新たな務め
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pcs.noitadnuof|doowgnillocyzzi#pcs.noitadnuof|doowgnillocyzzi | alonebeneathaweepingwillow1

こんにちは。コリングウッド博士。
新着メッセージが(1)件あります。送信元:O5司令部
このメッセージの閲覧は主任研究員、イザベル・コリングウッドのみに限られます。無許可でのアクセスは強制的記憶処理、降格、場合によっては終了に繋がります。続行しますか?

はい

このメッセージへのアクセスにはマルチモーダル生体認証によるIDスキャンが必要です。
スキャンを受け入れますか?

はい

顔認識走査開始(笑わずにいて下さい)……:同一と確認
網膜/虹彩走査開始(目を閉じないで下さい)……:同一と確認
掌紋走査開始(右手をパッドの上に置いて下さい)……:同一と確認
手部インプラントICタグ走査開始(そのままでいて下さい)……:同一と確認

アクセス承認。本メッセージ受領時刻、日付、並びに場所はO5司令部に報告されます。

From: O5司令部

件名: 5/999 クリアランス

ご機嫌よう、コリングウッド博士。そして、SCP-999首席研究員への就任おめでとう。全財団内でも有数の容易かつ羨望される任務だ。SCP-999は管理下にあるアノマリーの中では非常に希少な存在だ。決して君を傷つけようとしないのみならず、君がいつどのような危険に晒された場合であっても、積極的に君の命を守らんとするであろう。任命を受けた際の、君の最初の反応が歓喜であったことは疑う余地もないが、このように一見危険性の低い役職がO5評議会により直接任命されたことを、君は奇妙に思ったかもしれない。もし君が任命される以前にすでにこの噂を聞いていたのであれば、まず間違いなくこれは単なる縁故採用であると思ったことだろう。すなわち、O5達は可能な限り最も安全な仕事を友人や愛する人たちに与えることで彼らを守っていると。

O5評議会の誰かが君の隠れファンであるに違いないと考えるほど、君がとても自己陶酔的なら話は別だが、これがそんな話ではないことは理解していよう。

なぜこれが我々の懸案事項であるかを理解するには999の起源を知る必要がある。すでに気づいているかもしれないが、このファイルには発見場所に関する記述が存在しない。これは意図的な遺漏である。もし君が緋色の王の神話学に疎いのであれば、彼の者についてよく調べてみることをお勧めする。財団のデータベースには、彼の者に関する機密指定ではない情報が豊富に存在する。今関係があることは、彼の者が(我々が知る限りにおいて)多元宇宙の中で最も強力な邪悪なる存在だということだけだ。我々のSCPの数多くは、彼の者自身の娘たちへの強姦によって生まれた忌み子であるか、もしくは、彼の者が直接的あるいは間接的に力を与えた人間による創造物である。

研究アシスタントであった頃から君は我々の下で働いているな、コリングウッド博士。君はその時に我々がこの財団で行っている、君自らは1度も目撃していないいくつかの恐ろしいことに関する数多くの噂を耳に挟んだことがあるだろう。恐らくは悪魔的儀式の犠牲者となった何の罪もないうら若き少女についての噂や、XK-クラス世界終焉シナリオを阻止するために我々がやむを得ず彼女に行うことについての噂かもしれない。場合によっては「110-モントーク」という言葉を誰かが囁くのを聞いたこともあるだろうか?残念ながらこの噂は事実だと伝えなければならない。あるいは、少なくともかつてはそうであったと。

緋色の王の子ら」と自称する魔術カルトは7人の年若き少女が王の七人の花嫁それぞれの化身となり、彼の者の忌まわしき子を受胎可能ならしめる儀式を実行した。我々がかつて回収したものは手書きのノートだけであるため、彼らが如何にしてこの儀式を行うための知識を得たのかは不明だ。表面的には一部のサーキックの実践(魔術、人身御供、身体改造、宇宙的存在との契約)に類似していることから、緋色の王の子らは現代のサーキック・カルトと何らかの結び付きがあるのではないかと推測する者もいる。興味深い考えだが、この両者を結びつける具体的な証拠は1度も見つかっていない。その件の調査は進行中だ。

儀式自体に関して言えば、出産はその度に前回よりさらに大きな破壊を引き起こした。カルトの司祭による文書では7人目の花嫁が出産した場合、それは他ならぬ黙示録そのものであると予言されており、毎日欠かさず確実に手順110-モントークを実行することだけがそれを回避し得た。見た限り、我々にとって非常に幸運なことに、ノートにはどのように110-モントークを実行すべきかについて、詳細な指示書きが含まれていた。

言うまでもないことだが、我々はこれを不審に感じるほど都合の良い話だと認識している。

なぜ彼らは自分たちが引き起こそうとしていた紛れもない終末を防ぐ対抗策を考案したのだろうか?我々はこれらの実体に関するさらなる情報を必要としていた。幸いなことに、我々の考古学者は古代ダエーワの遺物や巻物、銘板を非常に多く発掘していた。彼らは加虐趣味を持つ戦争屋の人々であり、自らが引き起こした死と苦痛への報酬として、緋色の王から邪悪な力と知識を与えられていた。塵と血を記したと見られる我々が所有するあるダエーバイトの銘板は、緋色の王とその花嫁の神統記であった。ここから非常に有益な情報が得られた。

