スカーの提言
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はじめまして、信徒の皆様。 今日はまず、全ての主の為の祈りの歌を歌うことから始めましょうか? さあ、皆さんに配布した冊子に書かれた文章を敬虔な気持ちで読み上げてみましょう。 はい? ええ、ラテン語です。 そこに書かれている意味はこの時間にお教えしますので、まずは嬉しく思う気持ちで読み上げてみてください。 敬虔な気持ちで……じっくりと……静かに、皆さん、ウトウトしていてはいけませんよ、はい起きてくださいね、皆さん? ……皆さん眠ってしまいましたか……って、あら? あなた、嬉しいですね。 名前はなんと言われるのですか? いい名前ですね。

あ、逃がすつもりはありませんよ。 ここは既に私どもの方で封鎖しました。いえ 心配しないでください、別にここにいる人を情けのない臓器売買やら人質にするようなことはないですよ。 ……あの方々? ああ、気にすることはありません、大丈夫ですよ。 ただ彼等には記憶処理剤を注入しているだけですから。 何の危害も加えられることはなく自宅へと送り返されます。 ここで過ごしたすべての記憶を失って、再び元の生活に戻れるでしょう。 え、あなたですか? 残念ですが戻ることは出来ません。

勿論、何故戻れないのか説明をしなければなりませんね。 でも、その前に、この場所で最後の祈りを捧げる事をおすすめしたいですね。 どちらにしてもあなたは私達と同行していただく必要がありますから。 ……まあ、おすすめしますよ。 分かりました。 私たちは財団……「確保、収容、保護」をモットーとする組織です。 私どもは、人類を脅かす異常現象を全ての一般人から隔離することを目的としています。 心配な目つきをしておられるのですね、しかし別にあなたが想像するような異常性が隠されているとか、そういうことではありません。 安心しましたか? まあ、当然不安にも思うでしょう。 ですがそれが正常です。 しかしですね、あなたには今からお伝えする事実を知って頂く必要があります。

私たちは、こんにちまで人類の存続を危ぶませる全ての異常な存在を収容するために尽力してきました。 不死身のトカゲ、動き回る彫刻……それ以外にもあなたの想像を超えた多くのものが、現在当財団の施設に収容されています。 そうです。 あなたが考えるようなオカルトやビッグフットなど、その他様々なものが実際に存在するのです。 例えばそう、X-ファイルを目にしたとすれば話は早いですね。 それらもまた同じく存在します。 けれども、私たちは特定の政府などに管轄されているわけではありません。 言うまでもないですよね。 しかし、誰がこのような存在を生み出したのか、その進化や全ての物理法則などを無視したままにこの地球上に存在していられるのかは多くが謎のままでした。 ……天体望遠鏡が発明されるまでは。

はい、宇宙です。 私たちは、遥か宇宙の端から数値化が出来ない程の巨大な規模、質量を持った、破壊的なエネルギー波を観測しました。 それはゆっくりと、バカみたいな力を発しながら全宇宙をガツガツと飲み込んでいきました。 そして、それらは慎重に、確実に地球へと接近して来ています。 ……落ち着いて聞いてください。 私たちは、可能な限りの全ての科学技術を持って、そのエネルギーの発生パターンを分析しました。その不規則な形質変化、慈悲のない程の破壊と吸収行動……本当に予期せぬ所から答えが発見されました。 これらのパターンは、白血球のそれと一致したのです。 お掛けください。

もしかしたら高校での生物の時間で習った事を覚えていますか? 白血球は、病原体が侵入した事を知らせるために、周辺の細胞は特殊な物質を生成します。 私たちは、この新たな解釈について見直してみました。 不運ながら、その予測は的中しました。 私が何を言っているか、知りたいですか? ……現在、私たちがつかんでいるこの異常現象、恐ろしいエネルギー嵐を呼び寄せる送信機としての役割を果たしているのでしょう。 これが何を意味するかって? 彼等……いえ、"それ"は、私たち人類をウイルスであるとして認識しています。 この宇宙がそう認識しているのです。 "地球"という細胞が自ら生成した異常現象が放出している波長が、全宇宙の防御機能を作動させています。 これを破壊しなければ、おそらく白血球は私たちを飲み込むまで停止することはないでしょう。

今、どういうことだと興味を示しましたね? まあまだ気がかりなことがあるでしょう。 「これらの事実と、自分とが何の関係があるんだ?」と。 では再び生物の時間に戻りましょう。 細胞が病原菌を認識した時、正常な細胞といちいち比較していては埒が明きません。 彼等は、正常な細胞にあるはずのない特定のタンパク質成分を見つけ出して、私たちの存在に気がついたのでしょう。 お気づきですか?

あなたがその特定のタンパク質成分です。

いやちょっと待って、待ってください、そのようなことをする必要はありません。 私たちが、何故あえて時間を掛けて、こうやってあなたに説明をする時間を設けたのかを考えてください。 私たちは、別段あなたを今すぐどうこうしようという気は全くありません。 ……ええはい、今のところは。要点をよく把握しますね。 私たちは、今からあなたに対して措置を取らなければいけないことにあなたに理解して頂くため、あなたにはすべての事実をお伝えする必要がありました。 私たちは、莫大な資金を注ぎ込み、人員を投入し、実験し、研究し、その全ての怪物じみたそれらを破壊しようとする代わりに、サイト内に厳重に封じ込め、武器として利用しようとすることもない……今では全てのその理由があなたの頭の中にあるはずでしょう。

あなたのような"種類"を発見するため、これまで途方もない努力をしてきました。 可能な限りすべての国家に様々な偽装を施した職員を配置し、異常な存在を分類することができる実験を実施してきました。 そう、先程あなたが読んだ文章もその一環です。 信じられないかもしれませんが、私たちは幾つかの文章を読ませるだけで、対象を如何様にも誘導させることができる技術を持っています。 あれは正常な人間であれば、睡眠状態へと至りますが、"癌細胞"である場合は……ご覧の通り。 当然ながらこのような方法以外にも多くの読み取り方法が実施されており…… 今この瞬間にも少なくはない人たちが自分たちの意志とは関係なく、財団に引き渡されています。

非人道的な措置ではないかと? 勿論、これは確かに外から見れば不当な扱いです。 ですが仕方がないのです。 あなたの感じている不当な処遇については、私たちが補填しましょう。ですから、あなたは私たちに協力してください。 あなたのような人たちが生きている間に放出される特殊な成分、波長、パターンがこの惑星に異常存在を発生させる原因となっているのです。 これらの存在自体だけでも既に人類にとっての大きな脅威となりうる上、これらがおびき寄せる強大な敵について考えてみてください……それらが到達するまで、私たちは時間を稼ぐ役割をするだけです。 例えば、他の場所に移住ができる技術が開発されるまで……。 人類が存続していくためには、これに対しての取り組みが必要であり、幸いなことに私たちは、今やるべきことを知っていますからね。

勿論、あなたにとってはあまり愉快には思われないかもしれませんが、ついてきてください。

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