PHYSICS部門記録
当該装備に関する書類からの抜粋
共同開発空中交戦ドローン(Jointly-Constructed Airborne Engagement Drone / J-CAED)
+2Gen/GenAlt
沿革
J-CAEDのコンセプトは、連合の要請を受け、パラテックメーカーであるアンダーソン・ロボティクス社とPTOLEMY部門の職員で構成されたベンチャー企業によって開発された。J-CAEDは、レベル5およびレベル6の脅威存在、特に神話的に重要な存在の遠隔粛清装置として設計されており、特に超重交戦殻の代替手段として、連合の工作員の損失を防ぐために使用することが想定されている。ハヤブサのような巨大な鳥を模したデザインは、GOC加盟団体(プル・アンク・ン・ジェフウティ(ジェフウティの図書館)、ホデノショニ(パラメリカ国家連盟)、オリンピア復古協会など)からの要望によるものであり、神秘学的象徴としてドローンを守護する効果1があるとされている。本稿執筆時点で、最初の試作機(コードネーム"PERSEUS")が製造中であり、4~5ヶ月の期間内に完成し、実地試験が行われる予定である。
概要
J-CAEDは、地域中央司令部から"パイロット"によって遠隔操作される、重交戦ドローン(デザインは猛禽類を大まかに象っている)である。このドローンは、下部に備えられた反重力発生器と、推進と操舵のための翼の動きの両方で飛行を実現する。J-CAEDの正確な構成は機密指定されており、最高司令部とプロジェクト・ロックに配属された者のみが閲覧可能である。J-CAEDの機能を読者に理解しやすくするため、注目すべき仕様を抜粋して以下に掲載する。
- デザインの大部分は、Mark III U-HEC ("オレンジ・スーツ") やマーリンシリーズ・空戦ドローンなどの類似機械から引き継がれている。
- 再生可能な金属製の機体(アンダーソン・ロボティクス社のアプロマードシリーズ・施設防衛ユニットの製品から引き継がれたもの)。翼は同素材で出来た羽状の構造を有し、これを取り外してターゲットに向けて発射することができる2。
- ドローンの表面には、強力な電気スパーク(テスラコイルや雷雲が生み出すものに類似する)を発生させる装置が一定の間隔で配置されている3。
- ドローンの機体内部やハードウェアに設置された、奇跡論的結界。奇跡論的な攻撃に対抗する。
- 胸部に設置された改良型スクラントン現実錨が、タイプ・グリーンや類似の脅威存在によるドローンの改変を防ぐ。
PSYCHE部門記録
プロジェクト・ロックの沿革 (続)
最初の試作機(コードネーム"PERSEUS")は、試験でも力を発揮し、ユーコンの荒野に出現したKTE-4503-Ragweed-Faraday("地球外雲塊")を対象として実地試験が行われた。当該脅威存在は最も運用テストに適すると判断された脅威存在であった。
投入された資産は以下の通り。
- 排撃班2654 – "ウェザーマン" 隊員6名。
- 工作員 "デスクキャット" (中央司令部からPERSEUSを遠隔操作する)。
- GOCA アメリア4。
- J-CAED-01 (PERSEUS) (工作員 "デスクキャット"により遠隔操作される)。
脅威存在データベースエントリ
脅威ID:
KTE-4503-Ragweed-Faraday – "地球外雲塊"
認可レスポンスレベル:
4 (重度脅威)
概要:
表面的にはベースラインの地球における積乱雲に似た、空中に浮遊する生物学的な塊である(以下、構成要素〈アルファ〉と呼称)。〈アルファ〉の表面は目、蔓、口で覆われているが、機能的な意義は無いと推測される。放電(構成要素〈ブラボー〉)を発生させる能力を有する。〈ブラボー〉は電気機器に宿り(内部で構成要素〈アルファ〉の成長を引き起こす)、またベースラインの地球上の稲妻のように作用する。電磁波は両構成要素に対し損害を与え、破壊することができる。実体は空間の裂け目(構成要素〈チャーリー〉)を介してベースライン上に出現する。〈チャーリー〉はポケット宇宙か並行現実に通じていると推測される。放置すると、〈アルファ〉と〈ブラボー〉は〈チャーリー〉から無制限に拡散する。
