僕たちが作ろうとした小さな王国が燃えた顛末 つらい についてのインシデントリポートと 僕たちなりの始末書 もしくは「次」についての意見書
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はじめに:僕たちは あー簡単に言えば知性ある異常なシデムシ財団群団 スロットナンバーいくつだっけ SCP-2 11 17 1830 1833 34 35 38 -JP ? まあなんでも とにかく虫の機動部隊 名前はまだない メンバー総勢123匹 ワンツースリー 僕たちの新しい住居を探すための先遣隊 アウトキャスト 失礼な。でも主流派からは追放者扱いだった。老人どもめ。老虫?とにかく嫌になる。

本部との分割により、本部も安定したヒューム値を維持できるようになったが、また本部と合流すると閾値を大幅に超えること請け合い 合流前に間引きが必要だった やんなるね。以下は、僕たちの活動記録報告 そして始末書 だ。だが、いまだ恒久的に安全と言える住処は見つからない そんなものはあるの? 永遠などない。

探査記録第6回 ██市市街地 レジデンス███ 2014/07/27
部隊代表者名:川喜田 中尾 次郎三郎 リスペクトwith███博士 あいつ実在するの?

<開始, 2014/07/27>

[本部との通信を確保、本部はGPSを介して僕たちの位置を把握済み]

本部の僕達:123、通信はとどいてる?

僕たち:明瞭に受信中 ラウドアンドクリア 現在は人の集合住宅 マンション アパルトマン の下水溝から侵入を試みている。

本部の僕達:そっか 周囲には何があるか 報告してください。

僕たち:下水溝の蓋 周囲は乾燥 目算通り 空き家のようです。

本部の僕達:分かりました 内部に侵入してください 静かに。

僕たち:了解。

[僕たちは射出装置を用いて排水口の蓋をこじ開ける また元に戻せるようにして]

僕たち:室内にも下水道に似た臭気 いや 腐臭がある。芳しい。

本部の僕達:調査せよ 入り込んだ動物か 好都合。慎重に進め。

僕たち:分かりました。

[周囲を確認すると、排水口はユニットバスのものだった。扉は開いている]

僕たち:廊下に出た。廊下にウジ殻が散乱している。黄金色の麦畑。腐臭はリビングからと思われる。

本部の僕達:生体反応はあるか?振動 温度 ヒューム値の変動。

僕たち:ネガティブ 死体だけです 対象を目視で確認しました。

[リビングのカウチの上で人が死んでいる。体格と骨格から若年の女と見られる]

僕たち:かなり腐敗が進んでいる ごちそう 資源 危険 警察の人 本部、傍受と通報履歴は?

本部の僕達:この近郊で通報があった履歴はない。未発覚か 不動産会社 管理人……。

[本部が不動産会社のデータを閲覧する、二分後に通信が再開]

本部の僕達:家賃支払いは二ヶ月滞納、解約まで猶予はある。データを改ざんする?無為 制度の理解が不足。

僕たち:この部屋を仮拠点にすることを提案します 豊富な資源 目隠しOK 2LDK 本部から二時間 長い

[その場で本部における臨時総会が開かれる、総会は20分程度で終了した]

本部の僕達:OK そちらに仮サイト-6431を設営することを許可します 仮の宿 宴だ

僕たち:了解しました。

<記録終了, 2014/07/27>


設営状況報告[可読性調整済。僕たちもやればできる できてる?]

報告者:坂上崎 美琴睦美 他

2014/07/28 [ごちそう]

仮サイトの設営は順調に進んでいる。まず手始めに行ったのは死体の解体だった。遺体に手を合わせたあと(それが意味するところのすべてを理解できているわけではないけれど)部屋に大量に放置されていたペットボトルを用いて標準的なウジ畑を5反分確保した。皿状に加工したプラスチックのプレートを並べ、そこに腐肉をこそげ落とす作業に半日を費やした。

