ダリで、マンを助け出せ,別題モダンアートのラメンタブルな──嘆かわしい──状態
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初めてマン博士と組まされた時、ラメントはリモコンを手渡された。彼が博士と組まされるのと同じで、リモコンも博士の胸の中の小さな爆弾と組まされていたが、博士はそれを知らない。

管理者バンブリッジは、穏やかな語を並べ立てていた。
「最期の手段としてだけですよ、分かっていますね。」
それと、
「最も思いやりのある手段です、本当に、もし必要となってしまう時にはね。」

同胞が悪人に渡った時、その同胞を殺せるように準備をしておかないとならない組織のことを考えると、頭がいっぱいになって、何日かラメントは落ち込んだ。また他の日には、ビー・ジーズやら、アバやら、KC&サンシャイン・バンドやらの集中砲火を食らって、ボタンがほしいなと頭によぎることはあった。それでも、真面目な話、今までそれを押さなきゃならないということはなかった。実際、何日か、ボタンを持っていくのを忘れて彼と出て行ったことがあったし、ボタンは彼のコーヒーテーブルの上に放って置かれたままだった。

さて、エージェント・ラメントが失敗した2つのことの内、1つはこういった怠慢で、バスルームの外のどこかでドスンとした低い音が聞こえた時に悟ったものだった。もう一つは(後々考えると明らかだけど)、マンを家で監視すること無く放おって置くことだった。

彼はリビングルームに急行した。あっという間にズボンのボタンをかけて、心の内では、管理者に会ったらなんて弁解しようかなんてリハーサルをしていた。そしてマンを見つけてみれば、マンはボタンを取って、何度もボタンを押しているじゃないか。
「チャンネルの電池が切れているんじゃないか、テレビの電源が入らないのだよ。」

「うーん。」
ラメントはそう言いながらも、何でマンが無傷なのか、考えをまとめようとしていた。
「それ……それはテレビのチャンネルじゃないよ、マン。それはあれだよ……」
彼はあたりを見渡した。
「……犬のドア用だよ。でも、ええっと、動かないんだ……」

「動かないんだって、そりゃあ、君が犬を飼ってないからじゃないか!」
マンは言った。
「確かに。気が付かなければならなかったな。」
彼は口髭の下から微笑んだ。彼にとって、世界は納まるべきところに納まったのだ。

「それで、何で僕を呼び出すなんてことをしたんですか?」
ラメントはさり気ない風で尋ねた。

「おおっと、そうだった!」
マンは言った。
「誰か私を殺そうとしているらしいと思うのだ。」

「えっ……?」
ラメントはそう言って、ちらっとリモコンを見た。
「何でそんなこと思ったの?」

「やれやれ、連中は私の胸に爆弾を仕込んだのだ。かなりきな臭い。」
マンは言った。

ラメントは不自然に驚いてみせて、片方の眉を上げた。
「じゃあ、気がついたんだ……胸に爆弾があるってことに?」

「おっと、何も無い、いまはね。もう取り出した。安全を取ったってことだ。」
これはマンの、尋常ではない自衛本能のなせるわざだ。

「すると……今はどこに?」
ラメントは、先ほど聞いたドサッという音を思い出しながら尋ねた。

「ああ、何処において来たのだって?ああ、わかっている。君の車に放っておいたよ。」
マンは陽気に言った。

(全部済んだんだよ。)とラメントは思った。(まあ、とうぜん爆弾は吹き飛んでいたに違いないんだ。そうあって欲しい、本当に。)

「しかし心配することはない。」
マンは言った。
「私は確かに、責を負うべきものは何物であるか、完全に分かっている。」

「そうなんですか?」
ラメントは弱々しく尋ねた。

「おうとも。手段、動機、機会、なあラメント。それらが処方箋よ。それらを見つけよ、そうすれば犯人を理解できる。」

「で、それは誰?」
ラメントは必死になって携帯武器のことを考えた。あれは今、ベッドの横にあって、上の階だ。

「最初は壊れた神の教会を疑った。しかしながら、爆弾であるのだ、ラメントよ、こいつは殺人のための機械仕掛じゃない。それと、連中が人の体を下手くそにいじくり回すのを、どれ程までに愛してるのかということは、皆承知の所である。」
マンは、全然皮肉そうに言わなかった。

