D-877
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今日は幼稚園に子供を迎えに行かなくては。 — わたしの席である、3列目の椅子に座りながら思った。 — Sandraは遅くまで働いているから、わたしがやるしかない。これは父親であることの利点だった。

わたしは辺りを見回し、わたしの招き入れられた部屋をまじまじと見た。どこかのコンサートホールのように、おそらくは何千人も収容できるであろう巨大なものだ。貴重な経験だった。

二人の男がステージに立った。わたしは少し、視覚的に不自由だった。だから彼らがドレスではなく、スーツをまとうまでは、二人の性別を認識できなかった。投票の後、一人は壇上に立っていて(彼はわたしに笑いかけられたと感じていたようだった)、全てのライトが彼に向けられた。もう片方の男は、いくつかの小さなテーブルの後ろに立っていた。 — わたしの期待した通り— 笑顔で。

最初の男が何事かつぶやき、マイクに2枚のテープを張ったとき、わたしは立ち上がり、拍手喝采をした。拍手をしていたのはわたし一人だったので、その拍手は、こだましながら周囲へとひろがっていった。しかしそれは別段変わったことではなかった。わたしは3列目の端に座っていたのだから。

数秒後、わたしは拍手が十分であると判断し、拍手をやめ、元の席へ座った。
わたしは何をするつもりだったのだ?と思った。

— ありがとう。 — 壇上に立つ男は、非常に大きく、重く、しかし明るい声でそう言った。 — ご存知の通り、ここでは、誰が最終的に優勝を勝ち取ったか、公式に発表するためにこうして集まっていただきました。

わたしは呼吸が速くなり、手汗をかいてきたのを感じていた。わたしは勝つ必要があった。それがわたしがここにきたわけだからだ。そして…そしてわたしは成し遂げる必要がある…。わたしは幼稚園に子供を迎えに行かなくてはならない!いますぐに!すっかりわすれていた!

その瞬間。

わたしは偶然、Sandraに出くわしたのか?

— ステージ上で — 巨大な声が再び鳴り響いた。 — ここはわたしたちがあなた方に賞を授与する場所です!そのためにあなた方を招待しました…。

わたしは汗が額を伝っているのを感じていた。わたしは部屋全体をゆっくりと見回す、壇上の男から目が話せなかった。
突然、わたしは何かせずには居られなかった。わたしは子供たちと何か、またはSandraを、わたしはあまりにも重要なことを忘れていたと思った。

— …3列目のジェントルマン!

わたしだ! — わたしは興奮の爆発を隠しきれて居なかった。 — わたしだ!わたしだ!
わたしは、3列目で唯一の男性であることを確認しようと、辺りを見回した。そう、そこには誰も座っていなかった!
わたしは勢い良く立ち上がり、舞台からの拍手を聞きながら、2人の男性のほうに勢い良く進んでいった。

いくつかの手順をこなした後、わたしは、部屋の全てを見ることのできるこの舞台から、自分自身の席を見つけ出した。
すばらしい気分だった。 — 勝者としてここに立ち、空の座席を見て、表現しがたい、覚えがたい勝利の充足感を味わっていた。

わたしは笑いながら男へ近づいた。わたしは彼が、本当に長く、豊かな黒ひげを蓄えていることに気がついた。彼はわたしに向かって、笑顔で手を振っていた。

— おめでとう。 — 彼は心からそう言った。 — あなたが優勝してとてもうれしく思っている。

わたしは言葉が出なかった。とてもうれしかった!彼はまだわたしの手を握っていて、わたしの前でほとんど火ざまづいて、今にも泣き出しそうだった。
数分後、わたしは人生で最高の時間をすごし、彼はつかんでいた手を離し、ステージ後ろのドアを指差した。

わたしは突然忘れていたことを思い出し、向きを変え、彼らのほうへ歩み寄った。そして、同時にひげの男がこう言った。:

— あなたは何かを忘れていたのでしょう。

わたしは激しくうなずき、微笑んだ。わたしは、自分の居るところへ、テーブルの後ろに立っていたもう一人の男が近づきつつあることに気がついた。背が高く、きれいにひげをそってあり、とてもエレガントな男性だった。彼はこちらへ来て手には何か紙を…卒業証書だ!本当に!— 卒業証書だ!

— セレモニーの一番重要なところを忘れるところだった! — 彼は高く、早口な口調でそういった。それから、彼はわたしをつかんで、表彰台へと向かった。そして彼は、正式に宣言した: — 第3クラスのリーダーは、今日からD-877と呼ばれる栄誉を授かった! — それから彼は、わたしに卒業証書を渡し、スピーチをするように促した。

私のひざはコットンウールでできているように言うことを聞かず、わきの下の汗のしみは、文字通りTシャツの表面全体に広がった。私はD-877だ!私以外の誰でもない!この私だ!

