インタビュー882-1
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対象: リチャード・ライト

インタビュアー: ギアーズ博士

付記: リチャード・ライトはSCP-882回収地点からほど近い集落で確認された生存者である。

<オーディオログ開始, [13:04]>

ギアーズ博士: どうぞ、座って。ではまず、あなたのお名前を。

ライト氏: 私はリチャード・ローガン・ライト…みんなは私を"リッチ"と呼びました。

ギアーズ博士: よろしい。ではミスター・ライト。最初の質問ですが、あなたがあの物体を初めて見た日を覚えてますか?

ライト氏: あれはいつ頃だったか…私は正確には覚えていないが、しばらく前で…最初に見つけたのはアレンで、彼のボートが、あれの上で難破したんだ。彼はあの機械をスクラップの束として売り払おうと、友人数人に話していた。私たちは最初あれをジェット機か貨物船の残骸か何かだと思っていたんだ。

ギアーズ博士: どの時点であの物体を動かしましたか?

ライト氏: 翌日だ。なんでも錆を取り除いたらゆっくりと回転し始めて、スピードが上がってきたんだそうだ。私が見た時はもう、完全に動いていた。ジミーはあれに近づいて、動力が何なのか、妙に静かなのは何故なのか調べようとしたが何もわからなかった。アレンはちょっと離れて見てた。ミス・パーカーは一部に金が使われているのを見て、パイプを押し込んでそれを取ろうとしたんだ。でもそのパイプが歯車に突き刺さって、回転したパイプが彼女を叩き飛ばしてしまったんだ。私たちは色々相談し合ったが結局何もわからず、その内みんなあれから遠ざかるようになった。

ギアーズ博士: 他に、人が怪我したり音を聞いたという事件はありましたか?

ライト氏: いいえ、静かなものでしたよ。誰もがあれの事を忘れさってました。アレンは古い物置にあれを置いてました。そこにはほとんど誰も来ませんでしたから。しばらくして、彼の顔色がだんだん悪くなってきたんです。彼はどこかからギチギチとした音が聞こえると言って、眠れないようでした。パット神父が彼に話をし、何とかしようと言って…それから数日は姿を見なかったんですが、その後二人はすっかり良くなって現れたんです。(対象の肩が震える)

ギアーズ博士: …ライトさん?

ライト氏: (顔をこすり、首を振る)すみません、大丈夫です。ともかく、パット神父とアレンは戻って来て、そして全て理解したと言っていました。私は最初そのことに注意を払っていませんでした…しかしそれは私の前にも現れたんです!部屋のどこかから研削しているような…キーンという音が聞こえてきて。彼らは、あの機械とあの音が神の作ったものだと言ったんです。

ギアーズ博士: あなたは、それを信じた?

ライト氏: いや、いや…私はそうは…私は何も知りませんでした。しかしあの恐ろしい機械は動き続け、しばらくして金属を取り込み始めたんです!ミス・パーカーが以前打ち込んだパイプが巨大なスクリューシャフトになっていて、あの機械の一部になっていました…その頃には多くの人があれに興味を持ち始めて、アレンとパット神父を訪ねるようになりました。すると彼らは金属を持ってみんなに言いました。歯車の音は神の声であると。もしそれにそっぽを向いて、さらに大きな音が聞こえたとしても、供物として金属を持ってくれば解決すると。

ギアーズ博士: あなたも同様に金属を持って、あの物体に近づいた?

ライト氏: (数秒間の沈黙)…それは…いや、それが何か?町の誰もが夜眠ることができなかった!夜中の間ずっと機械の音が鳴り響いて…でも金属を持っていけば収まる。私だってやりたくなかった。私はあれが神ではない事を知ってる、でも私は言えなかった!みんなはアレンとパット神父の言う幸せのために従って、でも私はただ眠りたかっただけだ!神のことなんか知らない!(対象がテーブルを強く叩き、激しく動揺し呼吸が乱れる)

ギアーズ博士: 分かっている、私はまずあなたが落ち着いてくれる事を願う。私はあなたを非難しているのではなく、質問しているだけだ。さあ、席に戻って。

ライト氏: (数回深呼吸をする)ああ…すまない。こんな事が数週間も続いて、ただうんざりするだけだった…私たちの町は孤独だった。私たちの町は大きくない。2、3の倉庫を荒らして偶然金属を見つけては投げ込むくらいがせいぜいだった。パット神父はまだ足りないと喚き、だんだんおかしくなった。恐らく、彼もあの音に参っていたんだと思う。そして、もっと意味のある何かが必要だとつぶやいて…(声が次第に小さくなる)

ギアーズ博士: …ライトさん?

ライト氏: (48秒間の沈黙)私はある晩、人々が叫んでいるのを聞いて倉庫へ行きました。パット神父と人々は何か祈りを捧げていましたが、それは私が知っているような普通の祈りには聞こえませんでした。その光景は、まるで彼らが大きな金属の塊になったようにも見えました。私は…私はパット神父が信仰や救いを与えているんだと思っていました…彼の手のペンチを見るまでは。

ギアーズ博士: なに、ペンチ?

ライト氏: 彼は人々の歯の詰め物をペンチで引き抜き、それをあのクソ機械に与えました!(激しく動揺し、叫ぶ)神父はそれでも十分ではないと叫んだ!でもそこにはもう何も残ってなかった、私たちの町にもう金属は残っていなかった!しかし、神父はアレンを指さした…神父は彼が偉大な機械から金属を隠しているんだと言った。アレンは何も持っていないと叫んだ、でも…パット神父はアレンが腰に金属関節を持ってると言ったんだ。その瞬間誰もが彼を見て…神よ、ああ、ああ神様…彼らはアレンを掴んで、誰もが掴んで…アレンは叫んだ…(対象は泣きながら話している)彼は叫んで、叫んで…でも誰も聞かない…私は彼の腕が上がるのを見た、彼の指が壊され、腕が引きちぎられるのを見て…そして私は走った。私に何が出来る。ああ、私は止められなかった。そこにはあまりにも多くの事があった。悲鳴と絶叫と叫ぶアレンと、叫ぶパット神父と…(対象がすすり泣き、床に崩れ落ちる)

ギアーズ博士: このインタビューは終了とします。警備員、ライト氏の見送りを。

<ログ終了>

終了報告書: ライト氏はインタビューの直後に自殺を試みました。対象の自殺を警戒、及び観察のため現在は財団で保持しています。

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