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アイテム番号: SCP-2000-JP

オブジェクトクラス: Neutralized (暫定)

特別収容プロトコル: 現時点でSCP-2000-JPに干渉可能な人物は存在しませんが、新たに干渉可能な人物が出現した場合に備え当報告書の内容は維持されます。

説明: SCP-2000-JPは位置情報未特定の異常次元と推定される概念です。

SCP-2000-JP内部の見た目はおおむね標準的なサイト内部を再現していますが、その構造は実在するどのサイトとも一致せず、構造の一部は空間的に矛盾していることが判明しています。全てのケースにおいていずれかの室内間を繋ぐ一般的な窓のない扉が出口として設定されており、これを発見することで容易に脱出することが可能です。それ以外の方法を用いて脱出する試みは成功していません。脱出した人物は、侵入前の位置・体勢と全く同じ位置・体勢で帰還します。また、外部と内部とでは時間の流れが異なることが確認されており、外部の人物には一瞬で帰還したように認識されます。

内部に侵入した人物が他の人物と遭遇した事例はありません。また、いかなるオブジェクトの存在も確認できず、いかなる概念的オブジェクトの発生条件を満たしても対応する異常現象は発生しません。

今までにSCP-2000-JPへの侵入に成功した人物は1名のみです。

以下はSCP-2000-JPの発見から現在の状況に至るまでの記録を抜粋して掲載したものです。

記録1 最初の報告

インタビュー対象: サイト-81██勤務職員 ██ ██氏1

インタビュアー: サイト-81██管理者

内容: 先日██氏により報告された侵入者及び、SCP-201-JP・SCP-████-JPについての回答。

経緯: ██氏は先日、サイト内で侵入者と思われる人型実体にSCP-201-JPとされる不明なオブジェクトの情報を伝えられるという状況に遭遇した。サイト内の監視カメラが当時の状況を映像記録として残している。人型実体はその後ただちに逃走し現在不明。他に該当の人型実体に遭遇した人物はおらず、逃走する様子についてはどの監視カメラも記録できていない。

<記録開始>

管理者: 報告します。侵入者として報告された女性ですが、まず、そのような特徴を持つ人物は財団には存在しません。外部、すなわち要注意団体の人物の中にも該当する者は見つかりませんでした。これは引き続き捜索が行われています。

██氏: 音声記録が取れていれば違ったかもしれませんね。申し訳ありません。

管理者: いいえ、レコーダーは常時使用されるものではありませんし、証言と映像記録が揃えば十分調査は可能です。

(中略)

管理者: SCP-201-JPは██氏がご存知の通り、秋葉原駅内で発生するオブジェクトで間違いありません。そしてその女性に伝えられたという内容のオブジェクトは201番ではなく、████番台でほぼ合致するものがありました。数カ所に大きな相違はありましたが。

██氏: ████番…全く関わったことのない番号帯です。内容が実在するとして、あの人物が僕に情報漏洩した意図も推察できませんし、ただ困惑させられるだけですね。

管理者: それと、万が一のため現実改変が発生した痕跡がないか秋葉原駅内を調査したのですが、異常は発見できませんでした。これはほぼ、いや、確実に現実改変が行われていないことを証明しています。ですので最初からSCP-201-JPは既存のもので間違いありません。

██氏: そうですか…すみません、僕からはこのことに関して報告以上のことはできなさそうです。

管理者: いえ、大丈夫です。職員にはそれぞれの担当分野がありますから、あとは捜索チームの成果を待ちましょう。

<記録終了>

記録2 転移報告

インタビュー対象: サイト-81██勤務職員 ██ ██氏

インタビュアー: サイト-81██勤務エージェント・█

<記録開始>

エージェント・█: 大丈夫か?

██氏: …落ち着いています。今のところは。

エージェント・█: 詳細を確認してもいいかい?

██氏: はい。できるだけ落ち着いて話すつもりですが、もしおかしいところがあれば指摘をお願いします。

エージェント・█: 分かった。では経緯を話してくれるかな。

██氏: まず…僕はこの部屋で█さんと一緒に居ました。ふいに周囲が静かになったことに気づいて、部屋の中を見回したら█さんの姿がありませんでした。ドアの開閉音は聞こえなかったので、疑問に思って部屋の外の様子を確認するため、ドアを開けました。ここまで大丈夫ですか?

