R-00Xの提言
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UBL:098 - 1982/07/05 ピン留  

さて、全てを理解できていない"私達"の為にも、ここで今一度状況を整理しよう。まずは、我々を結ぶこのシステムについて。
紀元前の遺跡で見つかったそれは、大雑把に言えば、近しい平行世界同士で光をやり取りできる12枚組の合わせ鏡だ。初めて鏡越しに"彼ら"と対面した日の事は忘れられない……そこには、私とそっくりな顔をした男が、私と同じ様に黒尽くめの人間を沢山引き連れて、こちらを見つめていたのだから。

平行世界に通じている、というだけなら珍しいアノマリーとは言い難かっただろう。我々の目を引いたのは、その平行世界同士の近しさだ。調査開始当時から今現在に至るまで……連絡のついた平行世界は、いずれも過去80年以内に分岐した世界ばかりだ。それが何を意味するのか?という問いはやがて、"そもそもどの様に平行世界というものは発生するのか"という、より根源的な部分への疑問に変わっていった。そして明らかになったのが、今ではSCP-001-EXと定義されている、世界線分岐のシステムだった。


1件の添付ファイル:  SCP-001-EX.scp

だが、現実は必ずしも理論の通りではない。この世の理に反するものが存在するからだ。その光円錐を無視した異常な振る舞いは、異常な世界線の分岐を齎す……SCP-001と指定されたその現象が、次に立ち向かうべき相手なのは明白だった。どんな異常物が、どの程度のSCP-001を引き起こすのか?我々は平行世界間の差異を精査し始め、そしてある事に気付いた。アノマリーは、あくまで因果律の中にあるものだ。それには必ず生まれた理由があり  一部の例外を除いては  非異常性の活動がその本質的な原因になっている。それ故に、殆どのアノマリーが引き起こすSCP-001は、SCP-001-EXの延長線でしかない、というのが我々の結論だ。

さて、ようやく本題に入る事ができる。着目すべきは、一部の例外の方だ。それらが他のオブジェクトと一線を画すのは、その発生が因果律を無視していると言う点にある。ほんの少し前に運命を分かたれたばかりの平行世界で、一方はその例外に苛まれ、他方にはその予兆すらない……という事もしばしば観察されている。まるで世界の外から放り込まれでもしたように、それらは唐突にやってきて、容易く世界の在り方を捻じ曲げ、結果として大規模なSCP-001を発生させているのだ。恐るべきは、このSCP-001という予測不能な現象が、世界を急速に破滅の方向へと導く可能性を否定できないという事だ。

ならば、避けねばなるまい。『特別対抗プロジェクト-001』の根幹は、可能な限り全てのSCP-001を洗い出し、それらの出現が、世界線をどこへ連れて行くのか把握する事にある。そしてあわよくば、その発生の仕組みを解明し、制御する方法を探し出す。

文字通り、我々の命運がかかっている。


 

LVR:509 - 1993/12/23 ピン留  

1つ報告したい。SCP-001を引き起こすと提言されているオブジェクト群についてだ。まだ仮説の段階ではあるが、これらの大雑把な発生世界について、予測を立てられるかもしれない。結論から言えば、平行世界は"三次元時間"とでもいうべき場所に散らばっていると推測できる。ただし、時間と言っても、いずれも我々が知ってる時間軸とは直交する、我々には認識のできない時間軸だ(一般的な時間単位tに合わせて、我々はそれをu, v, wと呼称している)。

理屈としてはこうだ。世界線の分岐は、その"三次元時間"上で世界が2つに分裂する事を意味している。世界が分裂と言えば無闇に壮大に思えるかもしれないが、なんという事はない、現象そのものはミクロの揺らぎと相違ない。但し、"三次元時間"という場において、世界というものは量子的でないから、1つだったものが分裂し得る、それだけだ。

そして、この仮説で重要なのは2つ。"鏡"がこの"三次元時間"上で近しい世界を繋げている可能性。そして、提言されているオブジェクト群がこの"三次元時間"における決まった範囲に出現しているという可能性。

いずれも可能性でしかない。だから、確かめたい。お互いに相対的な位置を  例えば、世界間通信のラグを測る事で  調べ、我々の所在を網羅した地図を作りたい。是非、協力して欲しい。


 

