政治局行政監督部 臨時業務(前編)
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汚名は刑罰になく、犯罪そのものにある

20██年 3月██日 サイト-8100 政治局行政監督部 RAISA分室 来栖監視官

先日の夜鷹がらみの騒ぎの後、既存日本超常組織平和友好条約機構”JAGPATO”の再編に伴い私は政治局付きの分室勤務を行う事になった。職員然り、要注意団体に国家、色々な意味で”お目付け役”が必要という事だろう。

国家に関わる要注意団体との調整なんて面倒な役目はごめんだが、それはそれとして関連した業務を何でもかんでも投げられるのはもっと困る。人付き合いは得意な方ではないのだ、こういう組織間の調整なんて仕事は誰か適任がいるはずだ……

「それにしても……どうしてこんな偽名で訪問許可が下りるのでしょう?」

私は大きなため息をつきながらフィリーズシガリロに火をつけそのまま灰皿に転がす。熟れたスイカとスモーキーな煙草の香りが混じり顔をしかめる。煙草をくれたロシア人はなぜこんなものを持っていたのか、大いに疑問に思いながら近々訪問予定のGOC職員の資料に目を落とす。

エアコンの駆動音とレスピーギの松をBGMに穏やかな時間が流れるオフィスのデスクには二人のGOC所属の調査員について資料が並べられていた。”KATO - SAITO” ”KATO - ITO” 見るからに私は偽名を使っていますとばかりの名前が記された訪問者、日本人に似通った雰囲気を持つ中華系アメリカ人の写真は80年代のビジネスマンを彷彿させる曖昧な笑顔と胡散臭い眼鏡で彩られ自分が二流のポリティカル・サスペンスにでも迷い込んだかのような錯覚を与えてくる。

「それで、この見るからに怪しい二人は何をしに極東の政治部所を訪ねてくるんです?」

書類を持ち込んできたエージェント・海野冴えない同僚に声をかける。エアコンの駆動音とレスピーギの松が流れオフィスに忘れ去られたかのように埋没していた彼はため息をつきながら答える。

「なんでもロゴス・コーポレーションに異常物品と情報を持ち逃げしようとした馬鹿が日本に潜伏してるらしいです。引き渡される前に回収したいので協力をとの事ですね。厄介な事に協力要請が上の方で受託されたうえで内に回ってきた。」

「それで私たちが手伝いを?どこぞのSFに出てくる公安みたいに?」

「ええ、電子戦に強いサイボーグもいなければ、眠らない目の男もいませんが。」

目頭を押さえながら私は彼らの履歴を見る。どう見ても厄ネタを押し付けられた類だろう。異常すぎるほどホワイトな経歴に色のつかない所属、ウェットワークにしても虫も寄り付かないほどクリアな情報は大抵は真っ黒なインクを隠すための迷彩に過ぎないのだ。

「それでうちで?そりゃあ時間的な余裕もありますし、仕事に追われている正義の味方ってわけじゃないですがあんまりですね。」

「これも仕事ですからね、諦めて協力するしかないでしょう。」

「それで、そのロゴスに逃げようっていう吟遊詩人はどんなマジックアイテムを?」

「チェルノブイリから持ち出された象の足の断片だそうです」


20██年 3月██日 東京都 六本木 来栖監視官 / エージェント海野

静かにクラシックが流れる店内で我々は

「ドーモ、ドーモ、佐藤・斉藤です。」

「ドーモ、ドーモ、加藤・伊藤です。」

名刺を差し出して頭を下げながら挨拶をするGOCのあまりの”ジャパニーズ・ビジネスマン”ライクな姿に私は内心で頭を抱えながら新しく支給された名刺を返しながら挨拶をする。横では海野さんがすでに苦笑している。

