AiHeの提言
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Item #: SCP-001-JP

Object Class: Thaumiel(暫定)
 


 
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AWCY関連施設内に残されていた、SCP-001-JPの芸術的描写


 
取り扱い方: 財団はSCP-001-JPを利用せざるを得ない状況にいます。SCP-001-JPの存在はサイト-178の特定職員、並びにSC4以上、外宇宙支部所属職員の一部にしか通達されていません。当該オブジェクトの物理的な収容はその規模の大きさから不可能です。

アーノルド俯瞰式投影装置はサイト-178の秘匿エリアに1台のみ内包されています。秘匿エリアに入場する場合、この報告書と同等のアクセス権が必要です。

仮に一般人がSCP-001-JPの存在を認識した場合、記憶処理が行われ、当該オブジェクトに関して言及が行われている文書、データ、並びにその他の記憶媒体は全て抹消されます。

概要: SCP-001-JPは宇宙を内包するほどの体内構造を有した、ヒゲクジラ亜目の特徴を有した実体、あるいは総括的な異常現象です。観測上、下記の捕食行動以外ではSCP-001-JPは常に瞼を閉じており、移動を行う事もない休眠状態にあります。なお、現時点で財団の存在している基底宇宙はこの実体の食道胃の内部空間において構成がなされています。

SCP-001-JPが存在している空間(以下、超外宇宙と定義)では常にミーム因子の凝縮による様々な物品概念の形成1、並びに拡散による消失が絶える事なく同時発生し続けています。この事から、超外宇宙空間内部のミーム因子の密度は推定で一般的な宇宙空間の7000倍とされ、このミーム因子に人間が接触した場合、即時に致命的な脳機能の欠陥を招く事が予想できます。しかしながらSCP-001-JPは数カ月に一度程度、形成された物品が存在する超外宇宙の空間に対して捕食行動を行うにも関わらず、宇宙空間でそれらのミーム因子が観測された事はありません。そのため、財団はSCP-001-JPを暫定的にThaumielに分類しています。

SCP-001-JPは休眠状態にある時、不定期に反復的ないくつかのパターン音声を発します。しかしながらこれらの多くは、現実世界において存在している音声を模倣したものであり、この行為が何を目的として行われているのかは現在も不明です。

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上記例:観測された振動パターン。鯨の"歌"の振動パターンに類似している。

発見経緯: SCP-001-JPは1952年以降に発生した██,████兆光年より先の地点全てで██度に渡って観測された原理不明の振動現象の調査を行っていた外宇宙支部によって、その存在の可能性が示唆されていました。その後、同支部において異常生物と外宇宙との関連性を専門としていたキリカワ博士が、振動現象において観測された振動パターンと、ボイジャー計画において用いられたレコードに録音されたいくつかの音声の振動パターンに一致が確認されたと発表。001調査班の発足に繋がりました。

そして調査班からの報告により、財団が捕縛に成功した当時AWCYのメンバーであったPoI-009コードネーム:アメフラシよりSCP-001-JPの存在の情報がもたらされていた事が判明しました。当初、アメフラシのもたらした情報は虚偽であるとされ、当時担当者が行った尋問記録にのみSCP-001-JPの存在が確認されていました。以下は、それらの調査結果より改めてキリカワ博士がアメフラシに対して行ったインタビューです。

2002年12月5日

[省略]


キリカワ博士:
では、本当に私たちの宇宙の外側には、そんなにも大きいクジラが存在するというのかね?

アメフラシ
俺はそれを50年前から言ってるよ。

キリカワ博士:
信じることができない。何か肯定的な証拠は?

アメフラシ
あんたらなら俺らの施設にあった観測所と同程度の施設を作る技術があるよ。最も、俺の研究職のポスト、あといくつか異常なもんを借りる事にはなるけどな?

キリカワ博士:
それはすぐさま肯定する事はできない。

アメフラシ
それならそれで構わない。どうせ放置した所で、俺たちにとってクールじゃない事は起きないからな。あんたらにとっては許容しがたい事が起きるかもしれないけど。

キリカワ博士:
許容しがたい事?

アメフラシ
気まぐれな世界の滅亡さ。

キリカワ博士:
説明を求める。

アメフラシ
まず初めに、恐らくだが、俺達は「カー・オン」だなんて親しみを込めて呼んじゃいるが、あれはクジラなんてちゃちなもんじゃない。高次生命体? 神的存在? それよりも遥か原初の存在だ。

アメフラシ
俺達はアイディアを求めた。だから、宇宙の外側へ行こうとした。この宇宙ではそれに限界があると感じたからだ。そして宇宙の外を観測した。そこには、俺らの想像通り、無数のアイディアと、想定外なクールが鎮座してた。カー・オンだ。

アメフラシ
暫くして、カー・オンがアイディアを食い始めた。流石の食事量だ。俺達が求めていたアイディアを貪り食うようなその姿には体が震えたね。ただ、その過程でうねから零れ落ちていく無数のアイディアを見て感じた。それは、クールじゃない。

キリカワ博士:
クールではない?

アメフラシ
カー・オンが零したアイディアは、実に興味深くなかった。ただ首を折るだけの彫像、死なないだけの爬虫類、思わせぶりなことを騙る全能者。全くつまらない。

アメフラシ
だが、カー・オンが捕食したアイディアの中には素晴らしいものがあった。ただ首を折るだけではない、目を離したら首を折りにくる彫像。あまりにも凶暴で手のつけられない不死の爬虫類、どこまでも安全な全能者。それらは零したアイディアと紙一重の存在だけど、ユニークさ、クールさが確かそこにあった。

キリカワ博士:
それはたまたまではないのか? クジラは食料を選ぶ事はない。選ぶにしても、何故だ?

