンバーの再割り当てを申請しようと考えていた。次はどれがいいだろうか……。
私の思案は「危ない!」という叫び声により中断させられた。顔をあげると、蓋が空いて人参ジュースをぶちまけながら動作している大型ミキサーが宙を舞っている。
『SCP-048に割り当てられた人員の回転率は、死亡、四肢切断および懲戒処分によって50%以上と高くなっています。』
事案記録に記された一文が頭をよぎる。馬鹿な、そんな馬鹿な。いや落ち着け。飛んできたミキサーに体が巻き込まれる確率なんて、話にならないほど小さな確率だ。それに私は拘束されているわけでもない。避けることはたやすい。私は右によけようと椅子から立ち上がりかけたとき、足をひねった。私の体が右前へ傾き、突き出された左ひじがミキサーに飲み込まれ――。

私が気絶する前に浴びた液体が人参ジュースだったのかどうかは分からない。

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