財団デビュー
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あるとき、財団こそが自分の居場所だとジェイコブは悟った。高校のクレフ博士ファンクラブから来たかわいい女の子が彼の腕の中で息を引き取った日、彼の烏羽色の長髪が彼の顔をまったく左右対称にしたことによって、髪がどれほど素晴らしい見た目なのかを彼に教えた。ジェイコブは優雅に微笑んだ。なぜなら彼はこの長髪をいたく気に入ったからだ。彼は頭髪が普通の髪に見えるように整えるため、鏡の前で多くの時間を費やすことになった。

彼女が亡くなったとき、ジェイコブは苦悩と苦痛、悲嘆のために叫び声をあげ、彼女を殺した壊れた神の教会の機械仕掛けのしもべに対する復讐を誓った。気を高めて草木と交信することにより、ジェイコブは蔦で学校をおおいつくし、教会のロボットすべてを建物ごと握りつぶすよう蔦に命じた。中にいる、あの少女を除いて。

蔦と瓦礫の山のはるか上から彼女の亡骸が姿を現した。蔦が花を咲かせながら、ジェイコブの前に彼女を横たえる。亡骸を見つめながら、彼女との想い出を称えて、この世界を少し良くしようと彼は決心した。

彼の今までの人生すべてが周りの廃墟に埋もれ、"大地の子"ジェイクはサイト-19への旅に出る。そして汚らわしい壊れた神に対する報復を支援できる人々がいることを彼は知る。

あっそうそう、彼の両親も多分同じように死んでる。


サイト-19のゲートで、犬の外見をした男にジェイコブは出会う。

「やあ、こんにちは」クロウ博士がジェイコブに話しかけた。「君がこっちに来るのを見かけてね。ようこそサイト-19へ」

眼前のそびえ立つガラスと大理石のビルにジェイコブはぎくりとした。二十九階建てで ― 正に彼が思い描いていた通りだった ― 9.144mほどある大きな3つの文字を冠していた。ビルは天を突くように立っている。ジェイコブは興奮を抑え込んですぐに自己紹介を始める。

「僕は"大地の子"ジェイク。壊れた神の教会の邪悪なサイボーグのしもべに家族と最愛の人を殺された。だけど、僕は奴らを打ちのめすことができる。僕の親友である木や蔦の力を借りてね。でも僕が倒した奴らは汚らわしい壊れた神の力のほんの欠片にしか過ぎない。SCP財団だけがどうすれば残忍な壊れた神を完全に滅ぼすことができるのか知っているんだよね。僕は家族の亡骸に誓ったんだ。償いをさせてやると。それが僕がここにきた理由」

クロウ博士はくすくすと笑った。「君はここに相応しい、"大地の子"ジェイク君。私はケイン・パトス・クロウ博士。会えて嬉しいよ」二人は握手を交わした。

「僕も博士になれる? あなたのことはよく耳にしたよ。僕にもEgg Walkerがほしい。今度のは損傷したら自己修復するんだ。生きた植物や蔦からつくるからね」

「あー、博士にはなれないと思うよ。私には植物を制御できるというのはとても超常的な事象に聞こえる。それは我々が実験し、未だ知られていない世界の謎を確かめる必要のある類のものだ。私が思うに君はシニアスタッフというよりSCPといったほうが適切だ」

「クレフ博士やブライト博士、ジェラルド博士はどうなの? 彼らも超常的な存在じゃないか」

クロウ博士は頭を振る。「彼らは君とは比べものにならないぐらい長い間、博士を続けているんだ、ジェイク。彼らは常にスタッフであり続けている。彼らがシニアスタッフでなかったときはないんだ。我々は今さら彼らをSCPにはできない。心配するな。SCPになるのも楽しいもんだよ。来なさい、中に入ろう」

"大地の子"ジェイクとケイン・パトス・クロウ博士はサイト-19へとつながるゲートまで上がっていった。クロウ博士が立ち止まる。「君がやってくれるかな」クロウ博士が話しかける。「手がないんだ。私は犬だからね」


