クレープ、ピザ、始皇帝
rating: +5+x

「それで、東洋古代史の期末課題はどうするつもり?」

「そうだな……アイデアはある。リープクネヒト1は『平民は歴史の創造者である』って言ってるだろう?考えてみれば、僕らだって平民だし、歴史を創造しても良いと思うんだ」

「あんたのどこが“平民”よ……それはさておき、“歴史の創造”ってどういうこと?まさか、レポートをでっち上げるつもりじゃないでしょうね」

「でっち上げなんかじゃないぞ、かつてない大事業さ。なんたって、“生の資料”が手に入るんだからね」

「生の資料?タイムリープでもする気?あんた、時間流体物理論は履修してないって言ってたじゃない。それに、“タイムリープ”ってのもありがちなネタね。項█龍2にでもなったつもり?」

「先輩!流行りのドラマネタなんて使ったら、きっとD評価になっちゃうよ!……話を戻すと、僕は“歴史の創造”を本当にやろうとしてるんだ。作品を古代に転送して、タイムラインの変動を記録するっていう感じでね。実践教育学と時流物理学、理論歴史学を組み合わせれば、A評価は堅いだろう!」

「へぇ、面白そうじゃない。でもあんた、どういう作品を送りたいの?歴史の変動が激しすぎると、警告を受けるかもしれないわ。あまりにも平凡な作品だと、観測に引っかからない場合もあるけど……」

「そうだな……竹簡とかどうだろう?開く度、違う文章が表示されるんだ。内容に従って捜索すれば、さらに多くの作品を見つけることができる」

「うーん……それ、作業量が凄まじいことにならない?」

「大丈夫。先輩たちに掛け合って、失敗作を融通してもらえば良いんだ。それに、常識的に考えれば、こんな危なっかしい竹簡なんて、頻繁に開かれることはないはずさ」

「あんたが語る“常識”ほど、頼りない言葉はないわ……それで、どこの誰に送るつもりなの?」

「もちろん、秦の始皇帝に決まってるじゃないか!ミイラになったり、肉のバケモノになったり、人型ロボットになったり、自分の息子より若く見えたりする、俺様キャラのあの御方だよ!どんなに奇妙な作品でも、怪しまれることはないはずさ」

「あんたの始皇帝像はどうなってんのよ……けどまあ、アイデア自体は良さそうね。陛下にはちょっと申し訳ない気もするけど……」

……

「ああ……その……何か問題が起きたみたい……」

「何?今度はウイルスでも漏れ出した?それとも、放射線でゴジラでも生まれちゃった?」

「いや……それが……フーリエ展開する時、b項の計算を忘れちゃって。そしたら……」

「そしたら?」

「何というか……その……作品自体は機能してるんだ。けど……転送先の座標がバグっちゃって……ええっと……投入されたのは、多分……」

「赤壁とか、垓下あたり?カンナエ3に放り込んだなんて言わないでよね」

「いや、その……時間座標と空間座標は正常なんだ……でも、タイムライン軸に問題があって……もしかしたら、別の世界に送っちゃったかも……」

「そういうリスクはとっくに言ったはずでしょう?それなのに、予想の斜め下をやらかすなんて。全く呆れるわね……」

「どうしよう……先輩助けて……このままじゃ、卒業できなくなっちゃう!」

「はいはい、じゃあこうしましょう。まず先に、転送先のタイムライン軸を特定して頂戴。中間報告する時は、教授に時間因果律の波動に影響を与えないよう、作品を別のタイムラインに送ったと説明するの。その後は時流物理学の先輩たちに相談して、タイムラインの観測を手伝ってもらえないか頼んでみるわ」

「サンキュー先輩!やっぱり顧姉貴は最高だ!今度クレープ奢りますよ!」

「ゴマをする暇があったら、とっととそのポンコツ病を治しなさいよね。……そうそう、クレープにピーナッツは入れないで。私アレルギーなの」




「それで、東洋古代史の期末課題はどうするつもり?」

「そうだな……アイデアはある。トロツキー4は『平民は歴史の創造者である』って言ってるだろう?考えてみれば、僕らだって平民だし、歴史を創造しても良いと思うんだ」

「あんたのどこが“平民”よ……それはさておき、“歴史の創造”ってどういうこと?まさか、レポートをでっち上げるつもりじゃないでしょうね」

「でっち上げなんかじゃないぞ、かつてない大事業さ。なんたって、“生の資料”が手に入るんだからね」

「生の資料?タイムリープでもする気?あんた、次元物理論は履修してないって言ってたじゃない。それに、“タイムリープ”ってのもありがちなアイデアね。項█龍にでもなったつもり?」

「先輩!ネット小説のネタなんて使ったら、きっとD評価になっちゃうよ!……話を戻すと、僕は“歴史の創造”を本当にやろうとしてるんだ。作品を古代に転送して、タイムラインの変動を記録するっていう感じでね。実践教育学と次元物理学、量子歴史学を組み合わせれば、A評価は堅いだろう!」

「へぇ、面白そうじゃない。でもあんた、どういう作品を送りたいの?歴史の変動が激しすぎると、警告を受けるかもしれないわ。あまりにも平凡な作品だと、観測に引っかからない場合もあるけど……」

