ピーナッツ
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2011/06/07
中部標準時13:35:00
オーストラリア、ノーザンテリトリー、[編集済]

二人の男がアサインメントを待ち、暗い部屋に座っていた。彼らは抹殺命令の実行をするよう伝えられていたが、それ以上は他に何も伝えられていなかった。二本のタバコからただよう煙があたりをもやのかかった空気で満たし、部屋たった一つの小さな窓から差す光を弱め、質素なコンクリートブロック製の部屋と粗末な家具を隠している。二人が現在のおかしな収容規定と、執行するにあたって最善の方法、そして秘密裏の戦術的な攻撃について沈思黙考しているところ、年配の男が静かに部屋に入り、二人が腰掛けている粗末な木製の机に歩み寄ってきた。無言のまま、彼はホコリを払いながら各々に書類フォルダを投げてよこした。彼らはすぐに安っぽいスーツと作業服のホコリを払い、綴じられていた文書に目を通した。彼らは手短に打ち合わせをすると頷いた。作業服の男は立ち上がって年配の男に目を向けた。「はい、我々はきっと奴を殺すでしょう。なにものであろうと殺して見せます。」

ラメント (Lament) とドードリッジ (Dodridge)。かたやキャリアの袋小路にあり、失うもののない取るに足りないフィールドエージェント、かたや行状に問題のある、手の付けられない軍人上がりのセキュリティ担当者だ。彼らはSCPと対決する。

年配の男は書類フォルダを取ると入ってきた時と同様に早足で退室し、後ろ手に軽く押してドアを閉めた。ラメントはタバコを一吹きするとドードリッジのほうを眺めた。「そうか。作戦は思いついたか?」

ドードリッジはもう一本タバコに火を点け、ターゲットの再確認をすると短く目配せした。「考えがある。」


序文: 以下の記録はエージェントがサイト-██から出発後、SCP-723-Dに関するブロックテストが予定されていた半壊した試験室から回収されたものです。実行されることになっていたあらゆる追加試験は記録されず、以下のデータは大半が完全だったセキュリティ映像および他の職員の証言からの再構成です。


日付: 2011/06/08
時刻: 中部標準時13:45:00
使用物: MRI MkXIX DEP .50AE (Mk19Mod2 revision) 拳銃1丁 (訳注: デザートイーグルのこと?) 12.7x33mm 325-grain NJCP スラッグ弾8発。
被験者: SCP-723-D
観察: エージェント・ラメント

経緯の記録: 我々が試験施設に到着するとすぐに、エージェント・ドードリッジは試験室に入り、抹殺対象から距離を取り、拳銃を抜くと標的の顔を狙い発砲した。発砲で反対側にのけぞった被験者と、エージェント・ドードリッジがいずれも顔を覆って罵り文句を発したことを記録した。即座にハイスピードカメラを巻き戻し、弾丸が被験者の弾丸に命中し、そこで静止し、被験者が高速で衝突から跳ね飛び、弾丸は接触の瞬間変形し、床に落下したことが分かった。エージェント・ドードリッジは顔に刺さった弾丸の被筒の小片の「ブローバック」に苦しんだ。SCP-723-Dは無傷だったが、突然の加速に驚いていた。ドードリッジは手当を受け試験を続行した。


日付: 2011/06/08
使用物: 9.1kgのM183梱包爆薬 (C4爆薬) 1個、シャーピー (緑色、追加品) 1本
被験者: SCP-723-D
観察: エージェント・ラメント

経緯の記録: エージェント・ドードリッジは「整形しやすくするため」電子レンジで暖めた多量のC4を持って再び試験室に入ると、SCP-723-Dの頭のブロックに敷き詰めた。SCP-173みたいになったなと私が言うと、ドードリッジは同意し、試験室から出ていって5分ほどすると緑色のシャーピーをもって戻ってきた。彼は「何が起こるか分かるぞ」とSCPにつぶやきながら爆薬の塊に「目」を描き、殴った。ドードリッジはそれから無線起爆装置を設置して試験室を退室し、サングラスを着けると起爆装置を作動させた。意識を取り戻し、小規模な火災を消火すると、我々はSCP-723-Dがそこそこ混濁し、一見し弱い構造の部分は壊れていることに気づいた。我々は聴覚を回復すると、試験を続行した。


エージェント・ラメントの個人的な日誌からの抜粋
くそっ……泣くを通り越して笑ってしまう。彼はもう少しで目を撃ちあうことになるとこだったし、そのあとは自爆するところだった。まったく今までで最高の任務だ!


