アストライアー・ブルース
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「はじめまして、私はこういう者でございます。」
そう言って黒スーツの男は一枚の名刺を差し出した。
「そのQRコードは一度きりしか繋がらない番号です。もしまたご連絡をいただくときはそちらへお願い致します。」
その名刺には『Marshall, Carter, and Dark Ltd』とだけ書かれていた。


「俺達の父がこのアリゾナ州へ渡ったとき、みな無一文で学も無かった。
だが、この拳だけはあった。親父はあんな事になってしまったが……。
だが今こそ、不幸を乗り越え、ファミリーの結束を示す時だ!」

B.R.のスーツを着た男がカクテルグラスを高々と掲げる。
テーブルにはよく日に焼けた屈強そうな十数人の男達が座り、思い思いにグラスを掲げ、または飲み干し、または抱き合っていた。
揃いのレザージャケットの背中には炎と骸骨をあしらったバイクと『ZEKE』の文字。


「MCADがあのクソどもに接触したのは解っている。」
軍服姿の男は酷いロシア訛りの英語で言った。彼はおおよそ、一般社会的に見ればまともでは無かったが財団にとっては優秀なエージェントだ。
めちゃくちゃなスペルでぐちゃぐちゃに書きなぐられたホワイトボートを叩き、男は続けた。
「今すぐにでもクズのケツに穴を5.6個ぶち開けてやりたい所だがそうも行かない。まず、こいつが、一体、何の、糞を、手に入れてるか、探るんだ。」
沈黙の聴衆達は無表情のまま、興奮してまくし立てる男に注目している。
「あらゆる手を使え、あいつらがどこに糞を隠して居るのかをあぶり出すんだ!地元の警察、対抗組織、なんでもいい!さぁ行け!」

『ZEKE』、彼らは表向きはありふれたバイカーギャングに過ぎない。だが実際には武器の組み立て、密売と麻薬の運搬などで資金を得る、立派な犯罪組織だ。
そう古くない彼らはここ数年で急激にその勢力を拡大した。レザージャケットの男たちの中で一人、スーツ姿の男がトップに立ってからトントン拍子に事が運んでいった。
ボスの突然の死を乗り越えたファミリーは、ライバル組織を潰し、または乗っ取り、たった八人で始まったファミリーは今や100人を超える世帯となっていた。
敵対組織のトップが妻との口論の末、無理心中を図るという幸運にも恵まれた。その成功の裏にはとある組織が絡んでいると財団は決定付けた。
『Marshall, Carter, and Dark Ltd』 この世にあるべきではない品の売買やリースを行う非合法組織。彼らの活動はセントルイスで起こった子猫の行方不明事件さえかかる財団の情報網を持ってしても全くの闇の中だった。
だが今度は確かな情報から、この厄介な密売人達が田舎のバイカーギャングと接触を図ったのが確認された。
これは千載一遇のチャンスだ。
ミッションは細心の注意を払う必要がある、だがあまり時間をかけ過ぎては面倒な事態に発展する可能性がある。
財団は強力な特殊部隊を持っている。その気になれば戦車でも爆撃機でもミサイルでも動員できる。
だがたった一つの異常存在に対して、まるで無力でもある。
何が世界を破滅させるスイッチなのか、財団の力を持ってしても判らない。
それはただのシャープペンシルの芯かもしれないし、カワイイ子豚の姿をしているかもしれないのだ。


『ZEKE』に強力なライバルが現れたのはそれから数日後だった。
「一体どうなってるマンソン?IRAも、ヘルクラッパーズも離れちまった。何が起こっている?」
スーツの男は苛立たしげに葉巻を灰皿に押し付けた。ウィンストン・チャーチルが見たら発狂している所であろう。
マンソンと呼ばれた男は長いボサボサの黒髪と髭を蓄えた、太った屈強そうなアメリカ人で例のライダージャケットを着込んでいる。
「誰か知らんが、俺達のシマで武器と薬を流してる奴がいる。西側の武器もだ。コカインもヘロインも数百kg単位で、安くな。」
「クソっ!一体どこのどいつのだ、そのお行儀の悪い奴は。」
「正体不明だ。警察も掴めてない。おかげでヘルクラッパーズの連中がでかい面だ。どうする?」
「まずはそいつらがどこのどいつなのかを突き止めるぞ。そして礼儀ってものを教えてやる。」
男が二本目の葉巻をカットしようとした時、新手のライダージャケット男が慌てた様子で部屋に入ってきた。
「大変だ、テルフォード。工場が焼かれた。」