「しかし……」
ラメントは怖い物見たさにかられて聞いていた。マンの説明を聞くのは、ルーブ・ゴールドバーグマシンを見るようなものだった。ただマシンの方は、最終的に何か目的を達成するのだが、マンの説明はそうじゃない。

「しかしだ、爆弾は電子トリガーを使う。これじゃあ、連中のスタイルに合わん、そこで、次にカオス・インサージェンシーの関与を疑った。連中はこそこそとするのが好きだろう。だが、連中は私の胸に侵入できるほど、小賢しくない。我が胃は、おそらく、連中の胸郭突破を断じて許さず、その秘中を明らかにさせぬ。」

「たしかにそうですね。」
ラメントは言いつつも、自分でカバーストーリーを工面するべきか決めかめていた。そうしなければ、マンはサイトにすっ飛んでいって、誰かにそれを対処させることになる。

「だが、ワンダーテインメントならどうだ?我々があのトイ・メーカーについて知ることはわずかだ。エルフを雇うのか?労働組合はあるのか?確かなことは、人をおもちゃに改造することが出来るのであるから、生物学の知識を持っている。それで単純な胸部爆弾は作れるに違いない……そう、児戯が如く。」

「で、それで?」

「それで何を得るというのか?『マイキーえんずいの脳みそ手術キット』のために、箱の証票を十分な量、ほとんど蓄えたのだぞ。ありえん、彼は潜在的な商機をみすみす諦めたりしない。」
マンは顎をこすった。
「私が次に疑ったのは、世界オカルト連合だ。」

「なんで……」

「何故なら、連中は我々の封じ込めに反対だからだ。私は、当然、財団活動のかなめであるから、私がターゲットになるとしても自然だ。だが、私は彼らの一等の外科医たちにあったことがあるんだ。アマチュアの端くれ、木っ端さ。連中は、あんな侵襲手術を隠蔽することなんざ、できっこない。だが、あの方法を試してみるなら、その……そう、魔法だよ、しかしその可能性は取り払いたいのだよ。我々は……おっと、すまないね、ラメント。は科学の男ではないというか?」

「……議論のためには、確かに科学の男ですね。」
ラメントは言った。

「そうするなら、明らかに連中では無いとなる。そして蛇の手ならば確かに、建物の上に侵入することが出来る。しかし、あの長髪のろくでなしの集まりは、爆薬に関する機械知識が不足しているのだよ。次に私はプロメテウス研究所に関心を寄せた。爆弾なんざ、あの技術者にとったら瑣末な子供の遊びだろう。」

「それで……。」

「だが連中は滅びて数年になる。いやいや、連中には私を見つける手立てがないし、手術のために私だけを孤立させることも出来ない。だから、私の関心は何物でもない。だが、彼には絶対そんなことが出来ない。」

「存在しないから?」

「いいや。」
マンは顔を振った。
「何故なら、彼は今年トレドに居るからだよ。だから、見事やってのけることが出来る可能性のある組織はたった一つに絞られた。Are We Cool Yetだ!」

「……マジですか?」

「そう、Are We Cool Yet。君、疑っているな、だがこの並び立てた証拠を聞いてご覧──」

ラメントはもう十分に、証拠を揃えていた。
「ノー。」

「違うだって?」
マンは眉をひそめた。
「まあ待て、聞いてご──」

「違います。ただの……ただのノーです。僕は博士の言葉を信用しますよ。」

マンの顔は暗くなった。
「しかし……しかし、凄まじく明達なんだよう。私は……私は図もこしらえてきたのに。」

「いやいや。マン、ほら、一緒に行って、見に行きましょうよ。だからさ……説明しないで。頼むよ。」
(頼むから、別の説明を聞かされていないままの世界のままに居させて) とラメントは宇宙に願った。