日付: 2011/06/09
時刻: 09:35:00
使用物: SCP-117
被験者: SCP-723-D
観察: エージェント・ドードリッジ

経緯の記録: それで、あいつは手元から剣を引き出して闘牛士になったってワケ。奴さんはそこに仁王立ちして剣を握り締めている。退屈だ。うんざり、うんざり、うんざりだ。ラメントはこいつであれを餓死させることができるとでも考えているようだ、だが俺はあんなのが役に立つとは思えん。あーあ、後生だよ。俺たちはもう3時間もここにいる。あいつを呼びに行く。次は俺の番だ。


サイト内娯楽施設での会話の一部
ラメント: 俺はあいつの内側からやればうまく行くと実際思うんだが。
ドードリッジ: ああ、ないね!うまく行かない、うんざりだ!
ラメント: おい!俺はまだおまえから冴えたアイディアをひねり出してもらってないぞ!あのバカバカしいファイルを読んだなら、あいつに有効なやり方が分かるだろう!
ドードリッジ: ああ、お前があのファイルを読んだなら、自分がバカやってるって分かるだろうよ!
ラメント: 何だとやんのか!


エージェント・ドードリッジとラメントはこの事件後12時間にわたって施設内の反省房に留置されました。このとき彼らは「まったく冷静だ。心配しなくていい。」と主張していました。その後互いを「兄弟」と呼び合い、レクレーション施設に戻りました。


日付: 2011/06/10
時刻: 中部標準時14:26:00
使用物: GM M1114 ハンヴィー1両、エージェント・ドードリッジ (追加使用)
被験者: SCP-723-D
観察: エージェント・ラメント

経緯の記録: 私はエージェント・ドードリッジに試験室から十分な距離をとり、間もなく行われる抹殺試験の有効性についての申し立ての記録を編集するよう言われた。合図の後、ドードリッジはハンヴィーに乗り込み、標的に向かっておよそ90km/hまで加速した。試験エリアの残骸のせいと、またおそらく衝突の直前の燃料槽の排出の失敗による小規模な車両火災のせいで衝突による被験者への効果があったかどうかは不明だった。ドードリッジは車両から転がり出ると罵声を発し、それからSCP-723-Dと格闘戦に持ち込むのが観察された。およそ15分にわたって標的を絞め殺そうと試みた後、彼は意味をなさない叫び声をあげ、くすぶっている残骸を消火すると試験室を出た。


この時点で、数日にわたる勤務と不満感が2名のエージェントを苛立たせて始めていると考えられます。


エージェント・ラメント及びドードリッジについての懲戒議事録に関する事後報告からの抜粋、セキュリティ担当ベルナルド・███████
再三のSCP-723-Dの無力化に失敗した後、エージェント・ラメント及びドードリッジは施設内のバーへ向かい、注文を要求しました。新たに7名の応援を呼び、私は彼らを店内から追い出しエージェント・ドードリッジの部屋へ連行しました。彼らは数分残り、それから葉巻の入っていると思しき箱とアルコール瓶の入った雑のうを持ち出しました。酩酊していたため、私は彼らが実験施設へ戻るのに付き添いました。


日付: 2011/06/10
時刻: 中部標準時17:58:00
使用物: Tippman X7 ペイントボール銃1丁、Marballizerのペイントボール200発 (青、オレンジ、白、赤色各50)
被験者: SCP-723-D
観察: エージェント・ドードリッジ、エージェント・ラメント (交代)

経緯の記録: あの哀れな奴はそんなにぶっ放すことがないようだったので、ラメントに先にやらせた。ちょっとしたショーだな。まぬけ。あのくそDクラスに命中してないぞ。半分くらいはホッパーぞ。俺が代わる。セキュリティ野郎のバーニィは分かってないぜ。だけどあいつにもぶっ放したぜ、このマヌケって言ってな。''あ''いつがマヌケだ。

経緯の記録: オイオイあのバカ頭がバカ呼ばわりしてるぜ?二人して同じ書類に書き込むとはバカげてるな!お前の書いた文章を読めるぞ。バカ野郎!注意書きを読んどけよ、「黙れ」と。オイそれから……、あいつを撃ってるぜ。ペイントボールまみれだわアイツ。とかなんとか。


