ハロウ・インサイド
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今日はハロウィーンだ。

人々がひどいコスチュームで霊を追い払う、無意味な古い伝統に従う日だ。

よかろう。無意味な伝統に従うのは私達も同じだ。収穫の間、摂取前の食べ物を十字架に架けたりもする。しかし少なくとも、自分らを化け物だと思い込んでいる醜悪な馬鹿共が家から家へ砂糖をねだり歩いたりはしない。

溜息、結構。私達も時には出来損ないの怪物のように見えるだろう。馬鹿ではないだけマシだ。

ハルコスト(Halkost)は馬鹿だろうとはどういう意味かね?奴らは時々目を生やすの忘れて壁にぶつかって、自身を消化したりはするが、少なくとも私はそうじゃない。

その目で私を見るな、あれは事故だと言っているだろう。

しかしまあ、あの賭けを受けたのは割と馬鹿げた考えだったと認めざるを得ない。ましてや万聖節の前夜に。

ああ、どうせ貴様らは事の流れを知っているんだろう。

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人間は愚かだ、本当に。私は半身を"蛇身"のままで出歩いているのに、ハロウィンだからか誰も見向きもしない。本当に、どうやってそれを動かしているのかとさえ聞かれなかった。

とにかく。私がここへ来た目的を引くなら、"周辺地域の調査"だ。

私の考えが正しければ、自分のような者が人混みの中を彷徨う時にどんな反応が得られるのかを調査したかったのだろう。結論から言えば、何も起きない。極めて退屈で、私を一目見ただけで人間が目玉を穿りかえしていた頃が懐かしいくらいだ。汚らしい行為だが、まあ人間が穢れているのは元からのことだ。

死人に捧げられた蝋燭が教会の縁…いや、そこらじゅうで目に入ってくる。壁、床、テーブルの上。あとはカゴ一杯のキャンディを抱えた子供だ。リンゴで一杯の樽もある。引きずりだそうと思ったなら、樽を半分に噛み砕いたことだろう。

万聖節の始まりでもある。私達の方でもこのような催しがあればと思ったが、実際、こちらは死んだ聖人など何人もいない。私はまだ死にたくはないので、お気遣いどうも。死んだのを祝福されるのは性に合う方ではない。

しかし退屈だ。そろそろ戻ろ――

おっと、これは興味深い仮装だ。

歯車があたかも腕や顔に埋め込まれていて、ぴったりの銅色のマントまで着けている。これは全く持って普通のハロウィンの仮装に違いない。何せ、カチカチと機械音まで聞こえてくる。

なんてことだ、奴がこちらを見ている。尾は力を抜いた方がよかろう。これならどう見ても仮装だ。角も明らかにただのプラスチックのはずだ、覆っている不自然に赤い物質に目を瞑れば。そろそろ、非常用のリンゴを取り出す時だ。

「すみませ-わあ、ごめんなさい!他の人と間違えてしまいました。」

私は無関心に返答した。「フム、そうか。」

会話はあまり得意ではない。

沈黙。奴はまだそこに立っている。何故だ。赤く染まった爪や角を持った蛇女の隣に立っているのが、そんなに面白いのか。

熟慮なしに、私は口に出した。「誰かを待っているのか?」

「ええ、ミス。娘とですね、待ち合わせをしているんですよ。トリックオアトリートをしに行ったんです、皆みたいに。ところで、あなたのコスチュームも素敵ですね。」

「ありがとう、そちらこそ。」

さらなる沈黙。

「で、私は何だと思います?」

「司祭か。」

かなり後まで、私は自分の間違いに気がつかなかった。やはり私も間抜けかもしれない。

「司祭、ですか?興味深いですね。私から見るとあなたは、うーん、そうですね。英語で言えば、聖人のようだ。」

機械音がいちいち気に障る。良くない流れだ。

「聖人?むしろその反対の姿をしていると思うが。」

「聖人が美しい見た目をしている必要はありません。私達のもそうです。」

どうにでもなれ。奴は既に気付いていることだろう。

「私は怪物のような見た目だ。少なくともそちらの聖人は磨かれた姿をしているのだろう、文字通りに。」

「あなたは磨かれてない時の彼を見たことが無いんでしょう。中身は皆同じ人間、そうは思いませんか?仮装をしていも本質は変わりません。本を表紙で判断したり、タイトルで分けたりしないように。」

「確かにその通りだ。」

見ろ、奴の娘が戻ってきた。マントを付けて口からは小さな歯が突き出ている。カチカチ音は聞こえてこない。

「パパ!これを見て!」

「これはちょっと多すぎるんじゃないいかな、エミリー?歯車が詰まって歯医者さんに行くことになりそうだ。そうだ、あなたも少しもらいませんか?僕は甘い物が好きな方ではなくて。」

これにはあっけにとられた。私に食べ物を、ましてや娘のキャンディを差し出してくる者など、誰もいなかった。いや、何者でもないだったらおかしい話だ。

「ありがとう、だろうか。気にするな、歯は十分にある。」

「でしょうね、ではまたどこかで。」

「そうはならないだろうな。」

心の中で、次に会った時に殺さない人間のメモをした。同時に、味蕾も持っていないのに山ほどのキャンディを抱えている自分に、途方に暮れた。

アルコーンはキャンディを好むだろうか?

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