そこに、放置されて完全に乾燥していた生ゴミを水で戻してかさ増しとして加える。部屋に大量に存在していたハエの成虫が食事をし、卵を産み付けるのは時間の問題だった。しかしこの間、我が機動部隊は寿命で1、作業中の事故で2の僕たちが死亡する。とりあえず人の頭部を切断して、内部を養育室に改造し、個体数の維持を図ることとなった。口から侵入しようとしてもうまく行かなかったので、というのも口を開けようとして転がった首で隊員が2名潰れたのだけれど、まあとにかく眼であったと思しき溶け崩れたドロドロを外に掻き出しつつ脳のあった位置に進入して卵を生んで育てる計画だ。子供のものであれ人間の頭蓋骨はそこそこの堅牢性がある。いちばん重要な区画だし、ちょっとそのあたりも考えてのことだ。

2014/07/30 [らばーず]

養育室は日差しを受けて暖かく湿っている。恋人たちは滑らかな眼窩から養育室に入っていく。そして出てくる。まあこのくらいにしておこう。へへ。

食料の生産効率は、極めて高い水準で推移している。またウジ殻を使った簡易的な道具類を使うことで持ち込んだ資材を節約出来るのも僥倖だ。作業効率はまあまあといったところ。最高効率を発揮するための、より複雑な設備を整えるのには時間がかかりそうだ。IH調理器具の周りでプラスチックを再成形する炉と鋳型を建設できたものの、金属加工には持ち込んだ資材が必要であり、資材を使い切る前にいち早くトースターとセラミック ていうか植木鉢 を耐熱加工して電気炉と溶接機を作る必要がある。電気は来ているので、電源が取れるうちに基本的な設備や装備を整えなければならないだろう。そうして準備を整え、このアパートの部屋から僕たちの第一世代が死を迎えるまでに出ていきたい。ここはその足がかりに過ぎないのだ、もう少し大きくて住み心地のいい場所を探しに出なくてはならない。

周囲の探索を続けた結果、ここの世帯主はシングルマザーで部屋に残されていた死体は、その子供であるらしい。僕たちにはそれが信じられなかった。人は、というか生物は自己保存の本能に従って子を為し増えていくわけだけれど、せっかく出来た子を閉じ込めて殺してしまうなんてよく分からない。僕たちは必要に迫られて子供達を間引く必要があるわけだけど、それも卵のうちにだ。わざわざ餓死の苦痛を与えてから死なせる必要はないはずだ。

財団は、こうした一般の人類が正しい世界の中で生き、死んでいくことを守るために戦っている。そんななかで、人は人自身の意味不明な性質のために、自分の子を闇の中に捨て置いてそのままにする。これが彼らの正常な世界なのだ。一体何をもって正常というのか、僕たちには理解に苦しむ。まあ、異常でしかも虫の集合体である僕たちが何を言っても聞いちゃくれないでしょうけどね。とにかく捨てられたものを拾い上げて有効活用しているのだから、僕たちは正常性の維持に貢献していると言えるだろう。仕方のない生き物だね、人というのは。

2014/08/09 [産業革命]

電気炉と溶接装置が稼働し排熱が大きな問題となったが、エアコンと扇風機を稼働させることで解決した。文明というのは偉大だ。室内に残されていた電気製品を製造した工具でどんどんと分解し、どんどん環境を整えていく。配線をほぐしたり、モーターを取り出して小型の発電機をしつらえたり、分解して組み立て分解して組み立て……というのはやはり僕たちが受け継いだ知性の癖のようなものなのかもしれない。

都合よく放置されていたプラスチック製のレールを流用して、部屋の中を循環する トラム 電車? を動かしたときは、僕たちの中でも若いのが用もないのに乗ったりしていた。ちょっとした産業革命!だけど、僕たちはいわゆる第三期までの技術水準に留まっているから、一般的な科学技術を扱える程度だ。それでもエンジニアの僕たちは積層ウジ殻アーマーに身を包み、黒く染色したプラスチックの防護面を装着して日がな一日なにかを加工している。そして、警備担当者には小さな金属弾を発射できる手作り空圧式ライフルを装備させている。生存というのは戦いにほかならない。生きること、増えることを諦めたり興味を失った時点でそれは生き物としての死だ。高く高く、より鋭いあり方を目指さなくてはならない。でも、根本的に僕たちは矮小な存在だし、個体数を過剰に増やすことはいろいろと迷惑をかける事になる 誰に? 僕たちは自然科学分野においては比類ない学習能力を持っていると言えるかもしれないけど、それを支えるべき哲学・思想がどうしてもシデムシのものだから、なんともなんとも。いやまあ、シデムシの哲学・思想が人のものと適合的でないから人間文明を完全に理解しきれていないというだけかもしれない。その理解も時間さえかければいけるいける。