アリゾナ州南部████タウン。この郊外の小さな田舎町にはマイルストーン社という小さな地元企業の貸し倉庫があった。
もちろん、それは単に表向きの話だ。ここは『ZEKE』の大切な資金源である武器の組み立てと保管を行う場所だった。
だが今はただの、焼け跡だ。周りには地元の消防隊員と警官たちが集まっている。
小さな町だから皆、ほとんど顔見知りだ。
「ヘルクラッパーズの仕業か…? クソッタレ。」
テルフォードは白いハットをパトカーの上に乗せ、まだくすぶる廃墟の中に立ち尽くした。現場には揃いのジャケット姿の男たちが十数人集まっていた。
「ホーリーシット!やばいぞ、こいつは…」
片付けをしていた男の一人が叫んだ。その指差す方向には大型のロッカーの残骸が横たわっていた。
焼け焦げたその中には、二人分のヴェリー・ウェルダンの死体がつめられていた。
あまりの酸鼻極まる姿に、さしもの男たちも顔を背ける。
「誰だその焼け焦けステーキは?」
「ビーンと・・・多分、あいつの女のケイティだ。野郎、ここでヤッてたんだぜ。」
「どうする、マンソン、テルフォード。早いとこ、こいつを隠さないとヤバイぜ…… 時間が居る。」
テルフォードは口を手で覆い、思考する。すでに警察が周囲の捜索を始めている。馴染みも多いが流石に全員を丸め込むのは不可能だ。
考えうる最善の手はこうだ。死体はすぐに医師により診断の後、一度遺体安置所に置かれる。殺人事件だから警官が警備に配備されるだろう。
何か近くで騒ぎを起こして、手薄になった所で死体を盗みだす。
「よし、おそらく運び込まれるのはロングバードの病院だ。やったのがドコのどいつかはこの際どうでもいい、死体を用意するんだ。」
「後片付けは誰がやる?」
「新入りにやらせよう。」
「へい!こっちにこいジャック!」


「チンピラが、なかなかやるな。」
「ヘルクラッパーズは壊滅し、一部が吸収された。結果的に奴らの影響力を大きくした。」
「だが騒ぎはでかかったな。地元警察も動かざるを得まい。」
「相当金をバラ撒いたはずだ。もうひと押しだな。」
「それに、周辺のご同業も刺激した。さて、次はお役所に働いてもらおうか。」


町の郊外、24時間騒がしく、猥雑で、サラミソーセージに似たスパイシーな体臭とアルコールの臭いが交じり合う酒場の一室。
ヘラジカやバッファローのハンティング・トロフィーが並び、黒檀の巨大なテーブルに八人ほどの男たちが並ぶ。部屋はマリファナタバコの煙が充満していた。
男たちは皆、仏頂面で、しかし誰と目をあわせるでもなく、煙を吐き出し、ウイスキーを飲み干していた。
「兄弟達よ。」
組織の頭である、ストライプスーツ姿の男、テルフォードが口火を切った。
「告白しなくてはならない、俺達は今、危機的な状況にある。親父から引き継いだこの仕事だが…… 俺たちは瀬戸際に立たされている。皆に問いたい、俺達は引くべきか、それとも進むべきかだ。」
全員がテルフォードに注目した。彼の父親の代から従っていたマンソンもリッカーもだ。テルフォードの組織への献身は本物だった。彼は生まれついてのワルで、頭のキレる男だ。これまで幾度も組織の危機を度胸と知恵で救ってきた。
「俺たちを脅かしているのは、名も知らぬ、異邦人だ。奴らは礼儀知らずにも俺たちの庭を荒らし、踏みにじった。敬意を知らない連中を、俺は許せない。俺は奴らを暴き出し、そして報いを受けさせるつもりだ!意義はあるか!」
男は達は無言だ。多くを語るまでも無い、気心の知れた男たち。同じ飯を、酒を、女を食い合った仲だ。その沈黙は一つの答えでしかない。


