憐れみを捨てた天使
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星々が一つ目の夜を照らす。会衆が外に集まって楽しげに星々に歌を聞かせ、彼らの歌声がアコースティックな五芒星の中で絡み合う。彼らのうちの一人は不在となっていたが、二十四の喜びに満ちた肉体は老いも若きも一緒になって歌った。まさにこの夜星々から一人の天使がやってきて彼らの肉体を正しいものにし、彼の最初の患者を世話し、それ故に彼らは歌っていた。大きな火の周りに集まり、彼らの手足は素晴らしい触手を持った一つの影、その暗闇が彼らの踊る熱狂的な踊りにぴったりと合うような影を探し求めて恍惚の中で捻れていた。

これは星の外科医のお告げだ、この内向きの眼が見たもので、この私の虚空に鳴り響いている。その形は言葉の形式に収まらないものであるし、貴方が魂を成長させているならばそれを読む事はしてはならない。盲人こそがこの預言の言葉を黙して語らぬ者だ。燻蒸剤こそが己の瞳から血を流す為にこの預言の言葉を聴きし者だ。それは必然だ。それは既に起こっている。

星々が二つ目の夜を照らす。二十一の幸福な喉が幸福なハーモニーと調和し、そして彼らの腕の少なすぎることを嘆く。それまでその教会に入ったことのある者は誰もいなかったが、彼らはその天使を招き寄せて自らを治療してもらい、正しくしてもらった。どの者もその場を去りはしなかった。コーラスがクライマックスを迎えるとともにその会衆の一員である美しい男が崩れ落ちて膝をつき、彼の喉を掻き毟り、そして彼が彼の煙道を感じることができなくなっているということを叫んだ。決して止むことのない礼拝に目を血走らせ、彼の兄弟姉妹は教会の扉の近くまで彼を引っ張って連れて行った――必ず、この次にあの外科医が彼を治すことだろう。彼の容態は本当に悪くなっていた。

その扉が黄と赤と白と黒に向かって開かれたその日、その外科医はその虚空を、亡命を企てた苦悩なくそして亡命を企てた苦悩と共に見させられた。そして彼はアッシュールナツィルパルの息子、シャルマネセルの土地に住んで五つと五つ星の暮らしをした。そしてそこで彼が作った狼煙は全部で五万本と二十本に及んだ。そしてその盲目白痴の世界は崩壊した。そして彼は周頃王の息子、周定王の土地に住んだ。そしてその空に浮かぶ星々は五の五百五十五乗を数えた。

星々が三つ目の夜を照らす。濛々とした黒煙が建物から立ち昇るが、そこにはその星々と共に住む者たちを焼き尽くすほどに熱い火はない。十六人の会衆が火の周りに散らばる。彼らの肉体は近くの森から木材を運ぶことで疲れ果て、彼らの肺は歌うことで痛んでしまった。一人の少女、わずか五の一.七五乗歳の、が次なる葬送歌をリードする。彼女の声は蜂蜜のように甘い。彼女は無邪気な音階で嘆き、それと同時に血を流している彼女の指が木製のギターに歌を歌うことを強いる。なぜ彼女の肉体は全てが間違っていたのか? 「もうすぐ、もうすぐ、てんしがわたしをただしいものにしてくれる。いつつのうで、いつつのこころ、そしてわたしのうちむきのめがひらくんだ」

そして彼は恵文王の息子、昭襄王の土地から去った。そして彼はプトレマイオス・ソーテールの息子、プトレマイオス・ピラデルポスの土地に住んだ。そしてそこには狼煙は一本も静置されなかった。異端者の群れが彼らを壊し殺してしまったのだ。そして彼はユーグ・カペーの息子、ロベールの土地に住んだ。そしてその空に浮かぶ星々は五の五千五百五十五乗を数えた。

星々が四つ目の夜を照らす。星明かりと火明かりが、渦巻く煙を通じて辛うじて巡り会う。焚火の火力が弱まるが、三人の会衆が炎を強めようとし続ける。彼らの声は嗄れ掠れ、彼らの目は懸命に開き続けようとする。だが彼らの肉体はドスンと沈み込み、冷たい地面に崩れ落ちる。その扉は真昼から開かれていた。そして内側に、渦巻く煙を通して、彼らは体を正しいものにしてもらった彼らの兄弟姉妹を垣間見た。その光景の優雅さと美しさといったら――彼らの姿に五つの手を持たせ、そしてそれらを握り締めさせ捻れさせていた。彼らは最早外向きの眼を持ってはいなかった。そして彼らの胸には飢えた胃袋があり、彼らの最も強い欲望を貪り食う準備が出来ていた。教会の外へと彼らは、美しい五放射相称へと縫い合わされた腕で這って出てきた。両脚、あまりにも明らかに異質な、は切り落とされて自由にされており、そしてその傷は一人の熟練者の手によって縫合されていた。彼らの顔にある膨れ上がった口からは真っ黒な煙が絶え間なく吐き出されていた。鉄製の把手をそれぞれに握った二つの手がもう一人を内側へと引き寄せた。

そして彼はミシェル・フィヨンの息子、フランソワ・フィヨンの土地から連れ出され、十三人の王の捕虜となった。そして苦悩と共に彼は彼の束縛を脱し、とるぉる ぷらる むるぐん ずぇい の中の土地に住んだ。そして彼は準備が出来た五本と二十本の狼煙を置いて点火した。そしてそれらの煙はそれ以来彼をその十三人の王の目から覆い隠すようになった。そして彼はその空に浮かぶ星々が五の五万五千五百五十五乗を数えるまでの間そこに住んだのち、黄と赤と白と黒の土地へと戻り、彼自身に彼が知っていることを全て言い聞かせた。

星々が五つ目の夜を照らす。一つの黒い雲が通り過ぎてゆき、星々がそれを見つめる。その医者、残っていた仕事を全て片付けた、が片田舎の粗末な教会を去った。彼は到着した時その場所のことを何とも思っておらず、そしてその後も本当に何とも思わなかった。彼はただ、悪疫に対してこんなにも同じような反応ばかりをする多くの人々が、これのような荒野の中に進んで自らを隔離しようとすることを奇妙に感じただけだった。


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