SCP-072-JP
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アイテム番号: SCP-072-JP

オブジェクトクラス:Euclid

特別収容プロトコル: SCP-072-JPは、その性質上I5サイト群所属の無人島にある、I5サイト-8160に収容されています。人的損失を避けるため、島内のサイトから半径1km以内は職員・非職員に関わらず、実験に伴うDクラス職員以外の女性の立ち入りを禁止しています。そのため、サイト内の職員は全員男性で構成されています。SCP-072-JP-1に対しては観測機器を取り付け、通常と異なる変化がみられた場合には全てサイト管理者へ報告を行ってください。尚、「愛のかたち一覧」に記載されている、SCP-072-JPと類似した外見の未収容の物体を発見した場合、異常性の有無に関わらず予測影響範囲の封鎖ののち、"蒐集家"作戦が実行されます。回収後はI5サイト-8160へ移送してください。

説明:SCP-072-JPは、黒色の御影石に類似した素材の高さ2.1m、重量およそ220kgの像で、2人の融合した人間を簡素化したようなデザインとなっています。前衛芸術家████████氏(後述)の作風と酷似しており、密接な関連性が推定されています。

SCP-072-JPを中心とした半径720mの空間内で、かつお互いに素肌部分を直接接触させている男女の肉体は、全身が融合し様々な素材の像(SCP-072-JP-1)へと再構成されます。これらの像も、████████氏の作品と酷似した、簡素化された人体が融合したデザインとなっています。この融合は、両者が互いにある程度の好感を持つ場合に発現します。Dクラス職員の実験により、互いに好感を持っていても目隠し状態での接触、偶然に伴う接触では融合は起こりませんが、一方でほんのわずかな好感、例として同じDクラス職員としての共感、互いへの良い伝聞、単純な顔や体形の好み等も融合の要因となり得ることが判明しています。

SCP-072-JPは198█年7月9日、東京都█████市内の████自然公園の中心に突如出現しました。それに伴い、13人の一般市民が影響を受け、5つのSCP-072-JP-1へと変化しました。発生から2時間後、公園内はカバーストーリー"不発弾除去"のため閉鎖され、目撃者にはAクラス記憶処置が行われましたが、閉鎖中に公園外の道路と近隣ホテルでも2固体のSCP-072-JP-1が発生したため、更に周囲1km以内の近隣住民を退避させる措置がとられました。SCP-072-JP-1へ変化する瞬間の目撃情報と、現地でのDクラス職員による追加実験によりSCP-072-JPの部分的な効果が実証されました。しかし、影響範囲の妨害措置は施す事が出来なかったため、2日後財団所属ヘリコプターによる、I5サイト-8160への吊り上げての移動が実施されました。以後のサイトでの2m四方の鉛塊への埋設、ファラデーゲージへの収容を含む実験によっても、影響範囲の縮小は成功していません。

████████氏は前衛芸術家として80年代初期の一時期、新鋭の若手として注目されましたがすぐに忘却され、偏執病の傾向が強くなった以後は交友関係もなく、隠遁生活を送っていたとされています。SCP-072-JP出現の2年程前からは近隣住民にもほとんど姿を見せなくなっていました。SCP-072-JPの事件後、関連性の調査のためにエージェントが自宅兼アトリエを訪問しましたが、████████氏を発見することは出来ませんでした。アトリエの作品、作成途中の作品は全て破壊されていました。同時に発見された「愛のかたち」と記載された構想ノートは、激しく損傷していましたがSCP-072-JPに酷似した作品案が描写されていました。これをもとに「愛のかたち一覧」は作成されています。これまで売却された███████氏の作品の内、所在の確認できたものは全て行方不明になっています。また、購入者、所有者とその家族の4割となる██名も、その後作品とともに行方不明になっていることが判明しています。

補遺1:SCP-072-JP-1一覧
素材となった犠牲者は遺留物より想定。後の測定により、SCP-072-JP-1-C以外の全てのSCP-072-JP-1の頭部は、脳波に類似した電気信号を発していることが判明しました。SCP-072-JP-1の変質の規則性は不明ですが、通常の物理手段で破壊可能な事が実証されています。
番号 発生場所 素材 特徴
SCP-072-JP-1-a 公園内 大学生男女 白檀と黒壇とで構成されており、常に湿潤状態。
SCP-072-JP-1-b 公園内 母子手帳により男児を妊娠中の女性と判明 入れ子状のガラスで構成され、内部は濃度の異なる2色の液体が流動。
SCP-072-JP-1-c 公園内 社会人男女 塩化ナトリウムの結晶で構成。移動時に崩壊し、以後異常性を示さず。
SCP-072-JP-1-d 公園内 社会人夫婦 青銅製。収容以後錆び続けているが質量の変動はなし。
SCP-072-JP-1-e 公園内 父親と2名の幼稚園児の姉妹 凝固した糖蜜で構成。1ヵ月に1cm程度重力方向に関わらず変形。
SCP-072-JP-1-f 近隣道路 小学生の兄妹 翡翠で構成。特異性は判明せず。
SCP-072-JP-1-g 近隣ホテル内 社会人男性と女子高校生 アスファルトとカッテージチーズの混合物。緩やかに蠢動。
SCP-072-JP-1-h~n 主にI5サイト-8160 Dクラス職員男女 実験により発生。詳細は別資料SCP-072-JP-1-ClassDを参照の事。

補遺2:構想ノート「愛のかたち」の復元、メモとして記載された読解可能な部分を抜粋

5/3 テーマ。男女の本能による性愛[判別不能]普遍的な、それ以外の。表現→×
5/18 [判別不能]じゃすぐに飽きられる。相手は[判別不能]僕自身が愛を知らない。
[汚損]性的なメタ表現…醜悪なカリカチュア?。愛された事もない。あんなのとは違う。だから表現できない[判別不能]からこそ表現したい。素材的には△。[判別不能]の残骸。処理に困る。
[判別不能]男根主義者と異性への恐怖心から[破損]自己嫌悪。自発的な陶酔。
6/23 理解者は生まれ変わるべきだったって。すごい!!くだらない[判別不能]
7/6 僕は会ったぼくとあの女に会った。愛ってのは楽しい狂気[判別不能]大丈夫ですか?
[破損]彼とぼくの理解者にも。僕の心いの[判別不能]
7/8 ぼくたちには真の愛を。愛に狂う意図。それこそ

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