アメフラシ
そんなもん決まってんだろ。誰だってアイディアはより良い方がいい。

アメフラシ
アイディアは確かにどこにでもあって、存在し続けてる。その中からよりクールなもんを選び取りたいのは俺達だって変わりゃしねぇ。最初に俺達が宇宙の外を求めた事と一緒さ。

アメフラシ
そんで? ここで質問だ。俺達はよりクールになれるか?

キリカワ博士:
クールになる事に意味があるのか?

アメフラシ
もちろんさ。言っただろう。アイディアはより良い方がいい。では今ある物より、より良いアイディアが見つかった時はどうする? 簡単だ。今ある物を切り捨てる。

アメフラシ
博士、ここは腹ん中だ。忘れるなよ。いつだって俺達はカー・オンのより良いアイディアを捕食するためのエネルギーになるんだぜ?

アメフラシ
だからいつだってあいつに問い続けろよ。「Are We Cool Yet?」ってな。他のとこも必死だぜ。


 
書き起こし終了


 
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アーノルド俯瞰式投影装置を内包したサイト-178の秘匿エリアの一部

 
 
 
このインタビューの後に、PoI-009コードネーム:アメフラシ改めアーノルド・レイヴン博士によってSCP-001-JPを観測するために有用ないくつかの物品の開発手段がもたらされました。アーノルド俯瞰式投影装置もその内の一つです。これらの多くは実際にSCP-001-JPの観測、並びに他のオブジェクトの探索等に用いられ、尚且つ実績を残してきました。アーノルド俯瞰式投影装置は現在もサイト-178の秘匿エリアにてSCP-001-JPの観測に用いられています。
 
 
補遺: SCP-001-JPが捕食を行った時点で超外宇宙空間で観測されていたいくつかの物品の特性が、現実世界で実際に異常物品として発見された際に変質している事が調査により判明しました。以下はそれらの物品のリストです。
 
 
 
変質前 変質後
強力な現実改変能力を有した、頭部が消失した死体。完全なる凍結によって一時的に無力化する事が可能であった。 強力な現実改変能力をかつて有していたボノボ(Pan paniscus)の個体。自身の能力によってボノボと身体を置換した現実改変者の末路。
女性に対し性行為を誘発させる蝉。その影響下において性行為を行うと、女性は必ず妊娠するが、少なくとも1年以上胎児は子宮内で成長を続ける。 女性に対し性行為を誘発させる蝉。その影響下において性行為を行うと、女性は必ず妊娠する。また、その性行為のパートナーとなった男性の海綿体組織が同等の蝉へと変質する。
戸田恵子氏の音声が録音されている自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator、以下AED)。使用者は特定の楽曲のリズムに則って胸骨圧迫を行うようなる。また、胸骨圧迫を受けている対象は楽曲がAEDから流れている間のみ、非破壊性を有し、楽曲終了と共に心臓破裂により死亡する。 更に周囲の人間は強い高揚感を覚え、楽曲に合わせて歌う、手拍子を行う等の動きを見せる。 様々な楽曲が録音された自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator、以下AED)。使用者は楽曲のリズムに則って胸骨圧迫を行うようなる。また、胸骨圧迫を受けている対象は楽曲がAEDから流れている間のみ、非破壊性を有し、楽曲終了と共に心臓破裂により死亡する。 更に周囲の人間は強い高揚感を覚え、楽曲に合わせて応援する、手拍子を行う等の動きを見せる。現在実験中であり、終了予定時刻は2656/11/05。
人間に視認されていない状態であると移動を行うクッション。様々なメーカーのクッションに混入しており、全物品の回収は困難。奇形児、知的障害児を材料としているとされ、一定の自己認識能力を持っていると推測される。 人間に視認されていない状態であると移動を行うクッション。Dクラスを用いた実験、並びに個体が発見された施設にて同時に発見された書類群からの情報により、奇形児、知的障害児を材料としている事が判明。収容プロトコルとオブジェクトクラスが変更された。
起源不明のティーンズ小説。周辺の文書を本来の内容をオマージュしたティーンズ小説に改変する。なお、改変された文書の元々の内容の想起は不可能となる。自身が異常性の影響を受け無力化。 小説と、主人公と、空間。完結させられた物語の中でもがき苦しむ怪物と、その悪あがきを殺し続ける少女。

ただし、基底宇宙内には変質前の特徴を有する物品について執筆された報告書も存在しており、現在の所、これらがどのようにして変質したのかは調査中です。

 

自動アルゴリズム-COにより、一件のメールを受信します。

 

Subject : (無題)

Sender : O5-1

Body : Key.dat

これは私達の意志ではない。
これは上位ミームの意志でもない。
これは誰の意志でもない。

完全な悪にただ立ち向かうのは陳腐だ。
便利な物品をただ使うのでは単調だ。
異常な物品を作り出すだけでは趣がない。

だから確保する。
だから収容する。
だから保護する。

私達の世界は常に変化する。
私達の財団は常に変化する。
それはまさしく、あの変質したアイディア達のように。

だからこそ、全てを確保・収容・保護とは言わない。
常に新奇的であれ。

私は数多のアイディアの中から、ただ濾されぬように自分の意志でここにいる。
他の者もそうだ。

これを読んだのなら、あとは君で選んでくれ。

 

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