第3フロアがジェイコブの前に広がっている。彼のこれからの滞在場所へと続くところにある驚異の品々の陳列場だ。4/22の「アースデイ」にちなんで、彼はSCP-422となった。当然、Keterクラス。

クロウ博士は特に興味深いSCP ― 「SCP-307 人食いツル」のような (コンドラキ博士はこの植物を五鉢、彼のオフィスへの待合室に置いている。近くにいる秘書が週ごとに変わっていくのはそれのせいだ) ― を指摘しなから彼を奥へといざなった。ジェイコブはクロウ博士に歩調を合わせて進んでいく。そして ―


ジェイコブは目を開ける。彼はかつては白かったであろう薄汚れた部屋にいた。部屋の隅にある排気鐘の中で光るチリが舞っている。分厚いアクリルガラスが張られていた窓から、そこかしこにひび割れができた道路が通る荒地が見える。一人の年老いた男が眼前の机と対になった木の椅子に座っている。彼の眼差しはこの部屋の様子に良く合っていた。

「やあ、こんにちは」SCP-343がジェイコブに話しかけた。「君がこっちに来るのを見かけてね。ようこそサイト-19へ」

ジェイコブは彼の周囲に気を配った。彼がいるこの小部屋は、ジェイコブの新たな居場所となるべき素晴らしいところとは到底思えない。それは何を意味するのか?「ここは、サイト-19じゃない」ジェイコブは続ける。「そして、僕は"大地の子"ジェイク。さっさと僕を元いた場所に戻せ!」

ジェイコブは蔦に敵を囲い込む壁として現れろと命じるが蔦は現れなかった。その男は首を振りながら話し始める。「よすんじゃ。おぬしは亜神を演ずるジェイコブ・グレイザーでしかない。ワシの部屋では本当の姿が明るみに出る」

「あなたは何者だ。なぜそんなことができるんだ」

「最近では、SCP-343とよばれとる。警告するためにおぬしを呼んだんじゃ。そして、カロゥ…ケイン?博士だったかのぅ、そやつが黙っとったことを教えてやろうと思ってな。おぬしは自分の思い通りに事が運ぶことが当たり前になっておる、違うかな? お前さんの頭がただ黒いだけの物から今の髪に変わってどれだけの時が過ぎたか覚えとるか? 植物を操る能力についてもそうじゃ。いいか、おぬしはまだ青い、まるで萌木のようじゃ

「ここには、おぬしのような人々がたくさんおる。あるスタッフや、有名なSCP、そやつらはおぬしができることはすべてやれる。そして、自分の思うがままに事を進める。おぬしと同じにな。やつらと上手くやっていくことができなければ、おぬしは危機に瀕することになるじゃろう。おぬしを見張ってやることもできるが ― 」

「何をいっているんだ? すべてが僕と同じ人、その人たちはスタッフじゃないか。ここは世界で一番安全な場所だ。なぜなら、財団のモットーは『確保、収容、保護』であって『破壊、破壊、破壊』じゃない」

SCP-343はため息をついた。「今にわかる。不幸にも、おぬしはここにとても相応しい。もう一つおぬしにいっておきたいことがある。人殺しをやめるんじゃ。おぬしの家族、おぬしの学校…何をいっているのかわからんじゃろうが、おぬしは周りの人々に何をしているのか知らねばならぬ」

激しい怒りと困惑?の波がジェイクを襲った。

「僕は人々を助けているんだ! それが僕のしていることだ! 壊れた神の汚いのしもべ、僕の大事な人すべてを殺したやつらから!」

「ジェイコブ、彼らはおぬしに悲劇的な来歴を与えるために死んだ。哀れなサイボーグたちがどこから生まれてくるのか考えたことがあるか? おぬしの周りでは、皆が操り人形、小道具、エキストラになってしまう。皆を巻き込むでない、おぬしにはおぬしの人生があるように皆には皆の人生がある」

