イスラーフィール
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俺はそいつのことは何も知らない。ただ俺は窓を閉める。

ふざけてるわけじゃないよ。俺は座って俺は待って明かりが赤くなったら、俺は窓を閉めるよ。そんなことして、もう……ちくしょう、わかんね。くそなげー時間。二年かな。おお! アイテム・ナンバーは知ってるよ五‐七‐九。でもそんだけ。

そいつがなにか知らねえ、知りたくもねえ。ただ俺は窓を閉める。

知らなきゃいけないことなんてない。この箱に座ってときどき本を読んだりゲームをしたり。メシとか小便とかなんとかでも動かなくていい。ハァ……ウンコも、うん、ここでする。ジョークじゃなくって、あいつらはなんでもそんなふうなかっこいいかんじにするんだ、それに結構らくちんだし。だいたいずっとなにも起きない。窓を閉めなきゃなんてことも考えないでもう……ちくしょう、わかんね。クソ長え時間。たぶん二年とか。おお! アイテム・ナンバーは知ってるぞ。五‐七‐九。でもそんだけ。

そいつがなんだか知らねえし、知りたくもねえ。ただ俺は窓を閉める。

知り合いのどいつよりも長いことここにいる。ときどきシフトの後にさ、あいつら俺のところにきて言うわけさ、『おい、飲みに行くんだけど、来るだろ』って、それで俺は『もちろん』って、だって俺はそんな風ないい男だから。サイトにあるバーにみんなで行って、二杯飲んで。みんな話すんだ、家族とか子供とかのこととか、なんの仕事してるかとか。俺は家庭を持ってない。で、みんなにお前らみんなが俺の家族さって言うと、あいつらクスクス笑う(chuckle)んだ。チャック・L(Chuck L.)! それが俺の名前だ! 俺は言うんだ、それは俺がしょっちゅう笑うからだってね。ゲームでとか。テレビでとか。ジョークでとか。ジョークは面白いな。でも連中が俺にやらせてることは? 面白くないな。おかげさまで、俺はずっと見てないよ、もう……ちくしょう、わかんね。クソ長え時間。たぶん二年とか。おお! アイテム・ナンバーは知ってるぞ。五‐七‐九。でもそんだけ。

そいつがなんだか知らね……前は知ってた、けど知りたくねえ。もう。ただ俺は窓を閉める。

他には? わかんね。あいつらは仕事の中身の話もときどき、話しちゃいけないのに。規則違反だ。あいつらだって知ってるんだ。あいつら、『みんなクリアランスを持ってるんだし、何か差し障りある?』だって。ジェイミーって女がいたな、俺が窓を閉めてるってことを知りたがってた。でも俺は言わなかった。あんたには話していい、だよな? 俺は言ったよ……みんなに言ったよ、やつらは通じ合ってるって。あいつらはおたがいにやってることの話をしてた、それでそれはいけないんだ。それは……あんたは他の連中のやってること知らなさそうだな。規則違反なんだ。あいつらだって知ってるんだ! みんなして自分のしてること話してたら、なにか悪いことがおきたんだ。嬉しいね、そんとき俺が何か言ったんだ、じゃなきゃマジで悪くなってた。そんな悪いことはもう……ちくしょう、わかんね。クソ長え時間。たぶん二年とか。おお! アイテム・ナンバーは知ってるぞ。五‐七‐九。でもそんだけ。

お……俺は前はそいつがなんだか知ってた、けど知りたくねえ。もう。ただ俺は窓を閉める。

その後ジェイミーは見てないな。でもさ、その方がいいんだよ。何か……何か忘れられないことがあってね。何度俺がラリっても、どんだけ俺が馬鹿野郎でも。ああ、分かってるさ、俺は賢くないさ。賢かったことなんてない。ヒーッヒーッヒーッ。賢い(bright)、ブライト博士(Dr. Bright)みたいに! こいつは面白い。笑うの好きなんだ。クスクス笑うの好きなんだ。チャック・L! 俺の名前だ! 俺は言うのさ、それは俺がしょっちゅう笑うからだって。この世界には笑えることがいっぱいある。俺はそいつが好きなんだ。面白いジョークと晴れた日が好きなんだ。好きなんだ、オフの日には表に出て、足で草原を感じるのが。それで思い出す……俺は思い出すんだ、俺がこうしているのがどんなに大事なことなのかを。あんなもののせいで……あいつらが俺に監視させてるみたいな、あんなもののせいで……だって俺がこれをやらなかったら……俺が……俺は知りたくない。アイテム・ナンバーは知っている。SCP-579。それで全部だ。

かつては俺は知っていた、だが知りたくない。もう二度と、再びは。ただ俺は窓を閉める。

手順の他の部分についても聞いたことがある。それほど多くはないけど。大部分はとても普通のことだったな、でもここにドアを閉める一人の男がいて、ドアの向こうには500人くらい、もっといるときもあるか、で、大抵の場合には彼らは帰ってこないんだ、カタがついて警戒解除になってもね。あんた言ったね、これ以上俺にピルは出せないって、うん? 本当に欲しいんだよ。これ抜きでもう……畜生、わからねえ。クソ長い時間。多分五年、もしかしたらもっと長い。きついんだよ、このパッチ全部使いきったら。おお! アイテム・ナンバーは知っている。SCP-579。でもそれで全部だ。そいつについて知っているのはこれですべてだ。

それが俺の知るすべてで、そして俺が知りたい――

……クソが。

失礼、ここは制限エリアだ。ここを離れろとあんたに言わなくちゃいけないんだ。いや、厳密には要求されていないんだが……文句は言うな、さっさと行くんだ。そうしないっていうなら神頼みだな。ヒーッヒヒヒッ! ハッハーッ! 神って! そいつは面白い! 笑うの好きなんだ。『クスクス笑い』ってあいつらは俺を呼ぶんだ、俺の後ろで、聞いてないと思ってるんだな。分かってるよ、話は終わってないって、でもまあいいだろ。あんたは自分から終わらせるさ、一秒もせずにな、あいつがあんたをぶちのめしたら。……ほら、行きなよ。目の裏側にあいつを感じてる? ああ……もう間に合わないな。そのヘルメットを被って外すなよ、俺があんたのために外すまではな。ああ、大事なことだ。信用しなよ。あんたは見たくないだろ。あんたは知りたくないだろ。

畜生、俺が知りたくない、でも知ってるんだ。これが発生してからずいぶん経つ。クッソ長ぇぇえ時間。少なくとも五年、おそらくもっと。SCP-579はしょっちゅう収容を破ろうとするわけじゃない、でもそうなったら……

気にするな。そいつのことは考えなくていい。

だって俺がここにいる。そして俺が窓を閉める。

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