「そうだな……竹簡とかどうだろう?」

「却下。あんた、異学会の秘蔵の竹簡を知らないの?これだと盗作になっちゃうわよ」

「それじゃあ、無限の彼方を駆け抜ける飛行船ってのはどう?それとも、琴で操る陶器の人形とか?」

「そういうのは先に作ってから言いなさいよ……それで、どこの誰に送るつもりなの?」

「もちろん、秦の始皇帝に決まってるじゃないか!ミイラになったり、肉のバケモノになったり、人型ロボットになったり、自分の息子より若く見えたりする、俺様キャラのあの御方だよ!どんなに奇妙な作品でも、怪しまれることはないはずさ」

「あんたの始皇帝像はどうなってんのよ……けどまあ、アイデア自体は良さそうね。陛下にはちょっと申し訳ない気もするけど……」

……

「ああ……その……何か問題が起きたみたい……」

「何?今度はウイルスでも漏れ出した?それとも、放射線でゴジラでも生まれちゃった?」

「いや……それが……積分する時、不可積分点の存在を忘れちゃって。そしたら……」

「そしたら?」

「何というか……その……作品自体は機能してるんだ。けど……転送先の座標がバグっちゃって……ええっと……投入されたのは、多分……」

「白登山とか、官渡あたり?ラフィア5に放り込んだなんて言わないでよね」

「いや、その……時間座標と空間座標は正常なんだ……でも、タイムライン軸に問題があって……もしかしたら、別の世界に送っちゃったかも……」

「そういうリスクはとっくに言ったはずでしょう?それなのに、予想の斜め下をやらかすなんて。全く呆れるわね……」

「どうしよう……先輩助けて……このままじゃ、卒業できなくなっちゃう!」

「はいはい、じゃあこうしましょう。まず先に、転送先のタイムライン軸を特定して頂戴。中間報告する時は、教授に時間因果律の波動に影響を与えないよう、作品を別のタイムラインに送ったと説明するの。その後は時流物理学の先輩たちに相談して、タイムラインの観測を手伝ってもらえないか頼んでみるわ」

「サンキュー先輩!やっぱり顧姉貴は最高だ!今度ピザ奢りますよ!」

「ゴマをする暇があったら、とっととそのポンコツ病を治しなさいよね。……そうそう、ピザはシーフード以外でお願い。私アレルギーなの」




「それで、東洋古代史の期末課題はどうするつもり?」

「そうだな……アイデアはある。ブランキ6は『平民は歴史の創造者である』って言ってるだろう?考えてみれば、僕らだって平民だし、歴史を創造しても良いと思うんだ」

「あんたのどこが“平民”よ……それはさておき、“歴史の創造”ってどういうこと?まさか、レポートをでっち上げるつもりじゃないでしょうね」

「でっち上げなんかじゃないぞ、かつてない大事業さ。なんたって、“生の資料”が手に入るんだからね」

「生の資料?タイムリープでもする気?あんた、ハイペロン物理論は履修してないって言ってたじゃない。それに、“タイムリープ”ってのもありがちなアイデアね。項█龍にでもなったつもり?」

「先輩!80年代のドラマネタなんて使ったら、きっとD評価になっちゃうよ!……話を戻すと、僕は“歴史の創造”を本当にやろうとしてるんだ。作品を古代に転送して、タイムラインの変動を記録するっていう感じでね。実践教育学とハイペロン物理学、心理史学を組み合わせれば、A評価は堅いだろう!」

「へぇ、面白そうじゃない。でもあんた、どういう作品を送りたいの?歴史の変動が激しすぎると、警告を受けるかもしれないわ。あまりにも平凡な作品だと、観測に引っかからない場合もあるけど……」

……



厳かな咸陽宮にて、贏政はくしゃみをした。

彼は懐を弄ると、その手に持っている竹簡に眼を止めた。

朕はいつから竹簡を握っていたんだ?

突然現れた気もするし、ずっとここにあった気もする。はたまた……2000年後からやってきたような気もする。

……それにしても、竹簡に書かれているこの文字は何だ?

竹簡の内容は開く度に変化する。だが、内容を吟味する前に、より重要な問題がひとつあるーー

そもそも、これは何の文字だ?

構造を見るに、漢字であるのは間違いないだろう。しかし、その字形は彼の知る七国の文字とは一致しない。宝物庫にある、商周時代の鼎に書かれた文字とも異なっている。これらの字形は扁平で、筆画は平直、横長縦短、蚕頭燕尾7である。まじまじと観察することで、1、2文字程度は識別できるものの、通して読むことは不可能であった。李斯8のような文字の専門家に見せれば、何かしらの知見を得られるかもしれないが、こんな小事のために宰相を呼びつける必要があるのだろうか……

贏政は首を振り、奇怪な竹簡と混乱する思考を胸の奥に仕舞い込んだ。どのみち、手元には怪しげな物品が毎日のように現れるのだ。これらの対応には、もっぱら尉繚9と近衛兵があたっていた。

天涼しくなりにけり。かくして東方六国は滅亡す。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。