交戦規定:
感電防止のための防護を維持し続けよ。撥電シールドで覆われていない電気機器を使用したり、露出させたりしてはならない。Mk.II 電気防護具を装着していない状態で直接接触することは禁じられる。唯一の効果的な粛清方法は、前述の電磁的手段(電磁バリスタやMk.VI 携帯式電磁マニピュレータなど)である。現場で脅威存在に遭遇した評価班は、まず身を隠し、後方支援を要請せよ。排撃班は構成要素〈チャーリー〉の位置を特定し、スクラントン現実錨や同様の現実歪曲抑制法を用いてこれを閉鎖し、その後、残存する構成要素を粛清せよ。
沿革:
当該脅威存在との最初の遭遇は、1947年、チャレンジャー作戦5の最中であり、この時、オデッサ/オブスクラの野営地の上空に構成要素〈アルファ〉の層が観測された。連合の科学者たちは、現実性の測定を伴う実験が、脅威存在の注意をベースラインに引きつけたと考えた。しかし、実体によって施設が完全に破壊されたため、これは推測の域を出ない。それ以来、このKTEは何度も出現しているが、それは過去に出現した場所、時間とは離れた点であることが多い。
[…]
付記 IV:
1963年、構成要素〈チャーリー〉を無力化するための奇跡論的な手法は、新しく発明されたスクラントン式の現実歪曲技術に取って代わられた。
付記 V:
連合によるKTE-4503への23回目の攻撃が記録された時点で、当該脅威存在に対処する際に+1Genおよび+2Genのパラテクノロジーは使用されなくなっていた。
PHYSICS部門記録
攻撃記録4503-23:
3-4-2017, 16:30: KTE-4503の出現が確認された。GOCAアメリアが接近する。
3-4-2017, 16:35: GOCA アメリアがKTE-4503に到達。J-CAED-01が射出され、"燃焼機体"作戦に基づきKTE-4503との交戦を開始。この攻撃は効果的であることが確認される。KTE-4503はJ-CAED-01に全ての注意を向ける。J-CAED-01は、GOCA アメリアから離脱し、その後、侵入口を自由に探すことが可能になる。
3-4-2017, 16:45: J-CAED-01により、出現した存在の質量の25%の粛清が完了する。
3-4-2017, 16:48: J-CAED-01への接続がロスト。GOCA アメリアは、対象からの攻撃を阻止するためにファラデー船体シールドを起動する。搜索は続行されるが、攻撃により遅延する。
3-4-2017, 16:53: GOCA アメリアがJ-CAED-01に攻撃される。J-CAED-01はKTE-4503による侵入を受けたと見なされた。J-CAED-01に対超脅威バリスタが向けられる。
3-4-2017, 17:19: EVEDARシステムを介して侵入口を発見。J-CAED-01への攻撃は続いている。
3-4-2017, 17:23: J-CAED-01は損害を受け墜落する。GOCA アメリアは中程度の損害を受け、交戦中に3人の工作員が負傷した。
3-4-2017, 17:26-17:30: 侵入口に到達。船体に搭載されたSRAが起動された。侵入口は3分後に完全に閉塞する。SRAを停止し、バリスタを残存するKTE-4503実体との交戦に使用。
3-4-2017, 18:45-18:47: KTE-4503の粛清を完遂。J-CAED-01の墜落現場が特定され、回収を開始。
3-6-2017, 19:21: J-CAED-01が墜落現場から回収される。
PTOLEMY部門記録
セクター10需品科曹長ホレイス・ウォレスにより記録された、AOD(破壊に使用された兵器)報告