我々の状況に最も関連があると判明した情報は、第7の花嫁が彼女の姉妹と同様ではないということだ。彼女が王の征服に完全に屈することは決してなかった。彼女は、姉妹の子らを滅ぼして父を倒すことを望み、怪物の代わりに偉大な英雄達を生んでいた。これまでのところ、そのすべては失敗している。しかしながら、賛成7、反対6(長期的な収容戦略としての手順110-モントークの実行可能性の欠如に対する懸念の方が、少女への共感よりも大きかったことは認めざるを得ない)の投票を以て、O5評議会は第7の花嫁がいまだ壊れてはいないと信じ、そして、その子供が我々の財産になり得ると信じることを決定した。XK-クラス世界終焉シナリオを引き起こす危険性があるため、SCP-231-7はSCP-231-1から-6の死亡後に手順110-モントークから解放され、出産が許可された。

SCP-999がその結果だ。

さあ、もう一度読んでみたまえ。途方もない馬鹿馬鹿しさに包まれながら必ず理解したまえ。くすぐりオバケは緋色の王の子なのだと。

我々はそれ以来、防諜活動を展開してきた。それゆえに猫も杓子も皆、思春期前の少女がまだどこかの地下壕でレイプ・ラック2に固定されていると考えているのだ。彼らにはそう思わせておけば良い。緋色の王の子らに我々を愚か者であると信じてもらう方が、彼の王を脅かす者がいることを知られるよりも、誰にとっても格段に良いのだ。

なお、その少女自身は健康そのものだ。彼女はSCP-999によりこの辛い体験のトラウマから快癒した。その時点で彼女は家族の元へ帰ることができると決定された。家族全員にクラスFの記憶処理薬を与え、新たな身元を植え付け、既知の最も近い緋色の王の子供らの活動地域から少なくとも1000km離れた町に移住するという条件でな。倫理委員会の主張に基づき我々が繰り返した……悪行への賠償として、他のSCP-231の家族と同じく彼女の家族もまた7桁の支払いが与えられた。これは厳密には我々の側の過誤だと私は思う。財団内に緋色の王の子らのモグラがいる場合に備え、周知の限りでは231-7の家族は110-モントークの一部として彼女の目の前で殺されたことになっている。

君は懐疑しているに違いない。我々は正気なのか?一体どうして我々の愛らしい小さなくすぐったいモンスターが、未曾有のラブクラフト的な恐怖を退けると期待できるのだろうか?まあ、確かにSCP-999は生まれてから10年も経っていない。それはまだほんの子供で全盛にはほど遠い。それでも、その力は驚異的だ。SCP-999とのわずかな交流であっても、重度の鬱病およびPTSDを恒久的に治癒できる。最近の実験では、以前までは良心の呵責など微塵も感じさせないソシオパスであったDクラス職員が完全に良い方向に感化された。この効果は化学的なものではなく、精神的なものであり、いつの日か緋色の王自身でさえ免かれぬほど強力になるかもしれない。

SCP-682との実験は最も注目すべきものであった。SCP-140それ自体の記述を含む複数のダエーバイトの文書に基づき、我々は682が第4の花嫁の子であることを理論的に確信している。これが事実であれば、SCP-999はすでに自身の不気味な兄妹の憎悪を一時的に鎮めることができるほど、十分に強力だということになる。999はまさに人間を改心させるのと同じように、その一族を恒久的に改心させるほどに強くなるかもしれない。それは緋色の王を暴力で打ち倒すのではない。心の最暗部を照らすことができる光と愛と笑いによって打ち倒すのだ。

本来、999はSafeクラスのSCPではない。Thaumielだ。それは、存在が知られる複数の極めて強力な敵対的存在に対して、我々が持っている最高にして本当に唯一の武器なのだよ。

博士よ、ぜひとも新しい役職の比較的安全な環境を満喫してくれたまえ。だが、SCP-999は我々が熱を上げる単なるペットではないことを心に留めておくのだ。それは我々の最も貴重な資産のひとつであり、あらゆる犠牲を払ってでも必ず保護されなければならない。その安全と幸福は最優先事項であり、この情報をレベル5/999セキュリティクリアランスを持たない者に公開する自由を、君は持たない。プロトコルに従いレベル5機密指定情報の不正開示は君の終了に繋がる。この電子メールは君が端末を離れると直ちに自動で削除されるから、君は遠慮せずに必要な分だけ再読し関連する情報をすべて覚えたまえ。

我々の小さなくすぐったいモンスターをしっかりと世話してくれ。多元宇宙の運命はそれにかかっているのかもしれないのだ。

- 君の隠れファンより(誰かが尋ねるかね)、O5-█

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