Colors, Part II
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我々の大半は気付いていないが、実のところ世紀の変わり目までカラー映像なんてものはなかった。それ以前は白黒か、グレイスケールか、あまりにも多くの題材とイメージの融合から作られ、見て数秒でありえたアピールを全て失うこの胸の悪くなるセピア調だった。私は子供時代に初めてカラー映像を見たときのことを覚えている、私達の輝かしい無限のスペクトラムの、輝かしい色調がスクリーンに現れるのを見たことを。魅力的だった。動きの捕捉だけでは色に比べれば無価値だ。色、それが個人として、魂として私達を構成するもの。私達を隔てるコントラストであり、私達を繋ぐ鎖でもある。

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我々の世界は無色だ。我々の身体は灰色で我々の壁は白い。我々の仕事場は茶色で我々の鉱山は黒い。

そうだ、青がある。我々が持つ色の一つだ。西の畑に由来する植物から採れるが、ここから南の湿潤な地帯で最近もっと亜種が見つかったように思う。かつて青が生い茂った畑は、今や空虚で気力を奪う灰色だ。我々は小さな花をすべて摘み、家にある小さな壺に入れる。白い壁に囲まれた部屋の中で、めいめいが色の点になった。

しばらくすると青では物足りなくなった。あらゆる特定の周波数が我々には同じに見え始めたのだ。我々の喜びの媒体が可視スペクトラムのわずか2.3パーセントでしかないときに、どうやって楽しむことができようか?緑はどうか、黄色は、橙の果てや赤や蝦茶色や、II-4/VS-IIシリーズやマイクロ波周波数やその彼方の全ての色は?青では足りなかった。青では足りない

時が経つにつれ、他の種類の植物は合成的に開発された。しばらくして、花瓶には緑と紫があった。色は混ざり始めた。人生は続き、生活は進歩した。人生は続き、そして生活は充ち足りなかった。我々は色づいた植物を解体し始めた。茎を地面から引き抜き、内部構造の輝かしい、未だ触れられない色を暴いた。我々はそれが切り開かれて曝され、損なわれたとき、より一層美しくなるということに気付いた。そしてその剔抉から理解し、賞味するのに必要な科学的情報を集めた。苦痛にはそれ自身の色がある。

私は出来る限り自覚していようとしている、そして家に色をもたらすために、あの育てられた植物たちを摘むことの皮肉に気付いている。青の畑が灰色に変わる皮肉を。あのバイオテック企業、Hcet-Vがもっと育て続けることを知っているのであまり気にしない。あの植物たちは容易に再生され、我々の生活を明るくする以外に用途を持たないので、本当に何も気にすることはない。

数年後、全ては古びた。植物たち、その後はペットたち、すべてが。我々は愉しむための色を探す努力をしなければならないと気付いた。そう、原子力科学の発展と49世紀40年代の宇宙開発競争は世間の注意を逸らすのに役立った、でもあれらは灰色の概念だった。灰色の無色の金属と無色のプラスチックと、その組成を詳述する無色の書類の領域。我々は植物を合成する努力をせねばならず、工業化された世界の中の未開地に変わりない色を見つける努力をせねばならず、灰色の死の海に喜びを見出す努力をせねばならず、それは骨の折れる作業で、理不尽で、私達の間に不和を生むばかりだった。私達には何故こんなにも色を見つけるのが難しいのか理解できなかった。何故色が私達の元へ来てくれないのか、理解できなかった。

Hcet-Vと40年代の宇宙産業組織が我々に告げたのはその時だった。それは可能だと。


我々の大半は気付いていないが、実のところ世紀の変わり目までカラーエンターテインメントなんてものはなかった。それ以前は白黒ビデオか、グレイスケールの産業と建築か、ひとつの壺に押し込まれたあまりにも多くの色つきの花々の融合から作られ、見て数秒でありえたアピールを全て失うこの胸の悪くなるセピア調だった。私は去年開発された最初のカラーエンターテインメントを見たときのことを覚えている、私達の輝かしい無限のスペクトラムの、輝かしい色調がスクリーンに現れるのを見たことを。魅力的だった。動きの捕捉だけでは色に比べれば無価値だ。色、それが個人として、魂として私達を構成するもの。私達を隔てるコントラストであり、私達を繋ぐ鎖でもある。

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我々の世界は無色だ。我々の身体は灰色で我々の壁は白い。我々の仕事場は茶色で我々の鉱山は黒い。確かに我々の世界は無色だ、しかし君の肉は幾億の輝く色ではちきれんばかりで、我々が君の花弁や花や繊細な部位を身体からゆっくりと引きちぎれば、苦悶の中でさらに幾億もの色があふれ出る。以前よりもより趣深く。苦痛にはそれ自身の色がある。

君は色を育て、合成することの好ましからざる退屈さに対する打開策だ。我々は君が欲しい。は君が欲しい。私には何故こんなにも色を見つけるのが難しいのか理解できなかった。何故色が私の元へ来てくれないのか、理解できなかった。

しかし君は来た。君は私の元を訪れて、説得も義務もなしに訪れ続けた。あの植物たちや、栽培地や我々の家に住むあの、甲高く喚く支離滅裂な下等生物と違って、君は自発的に来てくれる。もはや彼らに値打ちはなくなっていた。我々はもっと欲しかった。知性が欲しかった。君が欲しかった。

君は私の全てだ、君なしでは我々の世界は無色だろう。君はこんなにも従順だ。君が私を喜ばせようとどんなに必死かが分かる。君は規則によく従う。君は美しい。君は完璧だ。そして君は訪れ続ける。

私の人生を彩ってくれてありがとう。

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