私は恐れを抱いた。
恐れもまた私を抱いた。
私は言葉に出来なかった。
其処には静寂のみが在った。
私は暗闇の中で、言葉を探した。
其処には語らう者なぞ一人とて無かった。
私は暗闇の中で、音を探した。
音は無価値であれこそ囀った。
空虚は決して訪れない。
私は無を訪ねられず。
私は恐れられず。
私は恐れず。
私たちが宇宙で共鳴を囀ることは出来ない。
ライトミュージックが真空を横切る。
囀り始め、轟唸っている。
精魂が震えてゆく。
無があそこに。
事象がここに。
光はここに。
光があそこに。
シャンデリアがまわる。
たちまち、フォトンが踊りだす。
無が創造されたのか破壊されたのか。
破壊されるものより更に無が創造されたのか。
観察されない時事は、彼ら自身で観察する。
観察それこそが物事の本質である。
非事象はその様であらず。
事象はその様である。
事象は何処から?
非事象は何処から?
空虚は何処から?
私達は何処から?
無はその様である。
万物はその様であらず。
私達は未だ、目を閉じている。
私達が窺い知れば、静寂の対称性が生まれる。
何もない。
一つ、二つ、とまた。
夕日が沈み私たちは生きる。
私たちは何も享受せず繁栄する。
観察されない、管理されないものはない。
私たちはとても、安らかに奥深く喜ばしく忙しなく、生きていた。
朝日が昇り、それにより私たちの盟約は破棄される。
私たちは、海でなく宇宙の泡沫へ変化する。
世界のあぶくがはじける。
風があぶくを届ける。
彼ら、私たち、私。
何もない。
[此処には全が無いらしい]
無意味だ
[此処には無が在るらしい]
何故か
[!無 !=幾]
そして
[無 != !幾]
あの音は一体何だったのか?
きっと何でも無い。
あの音は一体何だったのか?
きっと何でも無い。