NRV:967 - 1998/04/09

やあ、三次元時間座標の収集が開始されてはや5年だ。もう座標系も整理されて、擬似的な絶対座標で自分の世界の場所を言う事もできる様になった。というわけで、このフォーラムの形式を整理してみた。これで我々はもっと簡単に話相手が何処にいるのか知る事が出来るという訳だ。

データベースを整理してみると、やはりSCP-001に関する仮説は正しかった様に思える。提言(と言えば十分伝わるだろう)が、三次元時間座標上を伝播、拡散する様に各平行世界の中へと出現しているのは明らかだ。何故あたかもランダムに出現している様に見えたのか?それは、提言が参照するのはある時点での三次元時間座標だけだからだ。決められた時間に、決められた範囲内にあった並行世界が、将来的に提言を"発症"する、そういう訳だ。

そうだ、わかった事と言えば、平行世界の総体について、かなり奇妙な点がある。平行世界の"移動"は、基本的にSCP-001の影響で発生する訳だが、これがいやに組織化された動きを見せている事が分かった。ただ隣り合わせただけの無関係な世界の群れが、揃って一方向に突き動かされているんだ……何を意味するかはまるで分からない。

ただ、気味が悪い。


 

OCT:000 - 1999/11/02

貴方がたへの合流が遅れて申し訳ない。もとより我々の世界には異常物が少なく、この通話システムの理解にも時間がかかった。

我々も、平行世界の観測とSCP-001の探索を始めている……が、妙だと言わざるを得ない。不気味な程我々の世界は平穏なのだ。ごく一般的な速度で世界線の分裂が起こり、どの世界線にも特筆すべき問題はない。SCP-001も、まるで見つかっていない。

せめて、貴方がたもこの平穏に預かる方法を探している。どうか、待っていて欲しい。


 

FBB:503 - 2005/02/05

ノイローゼになりそうだ。

彼らの断末魔は別のスレッドでアーカイブしてある……ここはもっと、建設的というか、我々の未来の為の場であるべきだと思う。すまない。

"あちら"は酷いものだ。平行世界の集合体、その末端。そこでは日々、知った顔の人間が  時には、自分自身が  死に怯えた様子で助けを求め、そしてまもなく消え去る事を繰り返している。私達の世界はそんな、量子論的な偶然によって容易く滅びうるほど、紙一重だとでも言うのだろうか?何故彼らは消え、我々は消えない?

逆に、"上"の方の世界は、殆ど確率論的な変動が起こっていないという。それでいて世界の滅亡はまるで発生していないとも。何故、元はただ1つの世界から派生しただけの平行世界にここまでの差異が発生する?

"提言"とは、なんだ?


 

WEB:721 - 2013/09/17

UBL:098は何をやっているんだ?我々が提供した情報を統合し、SCP-001への対抗策を考える、という話はどこへ行ったんだ?

彼らが未だに解決策を見出せていないと白状してくれるなら別に構わない。何故彼らは黙ったままなんだ。何か都合の悪い事でもあるのか、我々にとって。或いは  彼らにとって。

時間がない。私達にはもう時間が残されていない。確信があるぞ、次は私達の番だ。提言が滅ぼしに来るんだ、私達を。

教えてくれ、どうして私達は生まれてきたんだ。何の為に生きてきたんだ。無意味じゃないか、結局  無意味だったじゃないか。


 

UBL:098 - 2013/09/20

酷な事だと思うが、どうか落ち着いて聞いて欲しい。まだ情報が足りていないんだ。提言はまだまだ見つかり続けているが、どれも我々にとって素晴らしいものではない。"新入り"の所は未だ未探索だ。もしかすると、そこに特効薬が眠っているかもしれない。

WEB:721、どうか堪えてほしい。

WEB:721?


 

OCT:000 - 2019/08/01

アイテム番号: SCP-001

オブジェクトクラス: None

特別収容プロトコル: N/A

説明: SCP-001は、本世界線上にSCP-001が存在しない異常です。過去、SCP-001に該当しうる実体が複数存在した形跡はあるものの、現時間軸においてSCP-001またはその影響のいずれも発見できていません。

我々は己の世界をくまなく見て回った。貴方がたに教えられた全てを駆使して、地の底から宙の果てまで、観測可能な限りの全てを観測し、解析した。その一部は解明しさえした。その結果がこれだ。

我々は何1つ見つけられなかった。SCP-001も、それに対抗しうる存在も。

すまない。我々は、無力だ。


 
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