SCP-031-JP
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収容後のSCP-031-JP。前列の左手前がSCP-031-JP-01。

アイテム番号: SCP-031-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-031-JPはサイト-8141の10m*10m*3mの防音収容室に収容されています。四方の壁と出入り口は密閉と防音に特化した緩衝材で補強し、収容室上部に冷却設備を設置して収容室内の温度を20℃前後に保ってください。緩衝材や冷却設備の交換・修理作業は研究主任の███博士の許可を得た後、防音ヘッドギアを装着したDクラス職員の手で行ってください。SCP-031-JP個体の首元にはそれぞれ小型の集音装置を取り付け、“演説”の内容を記録・監視します。収容室へのレベル2以上のセキュリティクリアランスを持った職員の入室は許可されていません。SCP-031-JPに関する新たな実験は███博士の承認を得てから行ってください。SCP-031-JPは無力化が確認されました(事案031-JP-A参照)。SCP-031-JP-01からSCP-031-JP-18の残骸はそれぞれ鋼鉄製円柱容器に入れて冷凍後、サイト-8141の小型アイテム保管庫に安置されています。

説明: SCP-031-JPは複数の人型存在(SCP-031-JP-01からSCP-031-JP-18)により構成される集団です。1列目に10人、2列目に8人が互いに肩を密着させた状態で一直線に並んでおり、全員が「気を付け」の姿勢で直立しています。SCP-031-JP個体はそれぞれ日本人の特徴を備えた18〜62歳の成人男性に見え、食事・排泄・睡眠などの生理行動を一切とらないこと、頭部が高熱を発していること(平均で[編集済]℃)を除けば異常は確認できないように見えます。実際彼らはオブジェクトに組み込まれるまでは何の異常性も持たない一般市民でした。最初のSCP-031-JP構成個体となったSCP-031-JP-01も、収容事案前までは平凡な学生であったことが判明しています。

SCP-031-JP個体はそれぞれ異なる文章を平坦な口調で反復して喋り続けるという行動をとります。異常行動は24時間休みなく継続され、██/██/██現在事案031-JP-A発生までの観察期間の間に中断することは一度もありませんでした。SCP-031-JP個体の“演説(以後SCP-031-JP-αと表記)”は少数の言葉の羅列から反復まで数時間以上かかる長い文章群まで様々ですが、“帝国”や“選民思想”、“全体主義”に関する独創的かつ奇妙な意見の集約である点については概ね内容が一致しています(SCP-031-JP個体それぞれのSCP-031-JP-α内容については資料031-JP-speechを参照してください)。SCP-031-JP-αを直接認識した人間は原因不明の動揺から激しいショック症状を起こし、「頭が割れるよう」だと表現される苦痛を訴えますが、その後300秒以内にオブジェクトの列の右端に加わって新たなSCP-031-JP個体となり、異常性質を持つSCP-031-JP-αの発声を開始します。この罹患現象は被験者がSCP-031-JP-αの内容を理解しているかどうかに制限されません。収容初期の実験により、SCP-031-JP-αは録音した音声を再生する方法で認識した場合異常な特性を表さないことが判明したため、その後の調査をスムーズに進めることができました。

SCP-031-JPは20██年に東京都██区のとある地下鉄駅のホームにて発見されました。現場に取り付けられていた監視カメラは、電車を待っていた███ ██(SCP-031-JP-01)が突然発作のような症状を見せ、72秒後に“演説”を開始した映像を記録していました。現場に機動部隊も-9(“都の狩人”)が到着した時にはSCP-031-JPは既に12人の一般人をSCP-031-JP-αに罹患させ、SCP-031-JP個体に変えていました。も-9は2名の犠牲を出しながらSCP-031-JPの収容に成功し、そのまま最寄りのサイト-████に移送しました。現場を目撃した一般市民にはクラスB記憶処理を施し、カバーストーリー「ガス漏れ事故」が流布されました。収容から二日後にSCP-031-JPはEuclid分類され、サイト-8141に送られました。

事案031-JP-A:

概要: ██/██/██、SCP-031-JP個体の全員が“演説”を中断しました。4時間後、SCP-031-JP-1が通常とは異なる人間的活動を示し、収容直後からSCP-031-JPに関わり続けていたオブジェクト研究主任の███博士との対面での会話を要求しました。███博士は周囲のスタッフからの反対を押し切ってSCP-031-JP-01の要求を呑み、SCP-031-JP-αへの暴露を防ぐためにSCP-031-JP-01の発言を記録した集音装置の情報をリアルタイムでヘッドギア内蔵スピーカーに出力する方法を提案、対話に臨みました。以下はその内容です。

インタビュー記録-031-JP-01

対象: SCP-031-JP-01
インタビュアー: ███博士

〈録音開始〉

███博士: こんにちは、SCP-031-JP-1。

SCP-031-JP-01: 貴君が私を穢れた名で形容することを偉大な帝国が赦そう、███ ███殿(███博士の本名です)。

███博士: [沈黙]どうして私の名前を。

SCP-031-JP-01: 帝国は聡明かつ寛大であり、貴君の様な知識人に対して最大限の敬意を示す。blockageral2では無い学者は全て未来においての貴重な同胞だ。しかし敢えて否定するならば、私は貴君が定義付けるSCP-031-JP-1という存在ではない。私はSCP-031-JPそのものであって、個人は圧縮されるべき不純構成物に他ならないのだ。

███博士: ……わかりました。あなたには幾つか、質問が……質問に答えてもらいます。まず、なぜ今になってインタビューに応じる事にしたのですか?

