SCP-3002-3

2016年8月8日(月)8:49pm、O5-2 (o5_2@foundation.scp) 文筆:

R.

ヴェレスの思っていた通り、これは副作用ではないようです。彼女はレテを知っている人間を優先して狙っていると思われます。我々がプロジェクトに参加させていた全職員とサイト-Eに残っている全物品を処理するよう私からrrhに通達しましたが、時間が足りなかったためrrhは傍受を避けるために現地を離れざるを得ませんでした。

E・ペルーン
O5司令部
o5_2@foundation.scp


文書執筆者: ダリル・ロイド博士
日付: 2016-08-04

警告: 以下の文書はレベルX情報災害(危険度極大)を含んでいます。ミーム安全化プロトコルを実行しました。適切なクリアランスを持つ職員に対しては、文書を通して複数の高強度ミーム対抗因子を無作為に拡散しています。不適切なクリアランスによってこの文書のアクセスを試みた場合反ミーム的鎮静という結果に終わります。シード: lsP28sZuj3iii2

アイテム番号: SCP-3002

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-3002を内包する全ての文字媒体は公式のSCP文書を除いて破棄しなければなりません。SCP-3002の文書へのアクセスはレベル4/3002以上のセキュリティクリアランスを持つ職員に制限されます。管理権限によるオーバーライドは、O5司令部と記録情報セキュリティ管理室の現職の室長を除き拒絶されています。

ヴェセルカ・プロトコルは更新され、被影響者を判別するために使えるミームトリガーが追加されました。被影響者を検出した場合は遠距離武器を用いて鎮静し、回収または終了します。被影響者の重要性や重大さによっては、外科的な記憶処理を行っても構いません。

全ての記憶が汚染された(あるいは外科的に大部分を摘出したことで手術後通常の機能に支障が出た)際は、被影響者の死を隠蔽するため財団標準プロトコルによって終了しても構いません。レベル4以上のクリアランスを持つ職員は、影響が発見された場合"重要人物"とみなされます。外科的な記憶消去は人間の中にいるSCP-3002を除去する唯一の信頼できる方法であることが示されています。2016/██/██以降、薬剤やエアロゾルを用いた記憶処理によるSCP-3002の除去は全て失敗に終わっています。

SCP-3002を内包するコンテンツを積極的に作成している印刷会社およびウェブサイトは意図的であるか否かを問わず閉鎖させ、運営者を終了してください。当該会社・ウェブサイトが作成したコンテンツは全て破棄してください。SCP-3002に関する実験およびインタビューは現職のプロジェクト責任者1が許可を出した場合を除き実施してはなりません。

説明: SCP-3002は曝露対象の記憶に広範な効果をもたらすクラスX伝染性ミーム災害です。SCP-3002は対象のいかなる記憶も除去、改変、置換することが可能であり、対象の実体験に基づかない記憶を作成することも可能です。SCP-3002は陳述記憶2と潜在記憶3に影響を与えることができます。被影響者は改変された記憶を自分のものであるとみなし、その記憶に従って行動します。以上のようにSCP-3002は対象の人格や行動に影響を及ぼす能力を持ちます。

SCP-3002の感染媒体は特定の偽記憶(子供時代に森を歩いた記憶、友人と口論した記憶、リリー・ヴェセルカという名前の移民の少女に関する記憶)の伝達であると考えられていました。しかしその後、被影響者の持つあらゆる記憶の伝達がSCP-3002の感染に繋がるということが確認されました。感染は文字、発話、電子通信、数式、思考4といった媒体を経由します。

感染は「リリー・ヴェセルカ」の偽記憶に関する言及を含まないこともあり、その場合でもSCP-3002の被影響者は無関係の記憶や体験の一部としてその名前の人型の女性を思い出します。この実体(SCP-3002-1と呼称)は「非常に白みがかった金髪で血色のない外見をしており、東ヨーロッパの国から来た幼少期の友人」であると説明されます。影響を受けた記憶の中で、SCP-3002-1は対象に近づき、実体自身に直接関わる質問あるいは不詳のプロジェクトに関する質問をします(「私についてどんなことを覚えている?」、「あのプロジェクトは終わった?」など)。

