SCP-069-JP
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梱包以前のSCP-069-JP実体(一部)。

アイテム番号: SCP-069-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-069-JPは個別で衣服保管用のケースに入れ、施錠して下さい。現在使用は禁止されており、この旨を通達する注意書きを各個体のケースに貼り付けて下さい。

説明: SCP-069-JPは、1900年代以降に制作されたと見られる34枚の古着です。実験で使用後、異常性を失った個体が別で8枚存在します。SCP-069-JPは着用した人間に対し、別世界に生活する人間の行動を制御する力を与えます。

SCP-069-JPを着用した瞬間、被験者は全身の筋緊張が高まり、およそ60秒間の意識不明状態に陥ります。この間被験者はこの世界とよく似た別の世界、SCP-069-JP世界に移動したと報告しますーこれは完全に意識上でのみおこる事態です。客観的にSCP-069-JP世界を認識する事は出来ません。同世界は細部で異なる歴史を辿っており、被験者はその世界で生活する一般人(まれに財団エージェント)として目覚め、元々の人格と記憶を保ったまま自由意志での行動が可能です。

この間に経過する時間は明らかに外部時間と異なり、最長で70年以上の経験を証言した被験者もいます。これらの証言は、知識の大幅な増加や精神的な成長(または退行)の獲得で示されます。現実での覚醒はSCP-069-JPで死亡後に起こります。その後着用したSCP-069-JP個体には死亡時の傷や汚損が発生し、以後異常性を示さなくなります。

実験記録:

被験者: ███研究員

内容: SCP-069-JP世界を調べる。███研究員は通信機とGPSを所持し、また可能な限り情報を持ち帰るように指示されている。この実験は当該オブジェクトに対する制御された最初の実験である。

使用個体: SCP-069-JP-17。アロハシャツに類似する個体。

結果: 通信機およびGPSは意味をなさず、███研究員を追跡する事は出来なかった。███研究員はSCP-069-JP世界で死亡した後に、新たなSCP-069-JP個体に対し血液と複数の指紋、付着したチョコチップ入りアイスの痕跡を残す事に成功した。以下はその証言で構成されている。

〈録音開始〉:

███研究員 えー、まず私が目覚めると、昔留学で見に行った西海岸の風景、よく覚えています、そこに立っていました。外見を確認する為に近くの店のショーウインドウを覗くと、白人で髭だらけの、おそらくは50から60代でしょうか、その位の男性になっていました。服はあのシャツと…他にジーンズ、サンダルですね。財布を持っていましたが、身分証明書はありませんでした。とても暑く、そして何故か息切れが酷かったので、近くの売店で新聞とアイスを買って休む事にしました。

(中略)

新聞を読み終えた頃でしたね、女性から声をかけられました。その時の私の外見と似た年代で、親しい様子だったのでひとまず挨拶をすると、ごめんなさい、本当に悪かったわと。すまなそうな顔をしていました。どうしたものかと悩みましたが、いっそこれはチャンスだと思い、こちらもおどけながら、記憶喪失になったふりをしたんです。あぁ忘れたよ、君が教えてくれないかと。彼女は私を、いやあの男性を見て微笑んで、…そこからは少し、映画の中のワンシーンの様でしたね。彼女は、自分が妻である事、一緒の大学を出た事、私が…えー、夫が、海で年甲斐もなくサーフィンをするのが好きな事。そんな夫がクールだと思っている事…でも料理の好みは合わなくて、だからレストランで喧嘩になって、せっかくの結婚記念日なのにひどいわ…とか、そんな事をささやかれました。手をつないで、えぇ、正直…その、罪悪感が酷かったですね。仲睦まじい夫婦の会話を盗み聞きしている様なものでしたから。その場に居たくない気持ちも半分はありましたが、これ以上話してボロを出してはいけないという不安もあり、軽率とは思いましたが情報収集の為に場を離れる事にしたんです。思い出したよ!と言ってから表通りに出ると、そのまま走って逃げてしまいました。3ブロック程走ってから、彼女が来ない事を確認して、その後ニューヨークタイムス誌をホームレスからかっぱらいました。

(詳細なデータは文書記録069-い-07参照)

丸3日間、新聞や聞き込みで判明した事を纏めると、時代は同じで歴史も一緒、ですが細部で違う…それが、このSCP-069-JP世界の印象でした。1日遅れでしたがアメリカ軍のイラク派遣も行われていましたよ。実家に連絡したら、家業を継いだ僕が電話口に出ました…でも、何も起きませんでした。異世界の自分に会って、それだけです。…で、粗方僕の脳みそに詰め込める範囲の内容は覚えたので、なるべく痛くない方法で元に戻ろうと近くの店でお酒を買い、見つかりにくいところで一気飲みして…倒れた後は、もうここに戻って来ていました。死ぬ程飲む経験ってのは、金輪際ないでしょうからね。

〈終了〉

補遺: この実験記録の中で███研究員が体験した男性は、その後現実世界のアメリカにて[編集済]という名前で実在する事が判明した。氏名と大学時代の経歴に一部差異はあったが、SCP-069-JPの世界から持ち帰った血液と比べた結果、遺伝的に同一人物とされている。[編集済]氏は今日まで生存しており、この点もSCP-069-JPの世界とは異なっている。

SCP-069-JPの収容が容易である事、また実験から得られるデータの価値が低いと思われる事から、このオブジェクトの使用を明確に禁止します。別の世界に生きる無関係の一般人を、これ以上殺す事は無益です。 - 東博士

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