「どうも、記録・情報セキュリティ管理局RAISAの来栖です、こっちが政治局の海野です。」

「それはそれはドーモ、RAISAの噂はこちらでもよく耳にしております、あなた方の情報管理は我々では抜けないとね。」

佐藤となのった胡散臭い眼鏡の男性は反吐がするような嫌らしい笑顔で世辞を入れてくる。

「それで、象の足……核燃料のデブリが日本に持ち込まれているとの話ですがいったい何があったというんです?」

「ああ、はい。象の足は現在すでに東京に入っております。奴は追跡デバイスと対抗ミームの除去のために都内で日本生類創研貴下の医療施設で何らかの処置を受けたことが確認できてますが、その先の足取りが途絶えています、はい。」

何かか見違えている感じがする。象の足を持ち出された誰かが逃げていると思ったけど……私は砂糖をたっぷりと溶かしたブレンドコーヒーをゆっくりと啜り、フルーツがたっぷりと入ったミルクレープを崩れないように一口サイズに切り分けながら答える。

「それは奴の移動経路の話ですよね、象の足自体はどういった状況に?」

加藤はやれやれといった様子のジェスチャーを加えたうえでゆっくりと話す。

「ええ、かつて我々の工作員であった『ウィルソン・ローグ・ブラウン』が”象の足”となって逃げてるんですよ。象の足ことウィルソン氏は我々の工作員の一人です。彼はチェルノブイリで発生した核燃料デブリのサンプルを使った対現実改変者用の試作兵器開発時に発生した人型実体でしてね。」

佐藤はそれを補足するようにつなげる。ねちっこい嫌な視線を感じる、何かこう舐め回されているような錯覚を感じるが無視して話を聞く。

「彼が後天的に得た放射線や限定的な現実改変に関する能力は彼がGOCのケースオフィサーとして活動する際のリミッターとして用いていた埋め込み式のデバイスで封じており物理的な危険はないですが、追跡デバイスの除去時になんらかのトラブルが起こった場合はこの限りではありません。詳しくは資料に記載してあります。はい。」

私は意味を理解するまでに数秒間そのままフリーズしていたように思う。糖分か何かが足りないのだろうか?それとも私がフィクションに入り込んでしまったのだろうか?ミルクレープを一口切り分け、口に運びイチゴとバナナとクリームのハーモニーを楽しみながらゆっくりとコーヒーを啜り……海野が横で激しくむせこんだところで正気に戻る。

「は?えっと、え?核燃料が人型で、生きていて、日本を経由してロシアに逃げ込もうとしている?」

加藤が眼鏡をクイっとさせて生真面目に返す。そこまで入り込まなくてもいい、それよりも大事だろう。

「ええ、ですからそう言っているでしょう。だから我々も協力を求めているんです。はい」

「では、早急に確保して我々が封じ込め、もしくは引き渡してあなた方で緊急措置を?」

自身の口調が早口になっているのを自覚しながらも確認をする。海野はもうしばらく役に立たない感じがする。なんというかフィクションと現実とSFとが混じって色んなものを吐き出しそうな感じだ。

「はい、ええ。ですので協力して確保を行っていただきたい。我々は出国できぬようルートを塞ぎますので奴の追跡をお願いしたい。」

「それで、ルートをふさげるのはどの程度に?」

「48時間です。はい。」

「我々はアメリカ大使館に滞在しています、象の足が確保できたか何らかの状況の変化があればご連絡をいただければ……ああ、出来れば生きて確保していただけると助かります。我々と違いあなた方ならきっとうまくやってくれると信じてます。はい。」

いちいち気に障る言い方をする奴らだと思うがそういう設定なのだろう。そう信じたい。ともかく時間がない事だけは分かった。異常能力を封じた現実改変者を確保して引き渡す、それだけの話だ。少なくとも組織間の諍いを事前に防止する為の使い走りとしては丸いものだろうとそう考える事にした。

それにしても何か妙な違和感がある。放射能が漏れだすかもしれない異常な試作兵器が逃げ出して処分しない?あの世界オカルト連合が?いや、財団と仕事をする上で譲歩しているという可能性もあるけど、それにしても引っかかる……裏がある、心のどこかでそんな楔が撃ち込まれた気がした。


