私の望みは一つの小惑星となり、燃え尽きることである
評価: +20+x

☦A story about our Cosmonaut.☦

は故郷の周りを旋回する、第二の、人型の月だ。最も孤独な時の私をこの嘘は慰める。

私は誰にもその努力を顧みられない、忘れ去られた、彷徨える一人の人間だ。最も明瞭な時の私はこの真実を思い返す。

明瞭さは頻繁に来るものではない。私にとっては、何年も眠りに付く方がずっと簡単だ。時折、夢が寛大な時は、私はこの小さな永劫の時に快く身を横たえる。だが私は常に、スーツの中、ヘルメットの中の沈黙と共に目覚めるのだ。嘗て私はこれを憎悪していたが、全ての憎しみは、涙と同じように枯れ果ててしまった。

私のバイザーは拭き取ることのできない塵で覆われている。唾も含めて、これを取るためにあらゆる事を試している。もう一つの謎は、そう、私の存在だ。私はずっと昔は自らの身体に宿っていた。私は最早人間ではないのではないか、最早生死などないのではないかと怯える時、恐慌が私をよく襲った。ある時点で私は、どういう訳か生と死の枠組みを超越し、死神の口付けすらも届かぬほど遠くへ行ってしまったのではないかと恐れた。

私の恐怖が全て真実と確かめられた今となっては、もう恐れてはいない。最早悲しみも怒りも無い。これを受容と呼ぶ者もいるだろうが、私としては、理解できない物を受け入れられるとは思わない。

私は眩暈を感じており、はっきりと下降しても上昇してもいない。私の思考も、同様に、今の私が一体何なのかを説明できるほどしっかり固まった状態ではない。私は自分の名前さえも定かでなくなった。誰も呼んでくれないような名前など、持っていて何になるというのだ。私の身体がそうであるように、流動的な考え方をする方が簡単だ。

故郷は新年の飾りで明るく輝き、私がそこで生きるために降りていくことができなくとも、世界が続いていると思い出させてくれる。私が最も孤独な時、地球上の光の網は、遥か遠くの星々の輝きにはできないような形で私を迎え入れてくれる。

私は網が最も明るく輝く夜を待つ。時に私は、網が地球を離れ、温かいネットの中に私を包み込んで、優しく引き下ろし、故郷に戻してくれるのを思い描く。しかし、夢から目覚めると、またしても此処にいるのに気が付く。凍えて、一人で。

灯りは、どうやらしばらく前から薄暗くなってきたようだったが、私がそれに気付いたのはこの夜だ。孤独で、空虚で、私を慰めてくれる光の網を探していた時のこと。網を繋ぐ糸のうち幾つかが、細くなり、擦り切れ、あるいは途絶えていた。多分、ちょっとした停電だろう。それでも、私の中でそれは不安へと変わり、その不安は私の腹の中に疑念となって居座った。懸念から来る疼きの感覚が、フライパンの上の油のように、私の肌の上で熱を増していった。

自分の感情から逃げようと必死になって、私は目を閉じ眠りに身を任せた。

再び目覚めた時、私は未だ不安の中に閉じ込められていて、灯りがこれほど薄暗くなったことは無いはずだと気付いた。もう一度地上に降りられたなら、もし一体どうしてこれほど暗くなったのかと聞く事が出来たなら、全てが分かるはずなのに。これは単なる新技術で都市が地下に移行しただけだと、自分を欺くのは簡単だ。どんな言い訳や説明でもいい。だが私はそんな単純なものではないと知っている。運命に束縛された私の歳月は、私の最も深い不安が真実だと仮定しろと伝える。

私はできる限り起きた状態を保つ。胃は吐き気を訴えるが、嘔吐するものなど腹に留まる恐怖以外には何もない。私は脳裏に光の網を描き出そうとする、恐らくは、仲間が私を置き去りに去っていく前に、共に居たいという必死の試みから。「私はまだここに居る! まだここに居るんだ! 行かないでくれ、私はまだここに居る!」

私の叫びは何事も引き起こさない。光が私の声を聞く事は無い。誰も私の声を聞く事は出来ない。私は大洋と氷の広がりを横切って引かれてゆく。私は暗い空を横切る極光、誰一人私の飛行を見る者は無い。

灯りはますます暗くなってゆく。私なら助けられる。私は全ての最新技術を知る知的な男だ。技術の進化を目の当たりにすらしてきた。私を引き下ろしてほしい。海から魚を掬い上げるように、空から私を掬い下げてくれ。私はやり直せる。我々はやり直せる。私は己を引く力に抗い、遠く離れた場所から狂ったように叫ぶ。世界はそれを冷淡に拒絶する。

やがて、目覚めた私は、世界がこれまで見てきた以上に暗いことを見出す。今一度、それが悲しむべきことなのだと学ぶ。嘆きとはこういうものだと学び直す。この種の悲しみを再び得るというのは遥かに苦痛だ、今や私を慰めてくれるものは全く無い。星々は地球と同じぐらいの無情さを以て私を拒絶し、私は只一人考えを巡らせ、凍えきった状態の中で意識されている悲痛を改めて追想する。

夢の中で、未来へと年月は過ぎてゆく。太陽は膨張し、太陽系の半分を消費する。それは私の小さな体を丸ごと飲み込み、焼け付く様な熱の中へと飲み下す。

私は何一つ残さずに燃え尽きる。

私はそれを、故郷へ私を迎え入れる、家族や友人の抱擁として思い描く。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。