In His Own Image Part 4
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1998年11月8日

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"却下です、エージェント。"

「却下です、エージェント。」

ラメントは3人の博士からなる委員会を見上げた。つばを飲み、唇をわずかに舐めながら。
「すいません?」

「却下。」
彼女は繰り返した。ラメントはテーブルに着いている3人の博士の内、2人だけは知っていた。ソーツとヴァンだ。彼に今話しかけている女性は、職業的で、無感動だった。

「どうしてなのかお尋ねしてもいいですか?」

「いいえ。」
彼女はそっけなく言うと、ファイルを閉じ、視線を彼の顔から少し横に逸らした。彼女はしばらくの間、好きだった子犬が天国に行ってしまった息子に「いいのよ、泣かないで。」と言おうとしている母親のようだった。

公平ではなかった。彼は全て正しい手続き、窓口を通してあった。全て正しい書式、何もかも決まりきった通りにしてあった。

「それでしたら、僕は誰に尋ねれば?」

彼女は、何も喋ることなく、それからソーツが前かがみになって、話しだした。
「君、移動には君の監督の承認が必要ということは承知しているかね?」

ラメントは質問を無視した。
「僕は、研究助手の資格が無いんです……」
彼は反論をした。
「それは……」
彼は言葉を慎重に選んだ。
「……まず第一に、僕が置かれた状況が不運でして。皆さんだってご存知でしょう。僕は学位を持ってませんし。僕は身分証明証も持ってません。」

「何だね、若いの。」
ソーツがつぶやいた。
「気を利かせるつもりは無いのかね?」

ラメントの声は、怒りのあまり、遂にうわずった。そして、静穏が、無情な沈毅となった。
「一体どうして、どうして僕はまだここに?」

「この……この具体的事例において、例外が策定されました。」
女性が言う。
「あなたの証明書に関する問題は黙過、あなたの訓練も同様です。もし、博士課程を終えたいと考えるのでしたら、サウス・シャイアンが有りますし、資格がほしいのでしたら、それに適う援助を行うグループがいくつか有ります。」

挫折感。悔しい。
誰がそれを?」

彼女はため息を付いて、ラメントを見た。そして、前髪を払って耳にかけた。母のような視線に戻った。
「納得しましたか?」
彼女は尋ねた。小槌を持って音のするブロックを叩いた。

「本委員会は解散。」


彼はオフィスに着いても、冷静になれなかった。最終的にオフィスの中に踏み出すのにも時間がかかった。中に入った時、怒りが再燃した。ラメントは気づけば、ずっとギアーズを、ただただ見つめていた。ようやく話しだすまでには、何とか声の角を立たせないように出来た。
「どうして?」

平静で穏やかな表情がラメントを見つめ返すと、博士は答えた。
「君のスキルは、我々のしてきた仕事に十二分に適していました、エージェント。」

そんなことじゃないんだ畜生!」
彼はそう言って、体をそむけた。ラメントはギアーズを見たくなかった。顔を見たくなかった。失望や悔恨の顔をしている、と彼は想像していた。だが、そこにそんな顔はなかった。
「私は君の意味するところを分かっています。」

ギアーズはしばらく静かだった。
「君は穴埋めでした。」
ギアーズはきっぱりと言った。
「あの後で、アイスバーグ博士の事件──」

「自殺でした。」

「──事件。私は彼がいなくなった場所を補う者を必要としていました。SCP-106の封じ込めのためです。それが主要な懸念事項でありました。おそらく、これからも続いていきます。封じ込めが君の専門です。一度、解決にこぎつけて、なお君が移動を望むのならば、私はそれを否定しません。」

ラメントはそこに座った。そしてゆっくりと、深く呼吸をした。彼には何を期待されているのか分からなかった。この状況で彼は、論理と率直以外のものに心動かされていた。

「わかった。」
ラメントは言った。胸の締め付けはまだ衰えなかった。

「ザンドルマイヤー研究助手の働きぶりは優れていますか?」
ギアーズは尋ねた。

それは……それは予想外の質問だった。
「彼は、僕の親友です。」
ラメントは認めた。嘘をつく意味は無い。

「彼とよく共に仕事をするのですか?」
ギアーズは再び尋ねた。

「はい。」
ラメントはため息を付いた。いったい話はどこに収まるんだろうか、と疑問に思った。
「博士が口外禁止命令を出す以前は、何度か彼と僕のプロジェクトについて議論していました。」

「承知しました。」
ギアーズは答えた。
「ではジョリッチ博士に通知して、彼には、次の二週間、106に関して我々を援助してもらうことになるでしょう。では、可及的速やかに彼に最新事情を、完全に通達して下さい。」

「僕は……はい、了解しました。」
ラメントはブツブツと言った。ろくに発音ができていないことに驚いた。

「君は解任されます、エージェント。休日を楽しんで。」


「僕はわからない……」
ザンドルマイヤーのオフィスで、ラメントは一杯のコーヒーをすすりながら言った。
「彼は僕を幸せにか、それとも何かにしようとしているらしいんだ……」

「俺は、彼がそういう風に気をかける人だとは思わなかったな。」
ザンディは穏やかに笑いながら答えた。

ラメントは他の男を見上げた。
「彼はそんな風じゃないねえ。」
男は答えた。
「彼は違うんだ……機械でもロボットでも……ただ彼は……」
ラメントは長い間、言葉をつまらせた。
「冷たい。」
そう締めくくった。

ザンディは肩をすくめた。
「モノは言いようだな。だが、俺は封じ込めの専門じゃないんだ、な。それに、なんで彼は俺を同じ船に乗せようとしているのかよく分からん。それとも、彼が俺が何をすることを望んでいるのかもよく分からん。」

ラメントは肩をすくめた。
「僕も知らない……」

彼は部屋のあたりを見渡した。棚は色々あれど、全て無造作に本と書類が納められていた。それに、ワット数の低い白熱灯。このオフィスは家庭的だと感じた。心地よい。生活感がある。感じは……いい。

「また、朝に会いに行くよザンディ。」
ラメントは言った。テーブルにカップを置いた。

「ああ、また会おう、ラメント。なあ!面白くなるだろうと思わないか?例えば、お前が俺らとここに数週間居るっていうのはどうだ。」

「そうだな。」
ラメントは言った。
「もちろん。」
彼は、ただただ、そうなればいいなと願った。


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