SCP-3002は極めて高度な適応行動を取ることにより収容を回避しています。その適応行動から、SCP-3002またはSCP-3002-1が知性を有しているという仮説が立てられています。疫学的研究より、大量の情報を作成している人物、またはスラブ系か東ヨーロッパの歴史と地理に関して大量の研究を行っている人間を故意に狙っていると推測されています。

SCP-3002が最初に発見されたのは2014年、多くの受刑者が幼少時代の特定の日に関して極めて類似する記憶を有していると刑務所の心理学者が報告した際のことです。初期収容時、SCP-3002は単純な共有記憶であると考えられていました。しかしさらなる調査により、初期収容時には現れていなかった(あるいは発見されていなかった)作用が判明しました。SCP-3002の当時知られていなかった作用により、刑務所の職員の多くはSCP-3002の汚染を受けていたと考えられており、現在でも気付かれずにSCP-3002を拡散する媒体として機能しています。詳細なデータは現在も収集中ですが、アメリカ中西部の人口の多くはSCP-3002に曝露していることが疑われています。

補遺3002-4: インタビュー3002-3実施から約4ヶ月後、RAISAオフィサー・ワイトリーは、インタビュー後に予定されていた休暇中に自動車の運転を誤りました。命に別状はありませんでしたが、オフィサー・ワイトリーは脊髄に重度の損傷を負いました。当初ワイトリーと事故について会話したRAISA役員はその異常な行動に注目し、SCP-3002の既知の影響との関連性を指摘しました。その後、ロイド博士はワイトリーとのインタビューを行うよう連絡を受けました。

<記録開始>

ロイド博士はサイト-923の医療館にあるRAISAオフィサー・ワイトリーの部屋に入り、ヴェセルカ・プロジェクトの一環で設計された物理的ミーム対抗因子を発動する。

ワイトリー: ロイド博士。お会いできて嬉しいです。

ロイド博士: 私もです、ワイト。ここの扱いは満足ですか? 快適ですか? 食べ物は十分ですか?

ワイトリー: ええ、もちろん。言うことなしです。

ロイド博士: (両手を打ち鳴らす)ところで、ジェンから具合が少し悪いと聞きました。あなたのここのことです(自分の頭を指差す)

ワイトリー: 私の知る限りそんなことはないですね。

ロイド博士: そうですか。ふむ、では少し前にリリー、つまりSCP-3002についてヴァンダービルトと話したことは覚えていますか?

ワイトリー: ええ、覚えています。申し訳ないですが、怪我のせいで最近記憶が曖昧になってきていますね。

ロイド博士: 子供の頃あるいはそれ以外のときでも構いませんので、リリー・ヴェセルカという名前の女の子に会った記憶はありませんか? よく思い浮かべてください。彼女が思い出されないことを望めば、思い出すことはできません。

ワイトリー: そのような名前の人物は記憶にありません。

ロイド博士: (ため息をつく) オーケイ、話題を変えましょう。あなたの最近の行動は少し妙ですし不自然です。最近になって何をしていたのですか? 何故休暇に行ったのですか?

ワイトリー: ずいぶん長い間、ある一つの問題について研究したいという軽い衝動を感じていました。特に財団のファイルとデータベースの中を。

ロイド博士: 衝動に駆られるままに行動していたということですか、ワイト? 私には知る義務があります。

ワイトリー: 否です、博士。有害なミームが存在している可能性は認識していましたし、ミーム排除のための適切な対抗因子も摂取しました。

ロイド博士: (顔をしかめる)それで全部ですか?

ワイトリー: いえ、ミームの脅威を適切に除去した後、自分の意志でこの研究を実行しました。好奇心を満たすために。そしてSCP-3002と類似する実体に関する文献とレテという名前のプロジェクトを見つけました。

ロイド博士: なるほど、しかし何を見つけたんですか、ワイト? 時間がないんです。リリーについて何が分かったんですか?

