年糕の美味しい作り方、そして年糕を食べることによるその効果。
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学徒諸君、起立!!

皆とは初対面だな。まずは自己紹介から始めよう。私は劉、家政科教務の主任だ。同時に料理学会の顧問教諭でもある。もしもまだ学会に加入しておらず、また料理について興味を抱くのならば、授業後に参加申込を受け付けるとも。

礼。学徒諸君、御早う!

大変宜しい。では、席に着いて。

知らず知らずの内に一学期が過ぎ去っていった。諸君は学院での生活に慣れることが出来ただろうか? 我等が聖クリスティーナ学院の他所とは違う先進的な学舎と教育課程に、皆は戸惑いを得たことだろう。だが心配無用。諸君は間もなく学院へ順応し、そして学院と、その全てを創り上げた学長殿を強く誇りに思うこととなる。私はそう深く信じているよ。

さて、本題に入ろう。料理学会主催、新春のワークショップへようこそ。これより授業を始めよう。

このワークショップでは、皆にささやかな春節料理の調理法を伝授する。授業の後、諸君は諸君の家族がたいそう仰天する御馳走を作れるようになる。絶対と保証しよう。最初の授業では諸君に年糕ネンガオ1の作り方を教える。皆、私の手順に従い後を追うように。そこの調理器具には無闇に触れないこと。外のものとそっくりな見た目だが、ずっと先進的なものである。些か危険でもあるから、くれぐれも、くれぐれも慎重に扱うように。

まず、餅米粉400グラムをこの袋から――おっと!袋こそ小さいが、無尽蔵に餅米粉が出てくるぞ!しかも、なんとダマにもならない!そこで、餅米粉に澄麺ドンミン2を加える……そうだ、そこの袋から取り出したまえ。

次は蔗糖と片糖ピェンタン3を切り分ける。傍にまな板が無いかな? 糖を並べよう、その前に手袋を着けることを忘れぬように。素手で直接触ってはなら――

……そのまな板は、上に置かれたもの全てを等しく切開するのだ。君がそこに置いた手も含めて。従って、度を越して衝動的な行動は慎むように。宜しいか。宜しいか。ウィルソン、君は泣いているのか。こんな小さな怪我で泣いてはいけない、男の子だろう? シャーマン嬢、彼を医務室へ連れて行きたまえ。心配無用、彼の手は元通りになる。本当だとも。

しかし手袋を着けている限りは怪我することも無い。諸君は切られた糖を手袋越しに掴んで、水と共に鍋へ加え、煮溶かす。然る後、糖水にココナッツミルクと少々の油を加え、充分混ぜ合わせる……食材が些か奇怪に見えるだろうか? 当然、我々が使用する菜種油とココナッツミルクの全ては、西キャンパスの農業学会が特別に栽培した材料から作られた新鮮なものだ。彼等の学長殿に対する敬慕と新一年生への祝福に満ち満ちている。故にこれらの色と匂いについては気にせぬように。至って正常な現象なのだから。

これで年糕の生地は出来上がりだ。うむ、まだ蒸しへ辿り着いてはいないが、しかし諸君の作った生地には私とて食指を動かさずにはいられん。次は生地を各自の容器に注ぎ、大蒸し鍋へ入れること。何? どの鍋かだと? 部屋の中央で絶え間なく湯気を出している一番大きい蒸し鍋だ。物理科の反エントロピー科学による実用成果の一つで、なんと諸君等二十六人に加え私の年糕全てを投入可能な内部容量を持つ。何分間か蒸したら完成だ。

待ち時間の内に、年糕を食べることによるその効果を少しばかり御教えしよう。第一には原材料だ。餅米には豊かなビタミン、ミネラル物質、そして……バーニイ、そう、そこの大声で御喋りしているバーニイ君。申し訳無いがちょっとこちらに来てくれたまえ、急いで。そう、そして私が手に持つコンニャクと同じく食物繊維が含まれている。食物繊維は身体の健康にとって非常に重要だ。身体の廃物を排出する効果を持つ。バーニイ君が今披露しているように……

良いかいバーニイ、君は授業の補佐をしてくれている故、警告処分は一回だけにしておく。座席に戻って静かに…コンニャクは返却するように。

続けよう。また、年糕には本来「年年高ネンネンガオ4」という寓意が込められていた。家族と年糕を分かち合うことには祝福の意味がある。年糕を食べ終えた後、もしかすると本当に高くなれるかもしれないな。また、旧歴元旦の慣習として食肉は控えることが望ましい。とても縁起が良いとされているんだ。年糕は胃腸を静調する助けにもなる。食後、数日の間は肉を食べたいとは思わないだろう。

ふむ、宜しい。蒸しはほぼ終わっただろう。私が見て…うわ!?

諸君! 急げ! 年糕を捕まえろ、奴等が逃げる!!

あー、何体かには逃げられてしまったが、しかし遂に我々の年糕は完成した。学院から居なくなった年糕はどうするのかだと? 各種の意外な事故によって学外へ散逸した存在については心配無用だ。時代遅れの外界ではあれらを許容出来ないだろうが、ああした存在の処理を専門とする組織も存在する――多くの卒業生がその組織で働いていると、耳にしたことは無いだろうか? 彼等に新年の贈り物が届くならば喜ばしいことだ。しかし、皆が苦労してこしらえた年糕がこのような有様を迎えたことは少々残念だ…諸君には私の分を差し上げよう!

れ…礼は不要だ! これは教師として当然の行いである。

と…ともあれ! 本日の授業はここまで。明日は煎蘿蔔糕ジンルオポガオ5の作り方を教える。時間を忘れないように! 良い新年を、学徒諸君、また明日!

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