「そんなの嘘だ。僕は降りかかった苦難を切り抜けるのに必要だったことをしただけだ」

「『だけ』とな! もう少し話をさせてもらってよいかな、ジェイコブ。確かに、財団にいることで壊れた神の崇拝者から皆を救うための機会を増やすことはできるじゃろう。しかし、その崇拝者は、おぬしと新しい友人がこのゲームに参加する気になったときにたまたま近くにいた者の成れの果てでしかないのじゃ。おぬしはもう一人のアベル、もう一人のコンドラキへの道を歩んでいるにすぎん」SCP-343は椅子から立ち上がる。その顔は嫌悪に染まっていた。クレフ博士が犬である以上にそれはもう人ではなくなっていた。

「お前は今までエキストラ以外の何者にも会うことはなかった」それは続ける。「しかし、お前はケインに会った。私に会った。これからも遭遇は続くだろう。そして、お前はそれを楽しむようになり、お前の物語の配役に割り当てられた人々はそのために死んでゆく。我々は皆同じなのだ。

「行け、ジェイコブ・グレイザー。行って、"大地の子"ジェイクを演じよ。そして独善者として死ぬがよい」


— 彼は次のレベルに移るためのエレベーターに向かって廊下を下り続けた。彼は震えていた。

422号室に着き、クロウ博士は歩みを止めた。「着いたよ。この収容室には標準的な宿泊施設と同等の設備が整っている。といってもワインクーラーは無しだ。君は未成年だからね。何かほしいものがあったらいってくれ、君の『取扱方』に追記しておくから。来てくれてうれしいよ、ジェイク」クロウ博士が一声吠えると、Egg Walkerが廊下をドタバダ降りてきた。ジェイコブに物悲しい印象を与えた少々不格好な被造物に博士はその目に似つかわしくない視線を向けて停止させた。クロウ博士はEgg Walkerに乗り込み去っていった。ジェイコブは収容室に入り、ドアを封鎖する。

彼の望みがすべて叶う中、SCP-343の言葉が心の隅に居座り続けた。素晴らしい周囲の状況は信じるに足るだろうか? ジェイコブが意識すると、一瞬、部屋が小さくなった。簡易ベットと椅子、テーブルだけのみすぼらしい独房。その想像はひどすぎた。ジェイコブは羽毛ベットに潜り込む。音響システムに曲をリクエストし、それに心をゆだねて早く寝てしまおうとした。


インシデント 422-01: ██/10/31、壊れた神の教会に関連するオブジェクトを移送途中、SCP-422の収容房を通過する際にD-2663及びD-7529が「壊れた神のアーティファクトはサーバールームに置いとけば間違いなく安全だろう。そうしておいてピザでも食いに行かないか、D-2663」「そりゃあ、いい!」との会話を行う。これを聞いたSCP-422は感謝祭時に拾得したカボチャの種を使用しドアを破壊。その後、教会のアーティファクトの奪取を試みる。ホールにはブライト博士もおり、D-クラス職員にSCP-422の制止を指示。

乱闘の結果、ブライト博士及びD-2663は負傷。ブライト博士はD-7529に人格を移行し、SCP-422追跡のため保安職員を招集。それに対してSCP-422は蔦を用いて保安職員の足止めを行い、ブライト博士の追跡を受けながらもサイト-19のエントランスまで到達する。そこで残りのカボチャの種を背後に散布。それにより、数秒のうちにカボチャの壁で通路は閉ざされた。

SCP-422が施設より逃走する際、カボチャの壁を少しずつ分解しているブライト博士を確認。その後、それらを壁の外側へ取り出す。保安カメラはおおよそ八 (8) 個のカボチャを茎でくくり大雑把な人形としているブライト博士の姿を捉えている。そして、SCP-963を組み上げたカボチャ人形の上に投下した。直後、カボチャの塊は動き出し、頭に位置するカボチャがジャック・オー・ランタンの形へと自発的に削孔される。カボチャ人形への移行が完了したブライト博士はSCP-422の追跡を再開する。

