然れど、未だ恐怖、その所以を心得ず。
評価: +5+x

アイテム番号: SCP-682

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-682はできるだけ早く破壊しなければなりません。現時点でSCPチームはSCP-682に重傷を与えられるだけで、破壊にまではいたっていません。SCP-682は内側の表面全てを25cmの耐酸性の板金で補強した5m×5m×5mの収容所に収容してください。収容所はSCP-682が完全に浸かり無力化するほどの塩酸で満たしてください。SCP-682がすこしでも動く、話す、または脱走を試みた場合はすぐに、その状況で使用できる全力をもって対処してください。

刺激すると激怒する可能性があるため、職員はSCP-682と話すことは禁じられています。許可されていない職員がSCP-682と接触しようした場合は武力により制止し、追い出します。

脱走を何度も試みる上に収容、無力化が難しく、そして財団への高い脅威であることからSCP-682はサイト-[編集済]に収容されています。財団はその資源を最大限に利用して、その場所の周囲50kmにおいて都市開発が行われない状態にします。

レッドアラート:現在、SCP-682は脱走中であり、未だ確保には至っていません。


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例えば、この水中の電球のように。


始まりは"それ"に対しての恐怖からであった。
この場所に到達し、何処れかも知らぬ水底へと沈んだ時。底冷えするほどの寒さと勘違いするような冷情と、浮かび上がるような心地よい脱力を得て、困惑した私はただ、暗闇の中を踠いた。

無様であった。

かの世界では恐れられ、暴虐の限りを尽くした私が、ただの水風情に何たる醜態か。
ただかいなを振るうだけで、彼らは飛散した。
ただ尾を振るうだけで、彼女らは引き裂かれた。
今ではこの腕と尾は、ただ肉叢ししむらから噴き出された気泡をかき消すのみ。

無力であった。

そして、異音を立てて沈みゆく我が体躯が、終ぞ水面へと浮かび上がる事はなかった。
冷情と脱力と困惑は続く。
だからこそ思案した。"これ"は一体何であるのか。元来、私が持ち得ぬ事のなかった情感であり、環境の変化によってのみ齎される不明な心情。
そうして"これ"が恐怖であると理解した時。あまりの阿呆あほうらしさに、また、理解してしまえば何と単純な物であるのかと自らを嘲笑した。
ただ、自分自身が何に対してその感情を覚えているのかが、認知出来ずにいた。

無窮であった。

身骨の細胞が沸き立つ理由を、認識出来ずいた。
絶え間ない苦痛に相貌が歪む所以を、得心出来ずにいた。
何より、それらを内包した恐怖を、是認出来ずにいた。
次第に無理解は焦燥へと変化し、そして苛立ちへと変化する。
恐らく、かの矮小なる人類共がこの液体に細工を施したのであろう。

愚か。

無意義である!

苛立ちは憎悪へと加速した。我が躯体は形態を変え、この外囲へと適応する。
無から有を創造する。かいなと尾は鰭が如く、肉叢ししむらは銀鱗の如き。
口内へと吸引した水から僅かな酸素を取り込み、水面へと飛揚する。
我が腕は藍を裂き、我が尾は群青を振り払った。

然れど、未だ恐怖、その所以を心得ず。

説明: SCP-682は巨大な爬虫類のような生物で起源は不明です。

 

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