「おお、分かったよ。」
マンは言った。
「とてつもなく名推理であるが。せっかくなのに、ここは省略か。」

「で、これから何をするか計画はあります?」
ラメントは尋ねた。

「何と言っても、そりゃあ復讐してやりたいのだよ、当然!」マンは睨んだ。 「ここまで腹が立ったのは、ヴァン博士が私の口ひげワックスに除毛剤を盛った時以来だ。私が怒っているのはね、連中が私がすでに手術を行った場所に泥を塗り腐ったってことだ。全くまるで……批評文を書かれたようなものだ。まあ考えてみたまえ、君の銃の腕(shooting)や、叫び声(shouting)、その他もろもろを批判されたらどう君は感じるかね?」

「そんなことを想像する必要はありませんよ。」
ラメントは言った。
「だって、あなたが批評していますからね。いつも。」

「そうだね、まあ、私は外科の専門家だから、ちょっとそれとはお門違いだ。」

「あなたは僕のことを……鉄砲が下手とでも言いたいんですか?」
ラメントはそう尋ねて、片方の眉を上げた。

「そういえば君、ファクトリーで男を撃ち損じただろう。」
マンは指摘する。

「あれは威嚇射撃だったんですけど!」

「あら、まあ。本当かい?」
マンは言った。
「そうだったら、あの後君があんなにムカついていた訳が説明つかんじゃ無いか。」

「僕はアイツに話してもらいたかったんです。」
ラメントは言った。

「でも彼は説明してくれたぞ、一応は。」
マンは食い下がる。

「ガボガボと言うのは喋った内に入らないんですけど、マン博士。」

「まあ置いといて、私は、きみの叫び声をもっと有意義にできるのではなかろうかと切に思うのだ。」
マンは言った。
「君は、批判をするために叫んでいるのではないのだ、叫けばされているのだよ。横隔膜から沸き立つ衝動のために叫んでいるのだよ。」

ラメントは、コートのポケットの中のボタンに親指を走らせた。
(動いていたのになぁ。)
「じゃあ僕の……その他もろもろって何ですか?」
ラメントは怒鳴った。

「実は、その点についての不満はない。私は常々、君のことを現場では模範的であると考えているよ。」
マンは言った。

「……その他もろもろって現場仕事ってこと。」

「そうだ。皆がみんなそこまで、才能有るわけじゃあないしな。」
マンは言った。
「とにかく、向かうとしよう。私は、連中がどこにいるか確信がある。」

車は、幸いにも、まだ走行可能であったが、窓は全部吹き飛ばされていた。全体的に考えてみると、びっくりするほど大規模な爆弾では無かったんだろう。そんな必要はない。

マンはラメントに指図をして、ダウンタウンを運転させた。そして、さっぱり特徴のないオフィスビルに辿り着いた。そばの住宅情報が貼ってあるコルクボードには、投資バンキングや、猫のポスターも貼ってあった。

「何でこんなところにAre We Cool Yetが居ると思ったんですか?」
ラメントは尋ねた。

「連中が見つからなかったということは、当然、連中は可能な限りで最もよこしまで小賢しい隠れ家を構えているに違いないと理解した。だから、私自身に尋ねてみて、1000年間考えてみたとしても、決して見に行かないだろう場所はどこか考えた。私達がいる場所がそうだ。」

ラメントの顔には不愉快そうな表情が一瞬浮かんだ。一方で、実はマンが、GoIの潜伏場所がどこか、知らなかったことを喜んだ。そうじゃなかったら、この午後は、凄惨なことになってしまうところだった。またもう一方で、こんな風にマンの話を几帳面に聞いていたから、自身の人生が間違った方向に持っていかれたんじゃないかなと思っていた。

この深く背徳的な論理としばらく戦った後、彼はため息を付いて、言った。
「わかりました。中に入って見て、退散しましょう。ただのちょっとした偵察ですよ。なにか見つけたら報告をして、機動部隊(MTF)に後始末をしてもらえばいいんです。」