ブライト博士の接近を見て、SCP-422はカボチャに能力を使用、しかし能力はブライト博士の体を巨大化させるだけに終わる。SCP-422は捕らえられ、収容室に戻された。なお、ブライト博士はカボチャの体の運用を継続する意思を見せるも、その体では大きすぎてSCP-458を利用できないとの説得を受け入れて断念。

"大地の子"ジェイクは非常に危険なSCPだ。我々にとって幸運だったのは、彼が壊れた神の教会の品々の危険な影響を防ぐことに強い動機を持っていたことだ。彼の素早い対応がなければ、壊れた神の鍛冶場で作られた災難が、どんな風にサイト-19へ降りかかっていたか分かるかい?
~ブライト博士


ジェイコブは、今までに味わったことのない面白さを感じていた。収容違反を起こすのをひと月ほど待っていたなんて信じられなかった。これはキャビアやテレビみたいなものだ ― 心の内でつぶやく ― そして、どんな防壁や錠前よりもとても強固だ。なにより、SCP-343と交わしたあの話のようになる恐れがまったくない。


インシデント 422-20: ██/3/29、SCP-422への夕食にミートローフが提供された。それは「取扱方」に併記された彼の好物に該当しない。SCP-422は看守に抗議し、栄養バランスが考慮された菜食者用の自然食品が与えられるまでハンガーストライキを行うことを宣言。翌日に金属のブロックが提供されたことを受けて、激昂状態になり収容違反を試みた。

[データ削除済] たが、コンドラキ博士は大切にしている [データ削除済] とともに四 (4) 本の植樹に取り込まれるより早く、攻撃をかいくぐり、すべての植樹の破壊に成功。

クロウ博士及びコンドラキ博士はサイト-19の地下2階層オメガ区画にてSCP-422と対峙。そこでSCP-422は、最後のSCP-307の挿穂を地熱孔に投げ入れ、彼の力と地熱を用いて四百フィート (400m) 長の [データ削除済] にし、財団全体を [編集済] する計画を告げる。急速に成長した [データ削除済] はSCP-143の欠片を巻きひげで掴み取り、地熱孔へと引き込んでいった。それらは地熱孔内で [編集済] (7) 本の剣へと鍛え直された。クロウ博士が [データ削除済] へのエネルギー供給遮断を試行中、"大地の子"ジェイクらはコンドラキ博士と交戦。

[データ削除済] はすべて (7本) の剣をコンドラキ博士に突き出す。コンドラキ博士は熟達した体捌きでこれを避け、剣はそのまま背後の壁をテッシュペーパーかのように引き裂く。 しかし否運なことに避けた先の壁は「SCP-506 アッという間に育つ植物」の収容房へと続く壁であった。コンドラキ博士の否運にほくそ笑みながら、ジェイコブは力を用いてSCP-506に収容違反を起こさせ、コンドラキ博士を捕縛。

"大地の子"ジェイクは [データ削除済] が [編集済] 度突き刺す前に言い残す言葉はないかコンドラキ博士に尋ねた。それを受けてコンドラキ博士が応答。「ああ。何が赤で、何が緑で、何が青か。読み上げちゃくれないか?」ジェイコブが聞き返す。「新聞か?」読み上げると、SCP-504の5 (5) 個の大きな実体が2175km/h超で彼に飛来。[データ削除済] は砕け散り、"大地の子"ジェイクは気絶。「やっちまったな。オレの蝶が4をあたかも6のように見せた。この植物マンはズッキーニとトマトの違いを知っとくべきだったね」とコンドラキ博士が指摘。