セキュリティ担当ベルナルド・███████がその後中部標準時18:28にサイトの医療棟へ入り、股間を抑え痛みを訴えました。彼の局部は赤い塗料で覆われていました。


日付: 2011/06/10
時刻: 中部標準時19:29:00
使用物: Red Stag の1000mlボトル1本 (空)、Keter級ビールの750ml缶18本 (空)
被験者: SCP-723-D
観察: エージェント・ドードリッジ

経緯の記録: ハーッ!まだ1本空けただけだ。ラメントもナッツをつまみながら舌鼓を打ってるぜ。あれからすっかり出来上がってるが、まだ考えがあるぜ。コンクリートミキサーを試験室を修復するのに乗り付けて、それで前みたいに723-Dをコンクリートブロックに閉じ込めてみるんだ。コンクリートで固められたら、あいつを溺死させられるかもしれんぞ。水の中にだ。コンクリートじゃなくてな。


中部標準時19:29:00から最後の試験までの間に7度の試行があったと推定されますが、それらの記録は残っていません。14体以上のSCPが使用され、全て無許可です。SCP-███は活動範囲内で発見されましたが、SCP-███およびSCP-███はまだ失われたままと報告されています。さらなる調査が進行中です。


日付: 2011/06/11
時刻: わからん。時計は溶けてるし、俺の携帯もどっかいった。ドードリッジも腕時計を失くした。
使用物: コンクリートミキサー車
被験者: SCP-723-D
観察: エージェント・ラメント

経緯の記録: 目が覚めたらセメントがあちこちにあるし、ドードリッジは新しい壁を作るところにシャベルでセメントを積み上げようとしてし、723-Dはセメントまみれでそのへんを歩きまわってる。ドードリッジは奴を溺死させるとか何とか言っていたが、素面ではないようだ。奴を溺死させるに十分なコンクリートはほとんどない。


以下の記録は2011/06/10から2011/06/11にかけての主要な出来事の再構成の試みであり、完全な記録は未だに失われています。エージェント両名は取調べ中ですが、これらは記憶にないと主張しています。


ジャックダニエルウイスキーの5分の2を摂取し、エージェント・ラメントとドードリッジはSCP-723-Dの収容質に入り、傍若無人な態度で少なくとも形状・製法様々な18本の空のボトルをSCP-723-Dに投げつけました。

エージェント・ラメント及びドードリッジは何度かSCP-723-Dを抹殺する試みに対し合意に達しました。エージェント・ドードリッジは初めにSCP-723-DをSCP-623の収容室へ移動させ、そこでエージェント・ラメントによりSCP-623は別のサイトに所在することを思い出させられました。

それに対し、エージェント・ドードリッジは CH-47-D チヌークヘリコプターの操縦方法を知っていると主張しました。エージェント・ラメントはまっすぐ (ストレート) に飛べるのかと尋ね、ドードリッジは「俺はストレート (ノンケ) だぜ兄弟、俺はストレートだ」と答えます。


████/██/██のフライト記録から抽出したフライトの5分前の記録
「お前、いや、おい。ホントかよ?俺は……俺はライツ女史かな?まったくイイ女だ、なあおい。彼女はヤバい。結婚したい。」
「いいや、そうじゃなくて……、あの女はランプみたいなものを持っている。ランプで男に何するか知っているか?」
「待て待て待て待て。俺はライト (Light) のことを言ったつもりだ。」
「あーっ、そうか。あいつは殺しに来るもんな。ライトも命取りだ。殺し屋だらけだ。あいつら人殺しだ。」
「ここらにいる女はみんな命取りかよ?」
「くそ、おい、ダメだ……ちくしょう!チカチカする!」
「どうした?」
「わからない!わからないんだ!」
「くそ、くそ、くそ、くそ!」

(金属がねじれる音と、叫び声が背後で聞こえる)


エージェント・ドードリッジは████████の中間で CH47-Dチヌークを胴体着陸させることに成功させ、そこで現地の官憲に対し自分たちが既決重罪犯を移送する政府高官であると主張しました。身分照会により、両名は██████警察署の署員により逮捕され██████郡刑務所に収監され泥酔者用監房に入れられました。


