みている
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ある日、目が、私を見ていました。

もう何年ぶりのことでしょう。誰かに見られることはほんとうに、ほんとうに久しぶりのことでした。

暗闇の底から私はお返事を返しました。このお返事が届いているかはわからないけれど。






目は、あれから日に日に増えていきました。

目はずぅっと私を見ています。目は何も語りません。私も目を見ています。色んな目を見ています。

最初のうちは黒とか茶色とか、そういう暗い色の目が多かったのですけれど、最近は明るい色の目も見るようになりました。不思議です。

目はどんどん増えています。数えるのは億劫なのであまりやりたくありません。でもこの暗闇の中で見えるものは目だけです。目を数えるくらいしかやることはありません。






とても長く時間をかけて、目の数を数えました。数えている間にもどんどん目は増えていました。けれど、ある時から私を見なくなる目もありました。数えてる途中で消えるなんて、意地悪な目です。

ともかく、私は目を全て数えました。私は頭がいいですから、大きな数字もわかりますよ。

目の数は、155億くらいあります。細かい数字になると、増えたり減ったりしていてよくわかりません。でもだいたいそれくらいです。

とてもたくさんの目が私を見ています。たくさん、たくさん、本当にたくさんの目が私を囲って、見ています。

今も、見ています。

ずぅっと。見ています。ずうぅっと。

目は何も返事をしませんが、もう一度話しかけてみようかと思います。






ねこです
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