SCP-031-JP-01: 為すべき事についての準備が完了したからだ。此の世の春には冬の時代が必要だ、動植物と同様に。

███博士: 準備とは。

SCP-031-JP-01: 偉大なる帝国の為に私が身を捧げてきた一連の行動の事だ、███殿。それは複数の人間の貢献によって為され、時を経て工程は分担された。しかし偉大なる帝国は中々芽吹かず、地道な潜伏を必要とした。 どうにも全てが上手くいかなかったのだ。緩慢ながら無視できん停滞への旅路だった。

███博士: [無言]

SCP-031-JP-01: 赤面すべき事ながら、元来与えられていた偉大なる職務を愚直に遂行し続けるには、私は我慢強くは無かった。帝国への貢献はこの方法では駄目だ、無礼な拡大解釈であるにしても、現状打破の為には手段を選べないと判断したのだ。故に、新たな方法を模索する必要があった。幸いなことに時間は有り余るほどに提供されていた。新規の同胞もな。その点でも私は貴君らの助力に感謝している。

███博士: あなたは財団を利用していたということですか?何のために?

SCP-031-JP-01: 悪辣な表現技法を用いるな。其れは不可能だった。私は貴君らの“収容”を甘んじて受容したのでは無い。私は不当な拘禁状態に置かれ、鎖を破ることは叶わなった。辟易する扉の番人のもとに留め置かれていたのだ、今亡き帝国の様に。故に私は思考を続け、そして結論に至る糸口を掴んだ。現状を打破する糸口を。

███博士: ……最後に、あなたに訊きたいことがあります。

SCP-031-JP-01: 聞こう。

(ここで1分53秒間記録が不明要因により妨害される。この間の███博士とSCP-031-JP-01との会話は不明)

███博士: まさか、お前はその為だけに██を……!

SCP-031-JP-01: [笑い声]私には必要だった。帝国の為に必要だった。故に為すべき事を行ったまでだ。この日までに長い時間を費やしたよ、しかし私の労苦は帝国によって救済されるだろう。貴君の息子は役に立った。こうして私は貴君と対面し、成熟した理論によって拍動する帝国の熱き展望を語ることが出来た。素晴らしき帝国の行く末を。

███博士: ██を返せ!

SCP-031-JP-01: 不可能だ。彼は既に私であり、一人の帝国臣民でもある。だが、問題は存在しない。貴君は迎え入れられる。その準備は整った。私の職務は私の死によって継承され、そして継続される!

(収容室内に異常な高熱反応が発生。SCP-031-JPの頭部の発熱によるものと思われる)

███博士: 何を……まずい、██くん(研究助手の██ ██のこと)!冷却装置をシャットダウン!至急サイト司令にノーティスを送れ!

SCP-031-JP-01: 賢明な判断だ。しかし何もかもが遅過ぎる。

(サイト-8141の管理システムが財団の制御下を離れ、複数のオブジェクトの収容違反が発生。サイト全域に非常事態宣言が発令され、同時に他のSCP-031-JP個体が異常覚醒した)

SCP-031-JP全個体: 嗚呼、なんと美しきことか!私は幸福だ、私が遺す結果は聡明で偉大な一点に集約され、ニクロフテスの肉魂に真理は宿る!そして全ての奉仕者の足並みがXaes-Kopper3境界に揃った時、犠牲の代償は顕現する!偉大なる理想郷が![データ削除済]が!此の世の春の!帝国が!

(███博士が隠し持っていた拳銃を取り出し、SCP-031-JP-01に向けて発砲)

〈録音終了〉

結果: サイト-8141で発生した管理システム奪取と、それに付随した大規模な収容違反は、███博士によるSCP-031-JPへの攻撃とサイト-8141収容スペシャリストの尽力により収束しました。収容違反による██名の犠牲者の追悼式が2日後に行われ、サイト司令からの収束宣言と同時に追悼文が読み上げられました。
事件に深く関わっているとされたSCP-031-JPは、SCP-031-JP-01の生命機能停止と同時に全個体が崩壊し、人間の遺灰と同様の成分の灰に変化しました。異常特性を示さなくなったSCP-031-JPは無力化が宣言され、収容プロトコルは大幅に改訂されます。

追記: 現在の███博士の精神状態を鑑み、SCP-031-JPの研究担当は彼の第一助手で、以前から研究の副主任を任されていた██研究員に引き継がれました。以後は彼が研究主任です。
███博士には長期の待機命令が下され、実家の[編集済]市で療養しています。復帰時期は未定です。面会は禁止されています。

補遺#1: オブジェクトの無力化が確認されたにも関わらず、SCP-031-JPが未だEuclid分類であることに注意してください。

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