「私は連中に古い酢を見せてやりたいんだが、君の言っていることが正しかろう。プロに任せるのが一番だ。」
マンは口ひげをひねった。
「私の胸腔をいじったことを後悔するだろうよう!」

彼らはビルの中に潜入し、静かに階から階へと移り渡った。どこのオフィスも空で、そのことがマンをどんどん不安がらせているようだが、ラメントは逆に安心した。

「オーケー。これが最後の階です。」
ラメントは言った。
「ここに居ないなら、家に帰って、全部を管理者に報告するんですよ。」
上手くいけば、この馬鹿げたこと全てに決着を着けることが出来る。

「そうだな。」
マンは厳しく言った。

ラメントはゆっくりとドアを開けると、もう一方からの明るい光にしばらく目が眩んだ。アーティスト・スモックを着た驚いた様子の男が彼をじっと見ていたのだ。驚いているラメントを。だからといっても、彼がアラームを押して、背後の壁に隠れることがなかったら、そんなに驚きはしなかった。

「走れ!」
ラメントは彼を後ろに押そうとした。不幸なことに、マンは走る方向を間違えた。マンは前に走りだしたものだから、ラメントの背中に激突したのだ。 二人は手足がこんがらがって倒れた。足元を確保しようとする間で、あっという間に彼らは大学生っぽい男女の一団に囲まれた。彼らはおどろくほどよく武装している。

ラメントは、どっちが悪いのかはっきりさせることが出来なかった。連中に捕まってしまったということが悪いのか、マンが正しかったことかが悪いのか。彼の目は天を向いて、まるで宇宙に、
「なんて屈辱的なことをしてくれるんだ、アンタは」
と言いたそうにしていた。

「君たちは誰でしょうか?サルバドール・ダリとその御一行?」
彼らの指導者は尋ねた。彼は中年の男で、灰色の髪と目立った太鼓腹をしていた。
「君はここで一体何をしているのですか?」

「私達は貴様らの卑劣な陰謀に終止符を打ちにきた!」
マンは言った。
「今日、貴様には、財団の生命一つも奪うことは出来ん!」

「どんな陰謀でしょうか?期末テスト週間なんですよ、絶望的なペリシテ(俗物)さん。何かアイデアは浮びましたか、何かしらのアイデアは?それに僕が成績をつけるための、ペーパーは何枚用意してきましたか?ヴァン・ゴッホとヴィン・ディーゼルの違いが見分けられないおマヌケは何人いるものなんでしょうね??僕はね、君たちお馬鹿なブルジョワな財団をからかうよりも、もっと大切なことがあるのです。」
彼は半月メガネを下げて、二人にもっともな顔を向けた。
「ほんとうに悪い時間に来ましたね、ジェントルメン。」

「それで、私の胸に爆弾を仕込んだのはどいつだ?」
マンは言った。

アーティストは両方の眉毛を釣り上げた。
「僕ではありませんよ。君たちジェントルメンかレディースは?」
彼は群衆に尋ねたが、一斉に頭を振るだけだった。

「おおっと。」
マンは言った。
「うーむ。思い違いがあったようだ。」

「はい。今回はそのようですね。」
アーティストは言った。

「そうさな、私達はちょっと行くところが……」
マンは言った。

「オー、ダメです。」
アーティストが笑った。
「僕らは簡単に君達を手放しませんよ。そうです、君たちは見にいらしたのですよ……僕らのギャラリーにね。」
彼は一旦固まって、眉をひそめた。
「僕らの……ギャラリー。」
また一時停止すると、固唾を呑んで、若い男を見つめた。
「ジェイソン。」

「おお!すいません。」
彼は雷雨の絵を殴った。すると雷鳴が轟いた。

アーティストはため息を付いた。
「やってみましょう、本当に。とにかく、ギャラリーを。」
雷が再び轟いた。
「さあ、やろうか。」
彼がジェスチャーをすると、マンとラメントは別の暗い部屋に連れて行かれた。