それはさておき、今日は来客があった。昼過ぎくらいに部屋のチャイムが鳴って郵便入れに何かが投函された。なんとか引っ張り出してみると、どうも広告チラシのようだった。そして僕たちの一部は、一目それを目にしたときから魅了されていた。様々な日用品、なんだか馬鹿げた宣伝文句などが並んだそれは、読めば読むほどおかしくて仕方なかったのだ。「ドイツ製鼻毛カッター 3980円(税込)」などと極彩色で描かれているのを見て笑わずにいられるか。いや、そもそも鼻毛ってなんだ。人の基本的な構造についての理解は僕達の中でも進んでいるけれど、人間の、鼻というあの呼吸器につながる突起に、よもや毛などが生えているという事実をあらためて見せられるとなんともユーモラスだ。そして名称が「鼻」の「毛」だ。実に直球、まことに結構。ははは!

2014/08/15 [つかれた]

なんたることか、今日は厄日だ。エアコンと電気炉と溶接装置を同時に動かしていたらブレーカーが落ちてしまったのだ。ブレーカー!僕たちが人間たちの所帯染みた発想に欠けていたために、こんなバカげたポカをやらかしてしまうとは。僕たちが減少傾向にあることで、知的能力に陰りが見え始めているのも一因だろう。おかげで危うく火事になるところだった。慌てて板バネとコロコロするやつから取り出したベアリングでパチンコを作り、ブレーカーのスイッチを撃つことでなんとか停電は解消された。しかし最適な射角や位置取り、スイッチを傷つけない玉の速度の計算にも数分を要する有様だ。全く情けない。だけどこの原始的な器具から、思いついたこともあった。さっそく、養育室の方にそのアイディアが実装されたのだが、うん、あれはでもちょっとどうかと思う。

そして泣きっ面に蜂で、いや人間の慣用句を使っているとおかしなかんじだ、顔を刺されるなんて僕たちからすれば即死ものだ。とにかく停電している間に図ったように五匹ほどのゴキブリが現れたことで僕たちの間に緊張が走った。連中は畑の方をギラギラとした目つきで見ていたのだけれど、食料を分けてやる気も奪わせる気もなかった。僕たちの鍛冶師が打った手に馴染む小さく薄い金属は、薄っぺらいキチン質の肌を切り裂くことなど造作ない。四刀流の使い手たちが瞬く間にゴキブリたちを終了してくれた。まったく哀れなほど愚かな同族よ。こんな事があったけど追加の肥料が手に入ったのはよかったかな。

本部の僕達から分け与えられたミヤマ式成長促進剤のおかげで人員の補充は目前であるものの、それまではとにかく気をつけなければ。
今日はただちょっと女子小学生の肉を(間接的に)食んで力をつけておくことにしようと思った。

2014/08/17 [子どもたち!]

子どもたち!成長促進剤の影響でみんな誕生日が一緒の子どもたち、彼らが一斉に僕たちに加わった。幼くてもそれでも僕たちは僕たちであり、知的能力の向上が確認された。子どもの僕たちは旺盛に食事をしてどんどんとエネルギーを蓄えていく。促進剤は僕たちに定められている様々な生育過程を大幅に短縮し、彼らもすぐに正式な機動部隊員となれるだけの運動能力を身につけられるはずだ。多少の訓練は必要だろうけど心配はいらないだろう、まあなんだ、彼らも僕たちの子どもだからね。
ただこれで人間の死体はほぼ消費しきってしまった。冷蔵庫内にあった食材などを使ってウジ畑に加えていくことで、ウジの生産を続けているが追加の資源が必要だろう。


ところで、この報告に基づいて来期の総会で僕たちを「次」の段階に進めるための提案発議をするつもり なに? ホワッツネクスト?
僕たちは楽しみにしている。少なくとも、僕たちは奪われる痛みを知った 次は僕たちが奪う? いいや、ただ潰されたくないだけ。

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