20██年 3月██日 サイト-8100 政治局行政監督部 ”室長代理” エージェント・イヴァノフ

上司を売った対価、内部保安部門の代わりにクリアランス相応のポストとして押し付けられたのは代理室長として菓子岡の後任が決まるまでのお飾りになる事だった。実権なし、責任ばかりの室長代理の仕事は名目上のものが大半であったが、それでも切り売りされて現場でこき使われるよりは幾分ましになる。少なくとも今日まではそう思っていた。

平日の昼下がり、オフィスで室長として押し付けられた仕事……新しく室長になるであろう正式な報告書の精査をするだけだった筈があのRAISAのお嬢様はロシア貴族のカタコンベに迷い込むがごとく酷いトラブルを起こしてくれた。例のGOCの奴らとの会談に行っていた来栖は厄ネタどころかチェルノブイリの遺産がらみなんてGRU時代でも手を出さなかった特大の爆弾を運んできた。

よりにもよって実権を持つ担当職員や高レベルのクリアランスを持った奴らが軒並み式典のこんな日に限ってだ、政治局にやってきてから貧乏くじばかり引かされている気がする。序列上クリアランスレベル3の俺よりも上位の奴らが戻ってくるまでの責任はすべて俺がとる羽目になる。ケチが付き始めているようだ。

「という訳です。核物質が変容したとかなんとか、資料は送信したのでそちらで分析をお願いします。こちらはGOCから情報提供を受けた日本生類総研の関連医療施設へ向かって”象の足”の手掛かりがないか調べます。」

「了解、おちびちゃん。こっちでサボってる西塔も合流させる。俺は資料とコネで何か引っ張ってこれないか当たってみるさ。」

本当だったらこんな失態であれば奴らは情報も伝えずに握りつぶすはずなのに協力を求めてきた、それ自体が怪しいというのに日本人ときたら善意に偏りすぎている。そんな事を独り言ちながらデータを確認する。どうせ情報を出し渋るにきまってる。受け取ったデータをスタンドアロンの端末で開いているとお目当ての西塔が戻ってくる。

「おい、クソロシア人。そろそろ来栖から連絡があっただろ?GOCのやつら何だって?」

「イヴァノフ室長代理だ……まあいい、GOCの奴ら生きた核物質が日本に逃げてきたから捕まえてなんとかしろだとさ。俺は送られてきた資料を精査してコネを当たるからお前は来栖と海野に合流して日本生類創研の関連施設調べてこい。」

と座標を入力した携帯端末を投げ渡す。落としそうになりながらもなんとか手に取ったのを確認するとPCに向き直るが、気怠そうに出て行こうとする西塔に声をかける。

「俺のクリミアを使っていいぞ、キーの保管番号は229543だ。車に収まってるものは自由に使っていいが壊さず返せよ。」

「あいよ、便利に使わせてもらう。確か前に乗ったときにダッシュボードに閉まってあった手榴弾型の瓶に収まった酒、あれもいいんだな?」

「それを飲んだら殺すからそのつもりで。」

西塔はへらへらと笑いながら部屋を出て行った。相変わらず仕事ができるのか出来ないのか分からない奴だ。そんな事をしているまにPCで提供されたデータが表示されていく。死亡した工作員を再利用する為の生体実験、対改変者用暗殺案、ネクロマンシーの危険性、悪魔学を応用した特殊基盤による脳組織の再編……そして……

20██年 3月 東京都 某所 来栖監視官 / エージェント海野

2時間後、GOCの彼らをアメリカ大使館に送り届けた後に我々奥多摩郊外の寂れた住宅地に来ていた。周囲は都内というのに閑散としておりある種の空洞化を見ているような気分になる。隣では海野が記録装置の調整をしており久々のフィールドワークだというのに既にオフィスか演算室に戻り通常業務に戻りたいと感じていた。

