最後の一発
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「レディース・アンド・ジェントルメン、そして多くの皆さま。終わりの時がやってきました。」

集結したサメ殴りセンターの職員たちの間から大きなざわめきが起こった。聴衆の中には少しばかりこの計画を知っている者も居たが、それはごく少数にすぎず、この発表はショックを起こした。質問が次々とステージの上の発言者に投げかけられたが、彼は部屋が静まり返るまで沈黙を貫いた。それら全てに答える時間もあったが、今は発散させて落ち着かせる必要がある。

数分の混乱と叫びの後、部屋は少しづつ静まり返っていき、ステージ上の発言者がこの混乱に対して答えを与えてくれるだろうと、全ての目が発言者に向けられた。

「現在、皆さんご存知のように、」発言者はタイを伸ばし直すと切り出した。「我々は皆、サメの脅威の姿をした絶えず続く脅威から地球を守ることを厳かに誓っています。日々、数百の同志が奔走し、家族が誰もホホジロに食いちぎられることのないよう、ウバザメ1がいかなる国家の国際安全保障をも脅かさないよう、生命と身体を危険に晒してサメどもの面を殴っています。我々はよくやってきたし、理想の世界へと、我々は作戦を遠い未来まで続けるでしょう」彼は一拍置いて深く嘆息した。「しかし、不幸なことに、今や状況は理想とは程遠くなりました。我々は絶えず脅威に曝されており、とりわけその内一つは、海の底に潜む恐ろしい牙を持った怪物の姿をしていません。それは、SCP財団として知られる組織です。」

拳が振り回され、悪態をつく声が聴衆からいくらか発せられた。「彼らが我々のオリエンテーションプログラムの写しを入手した経緯を知っている。初め、それについて何も考えませんでした。誰がそのことを気にかけたでしょう?現在、彼らが我々を阻止する正当な理由はなく、それを看過し、短い間だけ我々は平和的に共存しました。彼らは異常な物体を収容し、我々はサメを殴りました。」

「しかし今や、我々はもう一方と完全に共生してはいられなくなったことは明白です。我々は境界線を押し広げ、彼らの作戦に浸透しました。我々は彼らのハロウィンパーティに押し入りました。彼らのサイトと高度に類似したウェブサイトを立ち上げました。我々のサメ殴り能力を高めるべく彼らの収容物を盗み出しました。目標達成の点からも、財政的な点からも、もっともうまく行っていた時期でした。」

再び、演説者は話を止めてタイを整え、わずかに咳払いをした。「しかしその後財団が盛り返しました。彼らは我々のトップエージェントを捕縛しました。彼らは我々を締め出しました。彼らは我々の中の特に優れた者たちのサメ殴りを阻止しようとさえしました。そしてこれです。(訳注: 未翻訳) 」書類の束を突きつけまっすぐ立ち上がりながら彼は言った。「この……これは先日彼らが発表したばかりのものです。昨日皆さんも目にしたでしょう。したはずです。我々の業績と犠牲全てに対する愚弄です。彼らは我々のことをジョークとしか見ていない――いいえ、それよりひどい。我々はずっとジョークと思われていたのです。今や我々はマンネリネタなのです。」

彼は演壇から進み出て、両手を後ろに組んだ。「しかしです、私自身、我々は創設以来ジョークだったと思います。」

群衆の中で、喧騒に満ちた波乱が再び巻き起こった。ただ単に、彼らの神聖な任務がほとんどジョークにすぎないと考えられているということがほのめかされたというだけで。「諸君、どうか、どうかご静聴を!」両手をあげて必死で群衆を静まらせようと彼は叫んだ。「私は、我々の任務がジョークであるとか、サメ殴り作戦が無価値な運動だと言いたいのではありません!どうかご静聴ください!」

集結した職員はそこで十分落ち着くと席に戻り再び聞き入ったが、多くはいまだ先ほどの言葉で頭に血が昇ったままだった。

「その後、私は高レベルセキュリティ棟に秘匿されているサイキックサメに意見を求めました。皆さんは、このサメを殴り抜いたとき、現実世界の構造がダメージを受けるため、殴ることが危険であることは周知のはずです。しかし、我々自身が助かるための手段を見つけ出すため、私は奴の眉間をまっすぐ殴り、そして私は見たのです。これまでのものとは違っている世界を見たのです。財団が考えてることは……、『おバカ』」からかうように、彼は両手でクオーテーションマークを作りながら2言った。「この言葉がぴったりです。ここでは全てのサメを殴ることができれば、サメの脅威から人類を守りたいと思えば可能で、財団は全く我々を咎めません。」

「しかし、こんどは宇宙の法則が変わりました。我々の理解を超えた、大いなる力が、この世の多くの『おバカ』要素を切り捨てるために現実世界の構成を作り替えました。あらゆるものが今やシリアスです。狂った概念は厳禁です。」