███族インディアン自治区。
男たちはここで、最大の取引相手である『アーリアンクーガーズ』と会合という名の取引を行う。
『ZEKE』とクーガーズはほぼ同時期に結成され、そのよしみから兄弟の様な組織だった。
南米からのルートを抑えている『ZEKE』は良質な「ブツ」をクーガーズに売り、クーガーズはさらにそれを市場へともたらす。
そうやって2つの組織はお互いに助けあっていた。しかし。
件の商売敵が現れてからはすっかり取引が減ってしまった。だが市場に流れているブツの量は変わらないどころか増えている。
つまり、完全にパイを喰われているのだ。ビジネスとしては当然の結果だが、この世界はそう単純ではない。
金と義理を通さないならば、暴力でカタを付ける事もあるのだ。

「久しぶりだなノーマン。会えて良かった。」
テルフォードが情熱的に抱き合った相手は『アーリアンクーガーズ』のボスだ。老獪で滅多に人前に姿を現さない男だが、彼は『ZEKE』の設立者であるテルフォードの父親とは女を分け合う仲だった男だ。
「ああ、テルフォード、会えて嬉しい。その、すまないな。俺たちは……」
背後では互いの組織の幹部達が同様に抱き合っていた。お互いにファミリー同然の、最大の敬愛を互いにはらっていた。
「判ってる、判ってる。これはビジネスだ。あんたたちにも養うべき家族が居る。……だが、もちろん俺たちにも家族が居る。みな兄弟だ。」
ノーマンはすっかり薄くなった髪をかきあげる。そして、胸元に刻まれた鉤十字の刺青を指で撫でた。不安な時の彼の癖だ。
「新参が、俺たちの絆の邪魔をしようとしているのは解っている。もちろん、礼儀は教えてやるつもりだ。わかるだろう?」
テルフォードは再びノーマンの頭を抱いた。
「あいつらが何者なのかは俺にもわからない。調べさせてはいるんだ、本当に。それに、お前は…… お前は、息子のように思っている。だから」
言いかけたノーマンの頭を撫で、テルフォードが言葉を切った。
「もうそのことは良い、それより、取引を進めようじゃないか。」

互いの組織の主要なメンバーが一つの部屋に会した。部屋と言ってもただの倉庫の一角だが。部屋の壁には無造作に立てかけられた銃器の数々。そしてその中央には純白の粉がつめ込まれた大量の袋。
スキンヘッドの男が進み出て袋の一つから粉末を少量取り出し、皿に乗せてスポイトで液体を垂らす。
「ブツ」が本物であるかどうかを試すための一種の儀式のようなものだ。

「よし、それでは金と銃を引き渡そう。」
Tシャツにスキンヘッドの男たちは道を譲り、ジャケットの男たちが置かれた銃に歩み寄った。
「ありがとうノーマン。本当に助かった。」
「いいんだ、息子よ。どれもきっちり整備してある。極上の品だ。」
「試し撃ちをしても?」
「ああ、構わない。」
ノーマンは肩をすくめた。ジャケットの男たちは自然な動作で銃に弾丸を詰め込む。そして、次々に銃を構え、狙いを付けた。
「すまないな。」
テルフォードの言葉を合図に、乾いた音が室内に響いた。
怒声も悲鳴も無かった。声を上げる事なく、『アーリアンクーガーズ』の幹部達は全滅した。
多額の賄賂を受けていた警察はこの事を表沙汰にしないだろう。

だがその様子を、予め部屋に置かれていた隠しカメラが記録していた。


戦いの狼煙が上がった。
多くのメキシコ系の麻薬カルテルを味方につけたテルフォードは姿を見せない商売敵に対して懸賞金をかけた。そして、出所の知れない銃や薬の取引をしないように呼びかけた。
約束を違えた者には容赦ない制裁が待っている。
アメリカ南部の田舎町に異様な緊張感が立ちこめたていた。

