世界の夜明け
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今日、我々は戦いに勝利した!

かつて敵は多くあった。

太陽と共にあろうとする者たちがいた。
連中は私利私欲のために異常を異常なままその手に置いておくことができると勘違いしていた。
我々は彼らの驕りを解放することでそれら全てを救った。

前代から続く人類の英知が月を追い落とせると信じていた者たちがいた。
連中は異常の存在を否定することで自分たちが正常であると信じていた。
我々は彼らの過ちを解放することでそれら全てを救った。

最後まで残ったのは空を支えてきた間抜け共だ。
連中は異常をSCPと呼んでは手元に囲い込み、この壊れた世界を生かし続けてきた者だ。
我々は彼ら自身を解放することでそれら全てを救った。
それが今日のこと。

我々、"夜明けの解放戦線"は勝利したのだ!

—隣に立つ仲間が問う。「これからどうなるのですか?」

私は答えよう。

これから秩序ある混沌が生まれる。
狂いを認められぬ世界はここに崩れ落ち、そして再生する。
異常が異常ではなく、全ての怪異と矛盾を許容する世界が生まれるだろう。

太陽は力を増し、月は夜を縦横無尽に駆け巡る。
遥か彼方の空が音を立てて落ちていくのが見えるか。
そしてアダムが再誕し、イブが蘇るだろう。

世界は新たな夜明けを迎えるのだ!

「そうですか。よくわかりました」

—彼は撃った。語る男はゆっくりとその場に倒れる。
そして彼は彼方を見た。
空が昇る。月は己の道に戻り、太陽は鳴りを潜める。

「異常に満ちた世界を解放する。我々は"異常からの解放戦線"である」

彼は裏切っていた。
世界が異常で満たされること。それは世界が異常に束縛されていることに他ならない。
束縛から解放されなくてはならない。それが解放戦線だ。
だから組織の目的を聞いたときから、裏切ることを心に決めていた。

己の意志に共感し、ついてきてくれた仲間もいる。その彼は言う。「これからどうなるのですか?」

「これから世界は平穏と日常を得る」

—その時、彼の仲間は撃った。

もう一度空が落ち始める。

彼は言う。「我々は"日常からの解放戦線"である」

彼は裏切っていた。
世界が平穏で満たされること。それは世界が平穏に束縛されていることに他ならない。
束縛から解放されなくてはならない。それが解放戦線だ。
だから男の目的を聞いたときから、裏切ることを心に決めていた。

仲間もいる。「これからどうなるのですか?」

「これから世界は崩壊するだろう」

—その時、彼の仲間は撃った。

彼は言う。「我々は"目的からの解放戦線"である」

彼は裏切っていた。
目的を達成するために動くこと。それは己が目的に束縛されていることに他ならない。
束縛から解放されなくてはならない。それが解放戦線だ。
だから男の目的を聞いたときから、とにかく裏切ることを心に決めていた。

仲間もいる。「これからどうなるのですか?」

「これから—」

—その時、彼の仲間は撃った。

彼は言う。「我々は"スプーンの自由解放戦線"である」

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