エージェント・█: …続けて。

██氏: 部屋の外に続く廊下の長さとか、隣の部屋のドアの位置が変化していることにすぐ気が付きました。僕が知っているものとは明らかに違っていたので。周りから全く人の気配が感じられなくて、実際に他の部屋を調べても…誰とも会いませんでした。特に何も持っていない状態だったので、もしものために脱出に使えそうなものを探しながら順番に部屋を見ていくしかなかったのですが、確か…5番目の部屋のドアを開けたところで突然目の前にさっきまで自分が使っていたパソコンが出て、立っていたのに急に座っていたので。

エージェント・█: 急に飛び上がったのはそういうことだったのか。

██氏: それで、内部では、でも発見したものがありました、でもカメラは持っていませんでしたし、実際何を言うべきなのか混乱してきて…すみません。

エージェント・█: オーケー。大丈夫だ。ひとつずつ解決していこう。

<記録終了>

記録3 アイテム番号の重複
██氏によりエージェント・█へ以下の内容の、6件のオブジェクトが全てSCP-201-JPとして登録されているとの報告が行われました。以下は提出された文書の内容を箇条書きにまとめたものです。

  • 北海道札幌市の高速道路で出現する、時速80キロでバイクを走らせる頭部のない人型実体。
  • 北海道札幌市のホテル地下の厨房。内部に出現する人物は対象の懺悔を聞き、同情を示す。逆に対象が人物に懺悔をさせる行為は部屋が水没し、対象を溺死させる結果をもたらす。
  • 暗闇に存在する視認できない存在。詳細不明。
  • 外部から改ざんを受けている状態で、本来の情報を確認できない報告書。
  • 青森県の特定の小学校で発生する異常。先日サイト管理者へ報告した内容と同一。
  • 秋葉原駅内で発生するオブジェクト。SCP-201-JPと同一と思われる。

複数の異なるオブジェクトが同時に同一のアイテム番号を持つことはありません。

追記: この報告以降、██氏は不定期にSCP-2000-JP内部への転移を発生させています。転移は本人の意志とは関係なく、未だ判明していない複数の条件を満たすことが発生条件とされています。少なくとも睡眠時に転移が発生しないことが明らかになっていますが、未解明であるSCP-2000-JPの調査を優先することが決定され、██氏を昏睡状態に移行する計画は破棄されました。

記録4 ██博士の手帳に書かれていた個人的メモからの抜粋(一部原文より編集済み)

██氏の転移条件が確定できない。本人の意志が関係しないなら、無意識下にあるんじゃないのか?彼から得られるどのデータも転移のタイミングを導かない。年寄りの頭に無理させるなよ。

██氏の持ち帰ったこの報告書はスゴイ!この発想は誰かやってそうでやってなかった、すぐ解明して実用化できるようにしよう。2

このトシで表彰されるとは思わなかったな。しかし、傍目から見ても██氏は心も体も大変だ。もっと若いカウンセラーとかいないのか。

私もみんなも元気でいい、██氏さまさま!あと最近はエージェントの訃報を聞かない。いいこと!(花丸で囲まれている)私もエージェントになってみるかな?笑

記録5 ███博士の申請

題目: ██氏が転移時に行っている文書の回収行為、それらの利用について

本文: [削除済み]

協議結果: [削除済み]

追記: ███博士は現在無期限の謹慎処分を受けています。

再追記: ███博士は2019/12/06付を持って謹慎を解除されました。

記録6 ビデオレター
以下の文面は2019/12/01に受信した動画ファイル3の内容を書き起こしたものです。

<再生開始>

状況: 会議机の端に映像記録媒体が設置されていると推測され、それにより会議室と思われる部屋の様子が映されている。机の左右にはそれぞれ6名の人物が着席している。(12名の人物は以降左奥から順にSCP-2000-JP-1~12と表記する。)奥側の席には1名の女性4が着席しており、隣に██氏が立っている。

██氏: …準備できました。記録は既に開始しています。

女性: そちらの世界の財団関係者様、お久しぶりです。はじめに結論から述べさせていただきます。現在支払いが滞っております。…あなたたちの世界は、異常存在に対して確保・収容・保護を理念にして今も立ち向かっていますね。ここに並ぶ現在12名の面々も同じです。それぞれが別の世界の者たちで、ある程度の相違はあれど現在も同様の理念を元に独自の活動をしています。

(数人が頷く)

女性: 12名の財団世界は並行世界であるゆえに、それぞれが異なる異常存在を抱えていますね。私の目的はそれらの情報を収集して、人類の平和を維持するために有効活用することですが、顧客の概念についてはそちらは認識できているのでしょうか?