「やりすぎなんじゃないのかテルフォード?」
『ZEKE』が根城にしているストリップバーの前に、一台のパトカーが停まっていた。
車の中には初老の警察官が1人。彼は地域の警察署の署長で、テルフォードとは旧知の仲だ。
彼らのやっている非合法な活動に目をつむる代わりに、できる限り町の中にはイザコザを持ち込まないと言うのが取り決めだった。
「フィンク、判っている。だがもう少しだ。もう少しで俺達が本当に頂点に立てる。このあたりで一番のクラブになれるんだ。」
「相当暴れたな。それに金もかなり使っただろう?マインズにあるBARも売り払ったそうだな。」
「それが何だ、すぐに取り返す。」
「テルフォード、ATFが動いているようだ、これ以上は隠しきれんぞ。」
テルフォードは葉巻をゆっくりと吸い込んでから言葉を続けた。
「できるだけ引き伸ばしてくれ、もし奴等が動いた時は……」
「ああ、わかってるよ。それとこれを。」
それだけ言ってパトカーは去った。手渡された数枚の写真を手に浮かない顔で戻ってきたテルフォードをマンソンとリッカー、それにジャックが迎える。
マンソンとリッカーは二人とも先代からクラブを預かる頼れる右腕だ。ジャックは歳若いがキレ者で、喧嘩も強く、度胸もあって役に立つ男だ。頬のナイフ傷はヘルクラッパーズとの抗争で負った傷だ。
「何か言ってたのか?」
「ATFが動いている。どこからかクーガーズとの事が漏れたらしい。」
テルフォードは写真を二人に渡した。それはアーリアンクーガーズへの凄惨な殺戮の証拠写真だ。
「どこからこれが?」
「さぁな。」
「クラブに裏切り者が?もみ消すのにどれだけかかる?」
「止めろ。今はそれどころじゃない、作戦を練ろう。」
テルフォードはバーの奥、特別なVIPだけが入れる特等席へと入っていった。
そこはかつて八人の男達が結成したバイカークラブの生誕の地でもある。
このストリップバーから始まったクラブは一時はアリゾナ州で最大規模の組織へとのし上がったが、今またこのバーへと戻ることになった。
バーの奥に設けられた、『ZEKE』の幹部だけに許された会議室。さらにその奥にある小さな小部屋に、テルフォードはたたずんでいた。
隣の部屋からは怒声が聞こえてくる。目の前には小さな黒檀のテーブルに置かれた四角い紙切れとアンティーク調の天秤が置かれていた。

「もしもし?俺の事は知ってるな?テルフォードだ。ああそうだ、例の、その、天秤を引き取って欲しい。早急に金が居るんだ。幾ら動かせる?おい、それだけか?もう少しどうにか……。」
テルフォードはスマートフォンを耳にあてたままテーブルに向き直った。そこには訝しむ様な顔のジャックの姿。
「おい、何してる、ここには入るなと言ってるだろう!」
「すまない、何度もノックしたんだ!そんなことよりも緊急事態なんだ!」
その時、テルフォードはたしかにそれを見た、テーブルの向こう、天秤の腕と一直線上に立つジャック。
その天秤の上に、波打つ黒い心臓と、銃弾とが置かれ、そしてそれは傾いた。
「テルフォード?おい、聞いてるのか?」
テルフォードは軽いめまいを覚えた。こめかみを押さえ、足取りがおぼつかない。
ジャックは何も置かれていないのに、何故か傾いたままの天秤を一瞥する。
「ああ、もしもし?すまないな、取引は無しだ。」
男はスマートフォンを無造作に机に置くと、体ごとジャックと天秤の間に割って入る。
「弁護士から連絡が来た、ATFはRICO法を適用するつもりらしい。すぐに奴等が来るぞ!会議室は大揉めだ!どうする!?」
テルフォードはスーツを脱ぎ捨て、部屋の壁に飾られたレザージャケット、それに木箱から古いリボルバー拳銃を取り出した。
微かに青みのかかる深いノワールの輝きを確かめると慎重に六発の.38Spcを込めた。
テルフォードが会議室に入ると、それまで開戦か降伏かで言い争っていた会議室の7人は黙りこんだ。
いつものスーツの代わりに、古めかしいジャケットを着込んだ男が静かに言った。
「諸君、俺が訪ねたいことは一つだけだ。つまりは生きるか死ぬかと言うことだ。この中に、死を選ぼうと言うものが居るなら、立て。そうでないものは椅子に座るんだ。」