一方、クロウ博士は地熱孔の非活性化に成功する。15のKeterクラス収容房の電力が消失 (詳細についてはインシデント 682/076/106/1370-8 を参照) することになるも、これにより"大地の子"ジェイクはサイト-19の地下にあるたて坑へと落下。その後、彼はすぐに快復し、収容房に戻された。クロウ博士は収容違反を起こしたことについて謝罪するも、これにより財団への多大な恩恵が生じたとして懲戒処分の対象ではないと主張した。なお、SCP-422のハンガーストライキは三 (3) 日後に終息。

植物があんなすげえフェンシングをやるとは思いもしなかったな。とーぜんオレには及ばないが、枝が別々に動いて剣を何度も突き出す技はなかなかだった。とはいえ、オレがやりあったヤツらに比べて火に弱いんじゃないか。
~コンドラキ博士


コンドラキ博士とクロウ博士との戦いは最高だった。そして、クロウ博士がサイト-19にあるKeterの半分を解き放つことになり、上を下への大騒ぎになるのを見るのはとても愉快だった。だが、ジェイコブは悩んでいた。他の面々が財団の奥へと"大地の子"ジェイクを追っていたとき、彼はそこに残り、SCP-307の犠牲となったD-クラスから非現実というヴェールをはぎ取ろうとしていた。D-クラスはSCP-307を除いて確かに死んでいた。実際、それは間違いない。彼のクラスメイトが死に絶えたとき、彼らはただ死んでいた。内部に厄介な種粒なんてなかった。彼の両親が死んだとき (本当に両親だったのか? 彼らを殺したのは本当に壊れた神のしもべだったのか?) だってそうだ。いや、そうじゃない。死に様は物事の在り様を示すのではない。

死に様が示すのは、死因のみだ。


インシデント 422-25: [データ削除済], 50 (五十) 名に及ぶ壊れた神の教会の崇拝者がサイト-19に侵入、SCP-882の強奪を試みる。防衛のため保安部隊が動員されるのを見て、SCP-422は隠し持っていた少量のSCP-843を使い植物でできたバッファローの一群を栽培する。その後、彼の収容房のドアへ突進するように命令。歯車が軋む凄まじい音がした後、彼は第八フロアで崇拝者と交戦中のジェラルド博士、コンドラキ博士及び、保安部隊と遭遇。

SCP-422は保安エージェントの制服内の繊維に働きかけ、壊れた神の教会の崇拝者が持つ小歯車銃を防ぐための強固な防護服へと制服を変化させた。SCP-882へ接触を試みている崇拝者にジェラルド博士が到達した丁度そのとき、最後の封印が解かれ、偉大な機械は内部より耳をつんざく歓迎の金切声を上げた。

崇拝者がSCP-882の軋む胃袋へ身を投じると、理由は不明だが挽き潰されずに融合を果たした。SCP-882 (八百八十二) は彼を覆うように部位を折り畳み、意のままに動く人型形態となった。壊れた神の教会の機械帝がサイト-19の壁の中より誕生したのだ!

報告によるとジェラルド博士は「こりゃ非常手段に訴えるしかないな」と発言したとあり、その後、ローラーブレードを履き、機械帝へと滑走していく姿を保安カメラが記録している。その結果、爆発によりSCP-882の収容室が損壊し、機械帝は壁を打ち破ってビルの外へと吹き飛ばされた。その際にSCP-682収容槽への酸供給パイプラインが損傷。

奇妙なことに、この爆発による保安部員の負傷者はいない。
あれは凄い爆発だったからね。つまり、負傷じゃ済まなかったってことさ。 ~ジェラルド博士
これについてはジェイクの筋書きに従え、ジェラルド。保安部員は後で私が使うのに残しておく必要があるからな。 ~SCP-682

コンドラキ博士とSCP-422はSCP-803の収容室から緊急用ハングライダーを取り出した (これはすべての三次元空間に存在する「傘」との戦闘に備えて配備されていたものだ。インシデント803-40及び803-49を参照のこと)。そして、サイト-19の壁に開いた穴から飛び出し、みずからの体をまとめ直している機械帝の文字通りの真下へ降り立った。ジェラルド博士は危険性を考慮して階段で駆け付けた。