エージェント・ラメント及びドードリッジはその後報告によれば、いかなる方法を用いてか██████郡刑務所の泥酔者用監房のドアに整形炸薬を仕掛けたと記しています。現在爆発に依る推定負傷者は██名ですが、エージェント・ドードリッジ及びラメントは無傷で脱走したようです。その後両名はトレーラーハウスを盗み事故現場へと引き返しました。この時点でSCP-723-Dの収容ブロックは拡散しており、エージェント・ドードリッジは「彼を出しておけば歩いて戻ってくるから、またコンクリートに詰め戻せばいい」と提案しました。エージェント・ラメントも同意しました。


ジェレミー・ブレヴィンス軍曹 (Sgt. Jeremy Blevins) に対する聴取

ブレヴィンス: 彼らは二人とも正規IDを持っていた!

██████博士: 彼らはすっかり泥酔しており、人型SCPを連行していました。

ブレヴィンス: しかし彼はDクラスのツナギを着ていた!

██████博士: 2名のエージェントと1名のDクラスでは不審な点はないと言いたいのですか?

ブレヴィンス: 誰でもDクラスを連れ出せる状態だったのだ!し,しかし、こ、こんなことは……、前代未聞だ……。

██████博士: (大きなため息)


サイト-██に帰還すると、エージェント・ラメント及びドードリッジは書類をあらため、SCP-723-Dにボトルを投げつけても問題のないことに気づきました。彼らはガラス瓶を強く投げつけ、SCP-723-Dが止めるよう求めるまでほとんどを割りました。

この時、エージェント・ラメントは「舐めた口をきくな」とSCP-723-Dに対して指図し、SCP-723-Dは繰り返しクリケットバットで殴打されました。クリケットバットはライト博士のロッカーから入手したものです。ライト博士がバットのないことに気づき、エージェント・ラメント及びドードリッジの居場所を突き止めました。彼らに返還を要求した際に、SCP-723-Dを見た彼女は、繰り返し殴打される前に殴打の力が結局床に滑り落ちるまでは「けだもののような行い」と考え、彼の頭が強く殴られ、さらに繰り返し殴打されると「遥かに面白い」と考えました。

この時、エージェント・ラメントはライト博士の電話番号を尋ねました。エージェント・ラメントはその後、ライト博士がその日は自分の髪を洗っていたと主張したと報告しました。彼は、折れた肋骨が完全に無関係であることを報告エージェントに証言しました。

この時、エージェント・ドードリッジがロック博士 (Dr. Locke) のロッカーから調達したアルコール飲料瓶数本を持って戻りました。その後ドードリッジは彼に詰問され「そのへんに落ちてたんだ」と主張しました。

この時点で、エージェント・ラメント及びドードリッジはSCP-723-Dを「そんなに悪いやつじゃないな」と考え、アルコール飲料を分け与えました。彼らは飲食料がなくなったことに気づくと、トレーラーハウスに戻りサイト外の██████へと乗り付けました。


ジェレミー・ブレヴィンス伍長に対する聴取

ブレヴィンス: 閣下、確かに不審だと思いましたが、しかし申し開きをすると……

██████博士: ブレヴィンス伍長。またか……。まったく。きみはどうやってこの職を得たんだ?

ブレヴィンス: 彼らは両名ともIDから何もかも持っていました!

██████博士: 私は……、私は全く失望したよ。

ブレヴィンス: 彼らはトレーラーハウスに戻らなければならないと言ったんです!

██████博士: (大きなため息)


エージェント・ドードリッジはどうやら、様々な物品でSCP-723-Dを打たせる代わりに得た金銭で飲料を買ったようです。SCP-723-Dはこの時点で、いくらかの飲料をよく飲んでいました。

0900時になると、タムリン博士 (Dr. Tamlin) がSCP-723-Dの収容室に入り、割れたグラスの破片、開いたままの気密扉に気づき、駐車場へ連絡しました。


機動部隊デルタ-5にSCP-723-Dを追跡し回収するよう指示がなされました。トレーラーハウスを「ジェリーのバー&グリル」店の外で発見し、彼らがさらに調査しエージェント・ドードリッジ及びラメントが自分たちのまき散らした体液の中で意識を失っているのを発見しました。

SCP-723-Dはバーで食べたつまみが引き金となって発生したピーナッツアレルギーにより死亡しているようでした。


エージェント・ラメントは一級収容スペシャリストに昇進し、エージェント・ドードリッジの俸給は2段階アップしました。

SCP-723-D: 抹殺済。

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