それからしばらく車を走らせると目的の建築物を発見する事が出来た。情報提供の合った医療機関があるという建造物は一見テナントの入っていない廃墟のように見えた。駐車場の併設されたボーリング場がそのまま放置されたといった様子で、四角いといった以外に特に印象の残らない場所だ。念のために周囲を法定速度でゆっくりとまわるが監視装置の類も監視もないように思える。

「海野さん、西塔さんはまだのようですがどうします?」

「どうせしばらくかかりますし我々だけで行くとしましょう、何かあれば察して西塔さんで動くでしょうし……まあ大丈夫でしょう。それよりもデバイスによって抑制された放射線がいつ暴発するか分からないのでしょう、機動部隊に応援要請をしたほうがよいのでは?」

「ええ、通知は送ってます。送ってますが……」

海野に送信したメッセージを見せる、形式ばった書式でサイト-8100の担当部隊は対応装備を調達の後に出動予定であると表示されている。

「まだ時間がかかる……と、OK,対放射線装備なんてもってる機動部隊もそうそうないですからね、応援が来るまではやはり我々だけで」

私は無言で頷き車を施設近くの路肩に止める。ダッシュボードの収納に指紋を読み取らせると中から9㎜の拳銃を取り出し、付属しているマガジンを叩き込む。安全装置をかけると海野に手渡し自分はスモークグレネードをポケットに突っ込む。

「優先事項は”象の足”に関する情報の確保、可能であれば医療施設から別の異常に関する情報も得られればベターですね。海野さん、私はフィールドにおける情報精査や電子機器については訓練を受けていますが荒事は苦手です。何かあれば矢面に立っていただきますがお互い命を優先でお願いします。」

海野は頷くとひょうひょうとした様子で施設の方へと歩いていく。私もため息をつきながらそれに続く、どうせ行くしか道はないのだ。私はため息をついて彼に続くことにした。


20██年 3月 東京都 某所 日本生類創研関連施設? エージェント・海野

ホルスターに納めた拳銃の重みを感じながら要注意団体の関連施設と思わしき廃墟を歩く。建物はやはり外見通りのボーリング場跡だった。少なくとも地上部は受付に広いボーリング上、ゲームセンターに休憩スペース、どこもかしこも学生時代に通った覚えのあるような作りだった。

そのどこを歩いても何処からも人の気配がしないどころか、あからさまな血の匂いや血痕が随所にみられる。しかしどこを見ても虫の一匹すら見かけない。ただただ奇麗に磨かれワックスをかけられたリノリウムに白い壁、財団とも違う無機質な空間が続いていた。カツンカツンと足音を立てて後ろからついてくる来栖も中に入ってからは黙ったきりだ。

「たぶん、ここはもう引き払ったか、例の象の足がやらかしてもぬけの殻ですよ。」

「だといいんですが……ここまで映画みたいな配役におあつらえ向きの異常性、何か起こらない方が不思議じゃないです?」

ため息をついて来栖の方にかぶりを返す。まさかそんなに運悪くアクシデントなんて……そう思った時だ、何処かから何かを叩きつけるような嫌な音が響いた。音は壁を伝ってあちこちに反響するように響き何処が音源か認識できない。ただただ何かを叩きつけ、破砕するような音が何度も何度も聞こえてきた。

ガン!ガン!

ガン!ガン!

そんな感じの音だった。そしてその音がどこから聞こえてくるか方向を探り、そして気が付いた……音は自分たちの真上からしていた。

「走れ!」

そう叫ぶのと上からそれが降ってくるのは同時だった。それは半分機械、半分がずる剥けになった筋肉で出来た何かだった。既に後ろにいたはずの来栖は自分よりも先に一目散に走りだしている。それに数瞬遅れて自分も走り出す。

「聞いてないですよ!あれ絶対サイボーグとかアンドロイドとかなんかそういうボス的な奴じゃないですか!」

半分泣きそうな声だった。情けないと思いつつもリノリウムの床を響かせながら全力で走る。後ろからは5本の足を器用に動かしながら虫と獣と機械の混じった怪物が金属で出来た爪をガチャガチャ言わせながら追いかけてくる。