「MCADもまとめて抑えておきたかった所だが、仕方ないな。」
叫びながら自動小銃を撃ちまくる男を、バイクに乗り、拳銃を乱射して突破を試みる男を、ATFのマークを入れた特殊部隊が冷静に狙撃していく。
すでに周辺は完全に封鎖され、無数のハーレーが停まる駐車場は血と銃弾で洗われていた。
「アメリカ人ってのはバカで派手好きだな。」
一際大きな装甲トレーラーに乗る、指揮官と思わしき男が酷いロシア訛りで呟いた。
「三分以内に駐車場を片付けろ!すぐに突入を開始しろ!」
「隊長、バーの中で銃声がしています。」
「なんだと?仲間割れか?」
「そのようです。」
「Вот тебе, бабушка, и Юрьев день」
「なんですって?」
「楽しみが減ったってことさ。おい、野郎何してやがる?」

ざっと50人を超えるATF隊員の銃口が向く先には一人の男が立っていた。古いレザーのバイカージャケットには『ZEKE』の文字。手には拳銃を握り、体中血まみれだった。
「銃を捨てろ!早く!」
「銃を捨てるんだ!撃ち殺すぞ!」
怒声の響く中、彼はニヤリを笑いながら、顎の下に自らの銃口をあてがった。
「ちくしょう!銃を撃ち落とせ!」
しかし、その声が届く前、ためらうこと無く男は引き金を引いていた。脳漿と血がはじけ飛び、人形の様に男の体は崩れ落ちた。


特殊部隊がバーの内部に突入したが、大方の予想の通り、抵抗するものは全く居なかった。
普段はここを賑わせている男も女も姿は無く、ただ五人分の死体が転がっているだけだった。
生き残った二人、ジャックとリッカーは両手を上げて降伏し、ただうなだれていた。
「ここで何があった?」
隊員の一人がリッカーに銃を向ける。
「テルフォードだ……。あいつがみんなを撃った。おれのせいだ。」
「おれのせい?」
「ああ、俺は降伏するように言った。だけどマンソンもシックスも反対した。死ぬまで戦うって。」
「そして撃ったのか?」
「信じられない、家族だったのに……。」
隊員は震えて泣きじゃくるリッカーの肩に手を乗せ、そして拘束した。

「あの二人はどうするんです?」
「プロトコル通りに引き渡すさ。あとは収容班に任せよう、世界が滅びないように祈っておけよ。」
「二人がチェチェン人じゃなくてよかった。」


セキュリティ施設  サイト-17
「あの時の野郎の顔ったら無かったぜ。くそロシア人が!」
「ハッ!そりゃまるで冷めたピザだな!」
「ハハハハハハ!」
日課の訓練を終えた機動部隊員二人が更衣室で談笑していた。
「そういやこの間、収容したアレの話聞いたか?」
「あの天秤か?なんだったんだ。」
「ああ。それが、どうやらミーム系らしい。」
「オイオイオイ、知ったら死ぬなんて言うなよ?」
「違ぇよ。詳しいことはわからんが、関わったやつは自殺したくなるらしい。」
「は、それならストレルニコフの野郎のがずっと強力なミームだぜ。」
「そりゃぁ間違いないな!そういや、あの野郎、テルフォードってたか?あいつは自殺しやがったな。」
「じゃぁなんだ、つまり、俺達はみんなその糞天秤に踊らされてたのか?」
男は顔を覆っていた黒い目だし帽を脱いだ。その頬には深いナイフ傷があった。

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