ワイトリー: お答えできません。私の自動車の追突事件。あれは監視映像では事故ということになっていますが、事故ではありません。無関係の車が急に3台同時に向かってきて道路から飛ばされたのです。

ロイド博士: ワイトリー、これが回答する最後のチャンスです。あなたはSCP-3002に汚染されていて、研究を妨害するためにわざと情報を隠しているのではないですか?

ワイトリー: ロイド博士。私はあなたをあまり信用する気になれません。申し訳ありませんがもうインタビューを続けたくはありません。(ワイトリーはその後全ての質問に無反応となった)

<記録終了>

RAISAオフィサー・ワイトリーは、ヴァンダービルト博士との接触時点よりSCP-3002の影響下にあったことが確認されました。ワイトリーが財団とSCP-3002にもたらす混乱と危険性から、終了が推奨されました。終了は2016/██/██に薬殺注射を用いて行われました。

探査記録3002-5: [編集済]から引き出した情報を元にエージェントをウクライナ西端のウジャンスキー国立公園に派遣しました。エージェントは廃墟となった地下研究施設を発見しました。この施設は2013年に放棄されたと見られています。施設内の標識と文書から財団との関連性が示唆されていますが、この場所に施設があるとの記録はウクライナにも財団にも存在しません。

施設の全体的な状況はかなり昔に放棄されたことを示唆していますが、最近行われた活動を示す証拠も存在します。大量の文書と紙が焼却されており、数台のコンピュータがメモリと記憶デバイスを失った状態で発見されました。施設の焼却炉のうち1台はエージェントが到着する直前まで稼動していたことが判明しています。内部の灰に対するその後の分析から、SCP-███と一致する人間のDNAの痕跡があることが確認されました。

施設全域にわたる調査の際、エージェントは焼却された文書が山積みになっている研究エリアを発見しました。発見された文書のうち1部が化学処理によって読める状態に復元されました。

ヴェレス、

レテ・プロジェクトの活動を積極的に続けていくのはリソースの有効利用とは言い難いと考えています。レテが"壊された虚構"型シナリオを回避する上で極めて有効な手段であることは確かですが、プロジェクトを単一のアノマリーに頼ったことで対象に過度なストレスを与えてきました。手術に侵襲的な機器を用いているせいか、彼女の運動能力と認識機能は次第に低下しています。認識機能の悪化の一例として、彼女は自身のかつての名前や呼称に返答することもそれらを名乗ることもなくなりました。

それに加えて彼女は技術者と働くことに対しいっそう消極的になっており、手術を逃れようと自傷行為に訴えるまでに及んでいます。彼女は数日前に自殺を試みたため、現在は常に監視下にあります。具体的な方法ははっきりしていませんが、現時点では食事中に食器を隠し持ち、数週間経った後にそれを自身に刺したと考えられています。

これまでは、彼女が収容以前に楽しんでいた様々な趣味や活動、具体的には写真や読書などをさせてやることでこの種の精神的苦痛を与えないようにしていました。

とはいうもののしかし、私としては"壊された虚構"の際にはコントロール可能な大量記憶処理や記憶改変アノマリーが適していると確信しています。よってこの分野の研究開発の続行は賢明なものと言えるでしょう。知っての通りレテで使用されているミームトリガーはごく一部を除き全ての人類に存在しているため、人類の記憶の基準点として機能させるだけでなく、人類の記憶を制御できるよう改造することもできるかもしれません。このミームトリガーはイエローストーンの神経学的アーキタイプスキャンに組み込んでありますので、人間に依存しないプロトコルを現行人類の寿命より長く継続的に使用することも可能となるでしょう。

- ペルーン


施設の調査中、エージェントは侵襲的神経外科に用いられる器具に合った手術台を発見しました。同室で発見された医学文書と拘束具は、この場所で手術を受けた被験体が手術中も意識を保っていたことを示唆しています。また機器の磨耗から頻繁な使用があったことが示唆されています。


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