初登頂
評価: +11+x

あれから何時間が経ったのか。いや、何日間か? 懐中電灯の電池が切れたのが遥か昔のことのように思える。時計も支給してくれればよかったものを。ああ、この暗さではどうせ見えないか。ならばバックライト付きの…いや、もういい。今更言っても始まらない。

俺が探索任務とやらに駆り出されたのが8月の最後の木曜。今は何月だろう。非致死性武器と無線機を持たされてはいるが、今や無用の長物だ。そう思って捨てたのだが、こいつらがピタリと俺のあとをついてきやがる。当然か。俺は再び無線機と銃を腰に取り付けた。名前でもつければ愛着がわいてさみしくなくなるかとも思ったが、俺はまだ正気だからやめておいた。

なるほど確かにこの武器は非致死性であることが確認できた。ついでに非致死性とは痛くないという意味ではないということも再確認できた。ちくしょう。傷は治るのになんだって喉が乾かないし腹も減らないんだ? 試しに壁に触ってみたら、やっぱり派手に指を擦りむいた。ケガは普通にするようなので、最悪死ねないということはなさそうだ。奴らに教えてやったら喜びそうな結果だな。残念ながらその方法も機会もなさそうだが。

あまりに暇なので龍之介としりとりをしてみた。沙也加はこの前のあっち向いてホイでズルをしたのでお預けだ。しりとりは龍之介の圧勝だった。強いなあお前は。

底が見えてきた。ようやくこの旅も終わりか。…待て、見えてきただと?この暗闇で?こんなところに光があるとしたら、理科の教科書で読んだ…マントル?マグマ?とにかく地球の中心に辿り着いちまったってことか? おそらくこれを肉眼で見たのは俺が人類初だろうな。やったぜ。ざまあみろ、俺が人類の頂点だ。しかしマグマってのは意外に暑くないんだな。…ん?なんだあれは。こんなところにも生物がいるのか? いや、あれは、そんな、ああ、そんなはずは!早く、早く死ななきゃ!ああ、間に合わない。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。