需品課-AOD-4503-23 番号 指定 機材名 数量 1 +2Gen-AGB GOC反重力戦艦アメリア 1 注: 船体はPERSEUSユニットから45%のダメージを受け、レネゲード・ブラボー空軍基地の乾ドックに送られた。修理期間は5週間程度を見込む。 2 +2Gen-SRA スクラントン現実錨 4 注: 通常通りに機能し、追加の注意事項なし。 3 +2Gen-FHSG ファラデー船体シールド生成機 1 注: 部分的に過負荷を受けていた。一部の回路の修理が必要。 4 +2Gen-EMagB 電磁バリスタ 24 注: 交戦中にバッテリーを平均約67%消費。充電のために4日間使用不可。 5 +1Gen-EVEDAR EVEDAR測位システム 1 注: 通常通りに機能し、追加の注意事項なし。 6 +2Gen-J-CAED-01 共同開発空中交戦ドローン 試作機1号 (PERSEUS) 1 注: 脅威存在によって内部のハードウェアを侵食された後、撃墜された。現場での鑑定の結果、ドローンの修復は不可能と判断された。残骸はレネゲード・デルタ空軍基地に送られ、さらなる分析が行われる。
To: GraceSaker@AndersonRobotics, Matthew@AndersonRobotics, Clara@AndersonRobotics, cog.ymelotp|eignetubilah#cog.ymelotp|eignetubilah, cog.ymelotp|eigneecnal#cog.ymelotp|eigneecnal, …
From: cog.ymelotp|eigneretnuh#cog.ymelotp|eigneretnuh
件名: PERSEUSの失敗試作機が知覚力のある電磁エネルギーに感染し、撃墜されました。一度設計図に戻ってこの問題を修正する必要があります。また、同様の問題が発生しないように、設計上の問題点を洗い出さなくてはなりません。10:00にミーティングを行います。
ハンター、国際連合 世界オカルト連合 PTOLEMY部門 工学課
To: cog.ymelotp|eigneretnuh#cog.ymelotp|eigneretnuh
From: GraceSaker@AndersonRobotics
件名: RE: PERSEUSの失敗P.リチャーズ以外のアンダーソンのスタッフは全員参加できると思われます(ピーターはインフルエンザにかかってしまいました)。
ここで、前回提言したドローンの機体設計の変更について触れておきたいと思います。猛禽類のデザインを選択したことと、それに対応するための調整が難しかったことが、失敗の最大の原因です。
-グレイス・セイカー、アンダーソン・ロボティクス、ロック・プロジェクト担当
To: GraceSaker@AndersonRobotics,
From: cog.ymelotp|eigneretnuh#cog.ymelotp|eigneretnuh
件名: RE: RE: PERSEUSの失敗ピーター氏は気の毒なことです、お大事にと伝えておいてください。さて、貴方が提起した問題についてですが、評議会はドローンを自分たちの望むオカルト的な意義に合わせて欲しいと明言しています。私も変更の要望を出しましたが、現状では変更が通るとは思えません。文句を言っている暇があったら修正を優先した方がいいと思います。
ハンター、国際連合 世界オカルト連合 PTOLEMY部門 工学課
PSYCHE部門記録
プロジェクト・ロックの沿革 (続)
J-CAED-01は戦闘中に脅威存在に乗っ取られ、同行する排撃班はドローンを無力化せざるを得なかった。残骸はレネゲード・デルタ空軍基地に送り返され、解体された。
試作機2号(コードネーム"PROCNE")は前バージョンの不具合の修正(脅威存在による侵食を防ぐために、ハードウェアの外壁を絶縁するなど)と、その他の細かい設計上の改良を加えて製作された。この試作機は、排撃班4306 – "ビッグ・ファット・グリーク・カリング"と共に、KTE-7651-Wiseman-Burrhus("ジブラルタルの女")を対象とした実戦テストが行われた。
PHYSICS部門記録
AT/ST探査報告 (デブリーフ) 関与した評価/排撃班:
排撃班-4305
提出した工作員:
"マリナー" 8428A531/4306
任務(場所/目的):
脅威存在は、ジブラルタルの国の名を冠したランドマーク「ジブラルタルの岩」に出現した。脅威存在は精神的支配能力を現地の住民に対して行使しており、最近の現地での行方不明者の原因になっていると思われた。当該脅威を無力化し、可能であれば行方不明の地元住民を回収するために、新しいJ-CAED試作機と共に派遣された。
遭遇報告/敵対存在の概要:
大型の女性型ヒューマノイド。評価班はHamletクラスのエクトモーフ実体6 だと推定した。実体の衣服はナスル朝グラナダの文化のものに類似。他人の精神を支配し、意のままに操る能力を有し、恐らくは人格や記憶を上書きすることができる(大部分のジブラルタルの人間はアラビア語を使えないと考えられる)。
ヘリでこの地域を捜索していた際、ムーア人の城の遺跡である「敬意の塔」付近で脅威存在と被害を受けた地元の人々に遭遇した。彼らは地面を掘って何かを探していたと思われる。私たちがそこにいることを知るやいなや、地元人の大部分がすぐに突撃してきた。PROCNEは彼らに放電攻撃を試みた。しかし上手くいかなかったため、彼らを倒すのにより面倒な方法を使うことにした。ところが、非致死的な方法も、致死的な方法も、いずれも効果はなかった。身体の完全な破壊が必要だと考え、火炎放射器を持ち出した。PROCNEは脅威存在本体を正面から攻撃し、我々は他を片付けた。
この時、何人かのチルドレン7が地面を掘るのを止め、アラビア語で脅威存在に対し何らかの発言を行った。発言の内容は不明だが、脅威存在はすぐにPROCNEとの交戦を止め、穴の中に消えていった。PROCNEは穴の上に小さな爆薬を投下した。その爆発はどういうわけか残っていた土を取り除き(私は理解できるが)、いくつかの石造りの構造物が現れた。爆発でできた亀裂から脅威存在が現れた。この時、実体は死体と結合していた。それが何らかの作業を始めたのは確かだが、PROCNEはすぐにその実体を攻撃し、頭を食いちぎった。その間に死体から脅威存在が排出され、残ったチルドレンは、その直後に倒れた。
結果:
PROCNEの操縦者によると、脅威存在は一時的にPROCNE内に保管されているとのこと。残されたチルドレンは緊張状態にあり、現在、死体とともにヘリに積み込まれている。
職員状況:
負傷者が数名いるが、重傷ではない。PROCNEは現在シャットダウン中である。操縦者によると、全出力は現在、脅威存在の保持に向けられている。
結論/提言:
建築物と最近荒らされた墓の存在から判断すると、脅威存在が掘り起こそうとしていた構造物はその墓だと思われる。床には何かの痕跡があり、何らかの作業をしていたと推定される。PSYCHE部門かICSUTの人員をここへ派遣し、脅威存在の意図を解明すべきだろう。
脅威存在自体について、その作業や作業中に利用していたシステムについて、何か情報を得ることができる可能性はある。しかし、私はそれを即時に粛清するべきだと考えている。明らかに現在も精神操作能力を有したままであり、連合の兵器にアクセス可能な状態で放置しておくべきでは無い。
CAULATICA部門には、この騒動に対し連続殺人犯か何かのカバーストーリーを使うことを推奨する。
総括して、PROCNEは良い仕事をしたと考えている。骨格スーツもゴーストバスター8も所持してはいたが、全ての状況に対応できるわけでは無かった。PROCNEがなければ、恐らくより危険な脅威に対処しなければならなかっただろう。PROCNEが上手く機能しなければ、より多くの墓が立っただろうし、より長いレポートを提出しなければならなかっただろう。エンジニアチームには感謝を伝えておいて欲しい。
PSYCHE部門記録
プロジェクト・ロックの沿革 (続)
J-CAED-02は脅威を無力化することに成功し、最終点検のためにバルシッド・エコー空軍基地に送られた。小規模な修理を終えたドローンは、レネゲード・アルファ基地への輸送準備のため、ゴール・アルファ基地に運ばれた。レネゲード・アルファ基地で出発式が行われる予定である。