外に出るとコンドラキ博士はSCP-1871を引き抜き、機械帝との交戦を開始した。一方、"大地の子"ジェイクは動きを抑えるために足部にある駆動金属部品の周囲へ絡みつく根を生やした。生き残った崇拝者がコンドラキ博士に発砲するが、彼は余りに速く、推定493個のSCP-217に汚染された歯車が彼の剣によって弾かれた。

[データ削除済]

コンドラキ博士が必殺の一撃を機械帝に繰り出し、壊れた神の教会のしもべへと注意を向けた。そのとき、サイト-19 (十九) のゲートが弾け飛び、ジェラルド博士が残存する十人の保安部員を引き連れて、飛び出してきた。彼らの背後からとどろく300デシベルの咆哮が皆に知らしめる。SCP-682の解放を!


ジェイコブはSCP-682の巨体が信じられない軌道でジェラルド博士向かって飛びかかっているのを見た。SCP-682が着地したときには、ジェラルド博士はそこにいなかった。SCP-682が唸り声をあげ看守を薙ぎ払う。ジェイコブの予想に反して、その一撃は看守に当たった。あの死体は本当はなくなっていない。彼にはそれが分かってしまった。シニアスタッフの華々しい活躍から目をそらすと、サイト-19の玄関には骨がばら撒かれていた。

「ジェイク!」次の崇拝者を両断しながらコンドラキ博士が叫んだ。「こっちを手伝え。このバケモノたちは、家族の仇なんだろ!」

それは真実だ。ジェイコブがサイト-19に訪れてからの数か月間で壊れた神の教会のしもべの襲撃は今回で8度目になる。カオスの反乱のエージェントが頻度では似通っている (こちらは10回)。彼はしもべたちがどこから来たのか、どこへ行くのか分からなくなっていた。 彼らが殺されたとしたら、ジェイコブには彼らの死体とD-クラスや看守の死体を見分けることができそうにない。それに思い至った今では、SCP-050悪戯黙示録による下級研究員の死体ですら見分けがつかないだろう。 シニアスタッフが近くにいるときにだけ、カオスの反乱のエージェントが身にまとう黒と赤の印象的な服装は存在するのだ。

壊れた神の教会の邪悪なサイボーグもそうだったらどうだ?

すべての人々が普通の人だったらどうだ?

ジェイコブは彼に向って走ってくる崇拝者の方を向き、真実を暴く。悪党はよろめき、彼の足元の地面が命と色を吸収していく。崩れ落ちた機械じかけの狂信者である半分は今やおびえ、痩せこけた人間である半分はよたよたと歩み去った。ジェイコブは満面の笑みを浮かべる。彼は正しかった。「みんな、見たかい?」彼は続ける。「やっぱり彼らを殺す必要はないんだ!」

「お前、今、何をやったんだ?」コンドラキ博士は、急にとても静かな声で聞いた。

「ああ、物が腐敗するみたいに僕の植物はあの機械汚染を浄化できるんだ。僕が成長させた植物が彼からSCP-217をすべて吸い出したんだよ!」

「██ったれ!」コンドラキ博士は叫んだ。一旦、言葉を止め、一点を見つめる。今度は非常に抑制した声で言い直す。「オレはクソったれといったんだ。お前はこれができると思ったんだな? お前とは二度と一緒に█ァックしねぇからな。ファック!」

ジェイコブは後ずさりしたが、コンドラキ博士は構わず続けた。

「オレは誰もが羨む男なんだぞ。もしオレがO5の大味で、横柄で、凹凸で、旺盛で…クソ、『オー』で始まる言葉はもっとあるんだが。いいたいことはだ。このサイト全体にわたる収容違反の中で奴らのタマを守ってやったことで、オレを称賛するはずだったってことだ!でしゃばるな、ジェイク。お前は檻の中のタンポポ野郎なんだ。比べてオレは最凶の悪魔もチビっちまう不滅のタフガイだ」