██氏: …説明をお願いします。

女性: 顧客は端的に言えば、楽しむことを目的とする人たちです。ですが、ひとえに楽しむといっても何を楽しむのかは様々。私のお抱えする顧客は、異常・怪奇を好みます。そこで私は、皆様をビジネスという形でお誘いしているのです。

██氏: …ビジネス…。

女性: ならばそこには相互利益がなければいけませんね。皆様には、他の並行世界の財団が持つ異常存在情報を共有する権利があります。それを職員育成のためのシミュレーションシナリオとして使ったり、記載されている有益な収容手法を活用したり、thaumielクラスオブジェクトのアイデアを参考にして良いのですよ。もちろん私の方で汚染された報告書やミームは除染していますし、他にも値は張りますが、財団職員に限定した高クラスの生存保証、人類種の保護を保証するプランもご用意しております。そちらの世界は未だに利用されていないようですが。

(女性が合図を行い、12名中11名から拍手が起きる。)

女性: その対価として、各世界には私によるいくらかの発言権と、異常存在の情報を回収する権利を頂いております。どれだけ並行世界の情報・技術を利用したか、されているかによってその度合いは変わりますがね。…さて。ここで一度、氏の発言に移りましょうか。よろしくお願いします。

██氏: あ…え…。(5秒間の沈黙)…ぼ、僕は…。あの…まず…率直に申し上げます。ここまで彼女が伝えた内容は真実で…それで僕は、財団の持つ情報を、ほぼ全て譲渡、してしまいました。(3秒間の沈黙)…でも、そうするしかなかったんです。世界が救われるようにしなくちゃならなかったから…。実際、みんなから僕はだんだんともてはやされるようになって、本当は違ってたのに自分がヒーローみたいにされて、それが最初は嬉しくて、でもだんだん苦痛になって…。そこで優しくしてくれたのが彼女で…。

SCP-2000-JP-15: ちょっとストップ。あなたは何が言いたいのさ。自分が悪いって話がどんどん言い訳になってるように聞こえるけど。こういうのって契約しちゃった奴が悪いんじゃないの?

██氏: そうじゃなくて、違う…。僕じゃない…。

(██氏が嗚咽する。他の着席者の一部が笑っている様子が確認できる。)

SCP-2000-JP-1: 笑ってんじゃねえよ、お前らだって最初はこんなだったろうが。忘れたのか。

SCP-2000-JP-8: おば様さあ。いっつも最初、最初って言うよね。もう変わったし忘れたよ。

SCP-2000-JP-1: 変わることはしょうがないし約束は守らないと駄目さ。でもね、慣れてしまったら終わりだ。私も、お前も。

SCP-2000-JP-9: 慣れてしまったら終わりだ。私も、お前も。

SCP-2000-JP-4: 黙れ。

女性: そこまで。彼女たちの発言は実際無価値です。私は交渉を続けたいのです。…お恥ずかしい話ですが、先日私の娘が誤ってソーシャルゲームに課金してしまいまして。私はそのゲームのことを知りませんでしたが、もちろん支払いは済ませました。娘は契約画面が書かれた画面を通って、はいを選択したので支払い義務は発生するのです。

SCP-2000-JP-9: 慣れてしまったら終わりだ。私も、お前も。

女性: これまでの話を確認しましょう。概要からお伝えします。支払い義務を破棄なさる場合は、今までにご使用いただいた全ての並行世界の知識・技術を差し押さえます。記憶や記録、歴史からも抹消されます。これは時間軸のロールバックではないことをご理解ください。再び支払い義務を果たすご意思がお有りの場合は、こちらで用意している支払い手段を用いてご返済を続けていただきますようお願い申し上げます。

(画面右端でSCP-2000-JP-9が押さえつけられている様子が映っている。)

女性: こちらの動画ファイルと共に後ほど書類媒体を送付させていただきますので、内容をよくご確認ください。期限までに必要事項を記入してご返送いただきますようよろしくお願い申し上げます。期限内にご返送されなかった場合には、こちらで対応を決定させていただきます。

<再生終了>

追記: 動画の再生終了と同時に、サイト内に該当のものとされる書類6が出現しました。██氏及び女性とのコンタクトを新たに取る試みが続けられています。財団内部で当件についての協議を進めていますが、未だ選択は決定していません。指定されている返送期限は2020/02/15です。

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