正常性とテロリズム
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devil

2019年 6月26日 ヤマンタウ緊急指令部

ティグリス炎上の再来たるSCP-3221の収容違反から24時間、オリンピア級現実改変者による次元侵攻は既にタジキスタン全域を掌握しつつあった。
  
南北国境は辛うじて政府やGOCに守られているが限界があった。原因は政治だ、世界の火薬庫に囲まれ緩衝地帯となっていたせいで何処も軍を動かす事が出来なかったのだ。

「ORIAから協力要請があります。欧米諸国と中国の圧力がなければとの事ですが。」

「壊れたる教会の打診も、しかしカモフラージュが必要です。動けば世界に異常が晒されます。」

救いの手が正常な世界に阻まれスタッフは頭を抱えていた。そんな時だ、何処からともなく声が上がった。

「正常性を揺るがしましょう、世界を混乱させて時間を作るのです。」

「そんな混乱何処にある。」

「世界の頭を潰します、大統領や首脳をまとめて。」

「同時多発なんて時間的猶予はないぞ。」

「まとめてやります。G20で。」

世界最悪のテロ事件はこうして始まったのである。


2019年 6月27日 サイト-8100 イヴァノフ政治局長代理

状況は酷くなる一方だ。理事は全ての責任を押し付けてSCP-3221の対策に動いている。もはやヴェールを捲ったほうが幾分かマシといった状況に酒を呷りつつ切り出す。

「G20で各国首脳をまとめて抹殺しないといけない。手段問わずだ。でないと世界が終わる。」

「ですが成功でも世界が揺らぐのでは?下手をすれば世界大戦が起きます。」

「世界を揺らがす必要があるのさ。国連はともかくGOCの了承は取れてる。」

未だに顔が覚えられない同僚に応える。

「それでどうするのです?」

「ORIAと組む、奴ら生贄を差し出した。」

もう一口酒を呷ると全員に見えるように資料を放る。

「ハサン・ロウハーニーだ。」


2019年 6月29日 日本 G20サミット ロウハーニー大統領

異世界からの侵略は既にタジキスタンを食い破り近隣諸国を飲み込みつつあった。アフガンとロシアの防壁に阻まれ周辺国に流れた悪魔の軍勢はいまやイランに迫りつつあった。

私は悪役になる決意をした。日本に集まる予定の各国にこう切り出したのだ。

「我が国が抱える核問題を永久的解決する為の提言をしたい。」

各国は私の為にサミットでの場を設け、私は今ここにいる。トランプは上機嫌に笑いかけ、ドミトリー首相以外は和やかな雰囲気だ。私は壇上より世界に語る。

「皆さん、私は今日、世界を変える為ここにいます。世界は今、大きな変革期を迎えています。中東はいまや代理戦争の場となり、テロは世界を脅かしています。しかし私は善性を信じ、人々に奉仕してきました。これから私が行う事は正義の為です。人々よ、神々を忘れないで下さい、正義を忘れないでください。それが私の唯一の願いです。」

私は静かに時計に仕込んだ爆薬のスイッチを押しこむ。それは、正常たる世界の終わりだった。

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