「おのれ、悪鬼どもめ!」
マンは言った。
「うーむ。次は何をするんだ?すまないが、私は断じて貴様らのギャラリーに晒されたくないのだ。」

雷鳴がビルをつんざく。

「はい、ジェイソンくんありがとう、もう十分ですよ。ここで、貴方方は僕らの暗澹なワークスに身を委ねてもらいましょう。僕らの最も恐ろしいアートをご覧ください。ご用心を、貴方方の魂は全くの裸なのですからね。」

「いっそ僕らを撃ち殺してしまってくれません?そちらは銃を持っているんですし。鉛球でね。入った時にあるのは見たんだ。」

「いいえ!ですが代わりに、目の当たりになるでしょう……<圧倒的な陳腐の実在>だ!」
男はカンバスを覆うカーテンを取り払った。彼の顔は狂気じみた歓喜に輝いていた。
「見たか。僕の怒りを。僕の怒りを見ろ!」

「これは……ポニーの絵ですよね。」
ラメントは言った。

「あれはピンキー・パイだ、ラメントよ。」
マンが言った。

ラメントはまゆを釣り上げた。
「え……なんであれを知っているんですか?」

「財団はカウンターカルチャーに精通しているのだ。」
マンは言った。
「そして、もちろん、あれはSCP-6345だ。

「そんなこと……は無い。取り消せよ。」
ラメントは手を上げた。

「そうだ。」
マンは言った。
「ポニーだ。」

「止めろ。すぐ止めろ。僕は……。」
彼はアーティストの方に振り返った。
「何かもっと怖いものはないんですか?」

「僕らには、自分の目が自分の体を食うようにさせる作品がありますが。」
彼は答えた。

「それ。それが見たい。」

「お望みどおりに!」
男は別のカンバスを持ってきて、カーテンを引く準備をした。彼がそうすると、ラメントは男の足を払った。男はこけて、気が付くと、絵を見ていた。同時にラメントとマンは目を背けた。

「おお神よ!我が目は歯のイデアを見出した!鋭い!」
彼は叫びながらのたうち回り、他の絵に衝突した。

ラメントは一番近くの武装学生を掴んで、他の学生に向けて背負投げた。そうこうしている間も、偶然にも絵をちらりと見てしまった学生が叫び声をあげて、呪われて、ライム色のゼラチンに変わったりした。

「私が言ったとおりだろう、ラメント。」
マンは男の頸動脈を掻っ切りながら言った。
「君ほどその他もろもろが達者なものは居ない。」

二人は出口に向かって戦った。抵抗はあまりなかった。連中のリーダーは無能になったし、連中の半分は恐ろしいアートなどなどの犠牲になったし、残りは事態を収束させる興味など一切持っていなかった。彼らは階段にたどり着くと、エレベーターの操作盤を壊し、ドアを閉じた。そして彼は増援を頼んだ。

「ほう、これはむしろ失望させられたな。」
マンは言った。

「そうですか?」
ラメントは言った。

「これは、連中ですらもなかったのだ──分かったぞ!ちょうど、私に爆弾を移植したのは何者か判明した。」

「誰ですか?」
ラメントは尋ねた。

「私がした。」

「私……待ってください。何で自分の胸の中に爆弾なんかを仕込んだんです?」
ラメントは尋ねた。

「爆弾を失わないようにするためだ!」
マンは言った。
「巧みな外科処置だったことから、すぐに気がつくべきだったのだ。」

ラメントはその場で固まりたかった。その場で固まってしまうことが必要だった。しかし彼の苦悩がそうさせなかった。まだ彼に残っていた、この世の常識と一般倫理が、彼に尋ねさせた。
「じゃあ、何で覚えていないんですか?」

「ああ、多分だが、最後の身体検査の後に記憶処置されたんだろう。連中は私が気がついていないと思っているだろうが、痕跡から私は気がついた。」

散々なことだけども、ラメントはそれが本当なんだろうと思った。マンはたしかに自分の胸の中に移植することができるし、礼儀正しく頼みさえすれば、することもあるだろう。それで目をパチクリとさせることもないだろう。

「よろしい、」
マンがそう言うと、無標の車が彼らの現場に集まってきた。
「終わりよければ全てよし。」

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