記録では、ここでSCP-422が激昂状態に至ったと主張しているが、実際のジェイコブはまったく平静だった。「僕はSCPであって、博士じゃない。命令を聞くいわれはないよ」ジェイコブは答え、コンドラキ博士におおわれた非現実のヴェールを消し去った。

アラン・コンダック博士の上背はコンドラキ博士ほどもなく、不滅のタフガイのいかついハンサム顔もセクシーなマッチョボディも持っていなかった。彼はヨレヨレの白衣をまとい、爪は噛み過ぎで深爪になっている。コンダック博士の右手に握られていた錆付く短い金属棒がふいに弛んだ指から滑り落ちた。 彼の沈んだ胸の内から、喪失の低い嘆きが漏れる。

ジェイコブはコンダック博士が肩を震わせているのを見つめていた。この情景は1分近く続いたが、圧倒的な金属の力がジェイコブを地面へとぐらつかせ、彼の注視を止めさせた。見上げると、SCP-682とジェラルドが青白い顔で彼のそばに立っていた。

コンダック博士は去っていった。定着した設定という刈草の束の下に再び隠されてしまった。そして、コンドラキ博士が立ち上がる。不安の表情は消えていた。コンドラキ博士は不安と無縁ということになっているからだ。その姿は以前とほぼ変わらない。「ムカつく野郎だ」倒れたままのジェイクにうなるように吐き捨てた。「なんてムカつくビチグソSCPなんだ。こいつは」ジェイコブはコンドラキ博士の呪詛に屈しないようにもがいた。

「これから、貴様をどうしようか、ジェイク?」背中に爪を生やしたSCP-682が問いかける。

「Decommissionedにするのが順当じゃないか」ジェラルド博士が答える。

「そう、こいつはそれを頂戴するのに相応しい!」コンドラキ博士は残忍な笑みを満面に浮かべ同意した。

この三名に対して、ジェイコブは何もできなかった。かろうじて"大地の子"ジェイクと彼自身の繋がりを保つことはできた。彼は自身の両部分とも、サイト-19に拘束され、打ちのめされ、引きずり回されていると感じていた。

ゲートを通り抜けたとき、穏やかな声が彼の耳に届いた。「もうここで実りある体験ができるとワシには思えんの。中へ入れてくれんか、そうすればお前さんを連れ出せる」最後の力を使って、彼は同意の合図を出した。それを受けてSCP-343は彼を包み込み、漆黒の中へ運び去った。


Decommissioned 移行ログ 422:

使用請求SCP: SCP-272, SCP-891, SCP-1417, SCP-2800

手順: [データ削除済]

補遺: マジ、こいつ fuck だな。 ~Kondraki


ジェイコブは目を開けた。彼は点々と花が咲き、日陰がまばらにできた広い牧草地にいた。はるか彼方で人形たちが楽しげに遊んでいる。見事な青空の向こう側に、もし注意深く見ることができたのなら、彼はボロボロの部屋と倦んだ人形を何とか判別できたろう。そして、SCP-343の排気鐘にもう一つチリが舞っているのを見つけただろう。

一組の人形が集団から離れて彼のもとにやってきた。その人形は犬と吸血鬼だった。「やあ、こんにちは!」犬がジェイコブに話しかけた。「君が来るかもって話を聞いてね。来なよ、一緒に行こう。必要になるまでくつろいで休んでていいんだ。僕はジョセフ・シンプソン。こいつは僕の友達でシド・デュケイン。君は何ていうの?」

ジェイコブはためらった。彼は植物が彼の命令を待っているのを感じ、まだ"大地の子"ジェイクに従うだろうことを悟った。しかし、彼は満面の笑みを浮かべてこういった。「ジェイコブ・グレイザーといいます。どうぞよろしく!」

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