僕と私とあなたの博士
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 同僚と共に異動になってから早3ヶ月。施設の違いや地理に手こずったが、今や環境にも慣れてきた頃だ。そこで気になってくるのは女性職員というのは当然の事だろう。休憩中、俺と同僚はどの職員がベストか等を語り合っていた。
「やっぱり諸知博士だろう」「お前もか。あの控えめな胸元とか堪らんな」「ああ、あれで下品さが無く美しいのがいい」「眼鏡好きとしてはあの黒縁もいい」「だな。細いフレームから来る知的な印象は格別だ」
 毎回同じような事を語り良く飽きないものだと自分でも思う。これは謂わば確認作業のようなものなのだ。
 そんな折り、ふと食堂で会話が聞こえてきた。3名の女性職員で、彼女らも諸知博士の話をしていた。諸知博士は女性にも人気か。意識はしていなかったが、盗み聞きをしていた格好になる。
「諸知博士カッコイイよね!」「あの知的なところがね、そそる」「厚い胸板と大きな手が素敵」「わかる。少し童顔なところが可愛いよね」
 なにか、何かおかしくないか。彼女らは何を言っている? 同一人物の話をしているようにはあまり思えない。
 考えれば俺と同僚も微妙な会話をしていなかったか。いや、どうだ、イマイチ思い出せない。
 そう、そうだ。諸知博士に実際に会いに行けば良いのだ。実際に会って、、会って、どうする?
 いやいい、まずは会いに行くべきだ。諸知博士を目にして、俺の諸知博士が正しい事を証明しなくてはいけない。
 
 
 
 淡い色のカーテンが見える。カーテンは薄いようで、向こう側の影が透けて見えている。
「お目覚めですか」
 カーテンが開けられる。諸知博士だ。見ると、俺はベッドへ横たわっていた。
「診療室近くの廊下で倒れていましたよ」
 そうでしたか、ご迷惑を。
「もう大丈夫ですか?」
 ええ、ありがとう。そろそろ仕事に戻ります。
「はい、お大事にどうぞ」
 眼鏡をかけ三つ編みをした、控えめな胸の諸知博士が嫋やかに微笑んだ。
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