Grasp On Reality
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現実改変能力者の話をしてやろう。

まず、俺たちは奴らのことをビクスビー(Bixby)ってコードネームで呼ぶようにしてる。そうすれば、うっかり民間人に話を聞かれちまっても面倒が起こりにくいし、自分の能力のことをよく理解してないビクスビーと話をするときにも、余計な情報を与えずに済むからな。

奴らはとにかく危険な連中だ。どうしても必要なとき以外は接触は控えろ。どうしても必要なら、まずは礼儀正しい態度を心がけて、後は何か楽しいことでも考えるんだな。そうすればうまくいくかもしれねえ。いかない可能性のほうが高いけどな。まあ、ビクスビーの相手はできる限り専門家連中に任せるのが一番だ。

ほとんどの場合、俺たちは奴らを収容対象にはしない。ああ、財団の本来のやり方とは違うが、俺たちもまともに暮らせる世界が欲しいからな。この点に関しては、財団とGOCの見解は基本的に一致してる。奴らには消えてもらったほうがいいってな。

さて、およそ何でもかんでも可能にする能力を持った奴と戦わなきゃならねえとしよう。どういう作戦を立てればいいと思う? いいか、まず奴らも自分が思いつかないことをすることはできねえ。奴らは、多分全員が読心能力の持ち主だ。だが、人の心を読むということを思いつかない、あるいは読めるということを知らない奴だったとしたら? そもそも心を読もうとしてこないわけだ。忘れるな、奴らはお前よりも賢いとは限らねえ。奴らは何だってできるし、お前が知らないことを知ってるかもしれないが、だからと言ってお前よりも賢いわけじゃねえんだ。

次に、奴らは能力を使うのに精神集中が必要だ。前に財団とやり合った男は、能力を使って、自分を見張っている人間全員の情報を把握することにした。おかげで20人も殺されちまったが、その後にこっちは集団で強襲をかけた。そして奴も、こっちの部隊を残らず全滅させることはできなかったのさ。

一番厄介なビクスビーか? どういう意味で厄介かによるな。俺の考えでは、ガキのビクスビーだ。そういうケースは、ほぼ必ず銃でケリをつけることになる。スナイパーがいるんだから始末するのは簡単だが、始末と言っても要は殺すってことだ。3歳のガキを射殺すれば、さすがに心に傷が残るもんだぜ。もちろん、財団で仕事をしてればもっと厄介なことをする機会もあるけどな、多くはない。

一番始末しにくいって意味なら、基本的には10代後半から20代前半のビクスビーだな。それより若い奴は経験が足りないせいで大きな危害を加える方法を知らないし、逆に年を取ってる奴は発想の柔軟性が足りないせいでやれることに限界がある。10代後半から20代前半くらいになるとな、奴らは実験を始めるんだ。思いついたことは何でもやってみて、自分に何ができるのかを確かめようとする。加減ってものを知らずにな。そういうビクスビーを相手にするときは、こっちも重火器が必要だ。

それから、必ずしも殺して終わりってわけじゃない。時によっては、特にある程度以上の年齢の奴が相手の場合だが、ちょっとばかり話をしようってことになったりもするんだ。で、この世界はそんなに価値のあるところじゃねえぜ、って説得する。どこかよそに行ってもらおうってわけだ。説得されるまでもなく、自分の意思でそうするビクスビーも大勢いる。今のところ、そういう奴がこっちに戻ってきたって話は聞かねえ。なぜかは誰も知らないがな。ひょっとしたら、この世界は本当にクソの吹き溜まりみたいなもんなのか。それとも、行った先で何かに食われちまったのか。俺にはわからん。

とにかく、これで俺が巨大な亀の化け物なんて大したことじゃねえって言った意味がわかっただろう。たとえそれが、口から火を吐く亀でもな。

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