「あれ、絶対拳銃じゃ駄目な奴ですよ、どうしましょう!」

来栖が半ば叫びながらこっちに訴えかけてくる。小柄な体でどこにそんなスピードが出るのか分からないが必死で走る僕の数倍よりも格段に速いスピードで今にも置いて行かれそうなのをなんとかついていく。

「知りません!今はあれを振り切って機動部隊がくるまでどこかに隠れましょう!」

「隠れるったってさっきからちょっとずつ近づいてきてますよ!」

一瞬後ろを振り返る、かなりのスピードで追いかけてくるあのサイボーグもどきはもう数十秒もすれば追い付いてきそうだった。どうすべきか?囮になるか?それとも来栖を囮に?ぐるぐると駆け巡る考えを切っては捨てながら走る。ぐちゃぐちゃになった頭をどうにか回し、エントランスへ続く扉を乱暴に突き破ると真正面に広がる空間に一人の女性が立っていた。

「伏せろ!」

急に声が響く。聞き覚えのある女性の声だ。必死の思いで顔を上げ死ぬ気で女性の顔に視線をやると、そこには西塔が無駄に大きな二連銃身のライフルを手に仁王立ちしていた。とっさに伏せようとしたが走りながら伏せるなんて器用な動きが出来る訳もなく足をもつれさせてゴロゴロとその場を転がっていく。顔が思い切り地面にたたきつけられてそのまま滑るように壁に激突する。次の瞬間、腹に響くような巨大な銃声が鳴り響いた。

何かがひしゃげるような破壊音が響き、自分の真横を巨大な塊が転がっていく。

壁を支えに何とか立ち上がるとそこには尻もちをついて痛そうに腰をさすっている西塔とそのほんの数メートル手前に転がるサイボーグもどきの姿があった。

来栖は?周囲を見渡す……彼女は壁に思い切り激突し伸びていた。

「西塔さん……ありがとうございました。ただ、そのデカいのなんです?」

2つの銃身から煙を上げて床に転がる巨大なライフルを見る。財団で使われている軍用の銃と違いあちこちに華美な装飾が施され、まるで芸術品のようにすら感じられる。

「あのロシア人の私物だよ、トランクに色々と入ってたんでとりあえず一番デカいのを持ってきた。」

呆れるべきか、それとも感心するべきか。ともかくその一番大きい銃のおかげで命拾いしたらしい。サイボーグもどきの方に視線を向けてみる。顔に当たる部分は無残にひしゃげ、巨大な穴が開いていた。まるでキメラのような生物と機械が混ざり合った奇妙なそれはバチバチと音を立て、穴からオイルと血の混ざった何かを垂れ流しながら死んでいるように思えた。知るわけないだろうが一応聞いてみる。

「これ……なんです?」

「さあ、例の要注意団体の実験体か何かが逃げたんじゃないか?」

西塔は銃を杖に立ち上がるとなんとか中折れ式になっているらしきライフルに重機関銃に装填するような巨大な弾を装填すると続けてもう一回同時に発射する。今度は尻餅をつくことはないが反動に顔をしかめている。サイボーグもどきは弾丸を受けてさらにひしゃげ、周囲に血とオイルと肉と部品をまき散らす。

「怪物の正体が知りたいかい?」

不意に何処からか声がする。気が付けば僕たちが追いかけられていた通路の方から一人の金髪の外人がパチパチと小さく拍手をしながら近づいてきているのが目に入った。あのGOCのエージェントが渡してきた資料に書かれていた男だ。『ウィルソン・ローグ・ブラウン』象の足によって異常存在になったと記載されたGOC謹製の現実改変能力者、その彼がそこに立っていた。

「すべてを話そう。その上で私は諸君ら財団に提案を行いたい。私、ウィルソン・ローグ・ブラウンは君たち財団の収容下に入り、SCPとして保護されることを希望する。」

厄の種がまた一つ増えたらしい。

〈オフィサー、ドクター、ソルジャー、スパイ〉
第四話 前編

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