— あ…ありがとう。 — 私は光がまぶしく、恥ずかしがっていた。そして、私はあまりうまくしゃべれなかった。しかし、私はマイクから離れた後、わたしが本当にうまくやったのだということを自分自身に認めさせた。私は— D-877だ!

— さあ、ステージを横切って。 — ひげをそっている男は、もう一度手を動かしてそう言った。しかし、わたしが歩き始める前に、再び思考が落下した。私は確信することはできなかったが、何かをすることになっていた。

私は、男の前を横切ろうとして、男に止められ、少し動揺した(会場にはたくさんの群集が -おそらく千人以上ー いた。わたしが話すのを見て、わたしがD-877であることをうらやましく思ったでしょう。)。私は彼のまじめな目を臆病に見つめることしかできず、彼は短くこういった。:

— Sandra婦人と子供たちがまっていますよ。

その通りだ!私はサンドラと子供たちに会う約束があったじゃないか!どうして忘れられようか?私はD-877になれたと彼女に伝えなければ!わたしがD-877だ!他の誰でもない!

誇りを持ち、まるで一国の王であるかのように堂々と、すぐにドアに向かい、ハンドルを回した。非常に長い、蛍光灯に照らされた真っ白な廊下が私の目の前に現れた。壁の近くの長いベンチや、短いベンチにはたくさんの人が座っていた。私は興奮した!

— D-877氏 — 私は突然、人の声を聴いたが、それがどこから発せられたものなのかわからなかった。 — 彼はドアを離すように言っている。

ようやく、私はまだドアノブを握ったままであると気がついた。私はその声にしたがって、ドアを手放した。しかしなんて退屈なんだ!私に、D-877に何かをさせてくれ!

— 今 — ドアが閉められたとき、もう一度声を聴いた。 — D-877氏、恐れながら天井を見てくださいませんか。

彼が丁寧に言ってきたので、私は見た。そして、すばらしいメッセージを発見した!黒い文字で: 「Sandra婦人と子供たちは列の先ですよ」! 私は彼女らに会うことをすっかり忘れていた!

— D-877氏はすぐにSandra婦人と子供たちと面会した。 — 歓声が続き、私はとても興奮していた。 — D-877氏は、今D-877氏の左隣に座っている、D-876とD-878の間に座るよう言われました。

私は二人の男を見た。 — オレンジ色のTシャツとズボンを同じように身に着けていて、彼らの数字の書かれた卒業証書を手に持っている: D-876 と D-878だ。 — 明らかに講演者を気にせず、何度も何度も、興奮して廊下の端を見返すだけだった。

私に何ができる?いくつもの嫌悪感を押さえつけて、私はこれらの平民どもの間に座って、私の美しい卒業証書を眺めた。D-877。 D-877、同じものだ!

ある時、私は同じ声をもう一度聴いた。今度はこう話した:
— D-320氏は、DCP-PL-011に入室し、Sandra夫妻と子供たちと面会しなさい。

幸運なこじきが。 — 私は思った。 — やつはまた会うことができる!

しかし、落ち着け。私の番は最後だから、より長い時間が得られるぞ、D-877!私はすぐにSandraと子供たちに会えるだろう。わたしがどれだけ興奮していることか!


改良型のアミン試作品の実験。職員には、潜在的にSandra婦人と子供たちに関する記憶を植えつけた。単一の個体に対して、刺激に対する感受性の増加を特徴とする。
準備はうまくいくが、記憶の形は不完全なままだな。まだ依然として改良の余地がある(囚人は余計なことをあまりにも多く考えすぎだ)。もう少し薬を強くすることを推奨する。 - █████博士

割り当て中の全ての潜在意識を植え付けた職員が、部屋が空であることを認識した。こういった状況の不整合が大多数から報告されたが、そのうちのいくつかは、それらの意味を認識し、精神的な閉鎖、緊張への移行、または人員と争おうとするなどの行動を引き起こした。私はこれと同様のケースにおいて、終了を行う許可を求める。
私は意識的な職員が100人を超えない場合は賛成する。 - ███████博士
もし超過した場合、式の形式を変更するように。 - O5-██

D-877に副作用が確認された。かれは視力に問題が発生している。数式の再テスト、または改正を提案する。
1つのみのケースではまだ副作用であるとは認められない。拒否する。それに、D-877は███と対面した後、死体の除去を行った。非常にいい兆候だといえるだろう。彼についてはもう調査しない。 - ████████博士

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