「そして我々は実存しています。我々の40年来の歴史にも関わらず、相対的な視点からは、サメ殴りセンターは2年も経っていないのです。」またも不協和が群衆から巻き起こった。「信じられないというのなら、あなたがた自身でサイキックサメを殴りに行ったらどうですか!」演説者は鋭く言い放った。不満の噴出に対する忍耐は失われていった。「お願いですからお聴きください!」しかし、集結した職員が落ち着くことはなかった。発言者ができることは、ただ混乱が収束するのを待つことだけだった。12分近く経過して、ようやく秩序を取り戻した。

「見てください。ここまでくるのに長すぎたのかもしれません。しかしそれは完全に本質から外れています。財団が我々をどう見ているか、我々のような者たちが存在しているはずのない世界に存在するためにどうなるか、あるいは単純に我々にうんざりしているのかどうかに関係なく、彼らが我々をジョークとみなしているのは変わらぬ事実なのです。そして、これが――」かれは再び例の紙を突きつけた。「――何を意味しようとも、我々は彼らが排除しようとするジョークなのです。しかし彼らはすぐにはそうしないでしょう。」

「我々は緩やかな、恐ろしい破滅に直面しています、皆さん。財団は徐々に我々からリソースを奪い、我々の結束を崩しにかかり、我々の執筆箇所をことごとく元通りに戻します。そしてこれもまた急速なものではありません。長く、痛みに満ちた永久的なプロセスです。一息にやれば困ることではありません。常に、少しでもこき下ろす口実を求め、我々のことを引っ張りだして少しづつ壊していきます。また少し、また少し、また少しと、何も残らなくなるまで。サメ殴りセンターの終わりは、財団の言葉を借りれば、長い長い、恥さらしで痛々しいものです。こんなやり方で我々の強大な組織が凋落してゆくのを目にしたい人間が我々の中にいますか?」

自分たちの破滅の未来を知り、群衆はほとんど話すことができなかった。独りの声が群衆の海から挙がった。「それで、我々はどうすれば?」

演説者は再び深く嘆息した。「自ら破壊します。全てではない、気をつけてください、全てではありません。任務を続ける選りすぐった少数のエージェントを秘密裏に残します。エージェントたちは世界の海を巡り、サメの脅威から守るためのことはなんでもします。しかし彼らは我々のように組織の形態をとってはならない――彼らだけで、彼らは独りで、世界を守ることになります。残った我々は、我々は地上から姿を消さねばなりませんし、基地も破壊しなければなりません。最後の日には、サメ殴りセンターなどもとから存在しなかったかのようになるでしょう。」

部屋の人間には自らを嗤う者もいれば、手で覆いすすり泣く者もいた。多くの者は沈黙したままだった。大多数がはっきりとした形で反応できないまま、避けられないことであるという自覚が部屋に伝わった。演説者は最後の嘆息をした。

「しかし、これは我々がおとなしくしているという意味ではありません。」部屋中の耳が反応した。「我々は財団に対し攻撃を仕掛けませんし、壮絶な自滅的任務やその類をすることもありません。しかしおとなしくもするつもりはありません。この部屋に設置されているロッカーの中を見れば、部屋にいる全員に行き渡るに十分なスキューバギアとボクシンググローブが見つかるでしょう。それらを身につけ、部屋の急な水位上昇に気を引き締めます。その直後、この施設のあらゆるサメが解放されます、対峙して殴るには十分以上の数のサメです。運さえあれば、我々はかつてないほど殴れるでしょう。」

「誰も生き残れないでしょう。我々の素晴らしい技能があろうとも、事実としてサメは我々に対しはるかに数で勝り、我々の最後の1人に至るまでなぶり殺しにするでしょう。この施設のサメ以外の生き物が全て死に絶えれば、サメは恐ろしい死に取り残されたまま水が排出されます。窒息死です。その後基地は、我々が存在した痕跡を一切残さず爆破します。そう同胞たちよこれが、サメ殴りセンターの最期です。鱗から血湧き、拳踊る栄光のファイナルラウンドです。我々にはおあつらえの最期スワン・ソングです。」

群衆は大きな興奮に掌握された。彼らの来るべき死にも関わらず、他によりよい方法があると否定するものは誰もいなかった。彼らは長い間、共にサメを殴り、出ていくべきときには泳ぎに出てきた。スキューバギアが密閉され、ボクシンググローブが装着され、肉体は奮起した。海の底の脅威から懸命に世界を守ってきた勇気ある男女は死の用意をした。誰からも讃えられない英雄、しかしそれでも英雄だ。

最後の潜水マスクが装着されるのを確認すると、演説者は微笑んだ――眼前の男女を激励するために、そして彼らが生きてきた栄光ある年月に対して。「諸君、『鮫殴の兵法』から学んだテクニックを忘れていませんか?」大きな確認の声が壁にこだました。「我々のモットーは?」

Search(探知)、Punch(殴打)、Conquer(屈服)!

「それではサメを放す。」

これがサメ殴りセンターの最期である。

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