SCP-080-JP
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アイテム番号: SCP-080-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-080-JP実体は小型動物収容ケージ内に収容した状態で、防音構造の小規模収容室内に保管してください。収容室内への立ち入りはセキュリティクリアランスレベル2以上の職員2名の承認が必要です。
実験目的以外でのSCP-080-JPとのコミュニケーションは現在全て禁止されています。収容室内に立ち入る際は必ず、規定された防音装備を完備した状態で入室してください。
現在、SCP-080-JPとのコミュニケーションを含んだ実験は禁止されています。

SCP-080-JP-1に分類される実体は現在レベル6の完全隔離拘束状態にあります。SCP-080-JP-1との接触は、実験目的以外には全て許可されません。

説明: SCP-080-JPは一匹のヒロズキンバエの幼虫です。検査によりSCP-080-JPは通常のヒロズキンバエの幼虫と同様の構造を持っていることが判明していますが、不明な理由により摂食と排泄を不要としており、成長または変態の徴候も観察されていません。

SCP-080-JPは知性と発声能力を有しており、通常時はただ移動のみを行いますが、SCP-080-JPの視界1内に人間(以下被験者と呼称)が入った場合、SCP-080-JPは被験者の方を向いて静止し、発声によりコミュニケーションを試みます。
SCP-080-JPは被験者の母国語を用いた成人男性のように聞こえる声で、被験者に対して精神療法士のように振る舞い、一方的に会話による診察を開始します。
被験者が精神疾患を患っているか、またはその傾向が強い場合、SCP-080-JPは最終的にその病名を告知し、適切な治療法の説明や助言を行います。

被験者が精神的に健常であった場合、SCP-080-JPはしばしば存在しない病名を被験者に告知します。それらの病名に言及しても、SCP-080-JPは明確に返答を行いません。
SCP-080-JPは存在しない病名を告知した場合であっても、それらの治療法の説明や助言を行い、時にはSCP-080-JP自らが、会話による催眠または暗示を用いていると思われる治療を実施します。
以下は、SCP-080-JPがこれまで挙げた存在しない病名と、それらに対して有効であると説明した方法の一覧の一部です。
病名 治療法
魂魄剥離症 朝8時にBlzbubへ祈りを捧げ、ニシンの頭を食した羊の胃を日暮れ時に食す
展開性双樹非認識症 10分間瞬きせずにへその下を親指で圧迫し続ける。これを一日に7回、1時間以上間を空けて行う
ファティマ・ロール症候群 生後1ヶ月以内の山羊の心臓3つを夕食前に金製の器に入れて焼却する
忌避的形而上認知症 頭部に███を生後4ヶ月以内の人間の血液を用いて描き、その後40秒以内に刃渡り30cm以上の刃物を███の上から頭部に突き刺す
エプスタイン・アンチ・アリス・アルコーン症候群 █████を施したライオンに自らの肝臓を食させる

これらの治療法を実施した結果については補遺を参照してください。

補遺1: SCP-080-JPに対するインタビュー実験が終了しました。下記は、その中でもSCP-080-JPの起源に関係していると思われる記録の抜粋です。

対象: SCP-080-JP

インタビュアー: 神山博士

<記録開始>

神山博士: どうも、こんばんはSCP-080-JP。

SCP-080-JP: こんばんは。初めての診察の方ですか?

神山博士: 私はあなたの患者ではありません。あなたと同様の職種の者です。

SCP-080-JP: 左様でしたか。ここに配置されてからというもの、ご同業をお見かけしなくなって久しいものでしたから気付きませなんだ。どうか平にご容赦を。

神山博士: いえ、お気になさらず。それよりも、あなたが提示する病名と治療法について、是非教えを乞いたく思うのですが。

SCP-080-JP [20秒間沈黙] ははあ、良いでしょう。相互交流の架け橋となるのも私共の務めでございます。あなたが納得行くよう、最善を尽くさせて頂きましょう。

神山博士: ありがとうございます。それではまず、あなたが治療を行う目的について教えて頂きたいのですが。

SCP-080-JP: 良いでしょうとも。人というのは、多くの不幸の中で生き、塗炭の苦しみを味わい続けています。その中で迎える死の要因は様々です。不幸な事故、殺意、憎しみ、そして己の意思。私の同輩が唆した例も幾許ながらございますが、私は精神を、心を診る医者です。私は患者の心が患者を苦しめ、死に至らしめるのを防ぐために治療を行っています。患者の心を強め、育むのです。そうして初めて、私は奉仕したと言えるのです。

神山博士: あなたは誰に奉仕しているのですか?

SCP-080-JP: いと低き方。アハズヤに祝福を述べる方。汚れし足を持つお方。私はその方の侍医の一人でございました。

神山博士: 病名と治療法にはどのような意味があるのですか?

SCP-080-JP: 真実です。私は医者として死を忌避し、死をもたらすものを憎みます。魂の救済は、より清らかな生と福音をもたらすでしょう。それこそが我々に勝利をもたらす原動力となるのです。

神山博士: 勝利とは、何のことでしょうか?

SCP-080-JP: 救済された魂が切り開く、終末の先にある楽園への戦端ですよ。

神山博士: なるほど。またお話を聞かせてもらえるでしょうか?

SCP-080-JP: より聖なる同輩よ、いつでも私はあなたを歓迎しましょう。

<記録終了>

補遺2: SCP-080-JPが健常者へ告知した存在しない病名への治療法を、Dクラス職員を用いて実施する実験が複数回行われました。
以下は、それら実験の内最初に実行されたものの報告書の一部を抜粋したものです。

実験記録: ████年██月██日

対象: D-86745

告知された病名: 不確実性虚言信仰症

提示された治療法: 15歳以上の処女の血液を用い、目を瞑りながら羊皮紙に「Blzbub Gloria in xclsis Do t in trra pax hominibus bona voluntatis」と40回筆記する

結果: 一連の手順を3度試行するも異常なし

分析: 手順に問題は見当たらない。SCP-080-JPの提示した治療法が虚偽である可能性有り。実証のため、他の被験者を用いての実験を申請する。

実験は計4名の被験者に実施されましたが、いずれの場合も被験者の異常は観察されませんでした。SCP-080-JPの告知した病名と提示した治療法は虚偽のものであることが判明しました後発的な異常を発生させる事が判明しました。

実験後D-86745に対する任期満了による終了が実行された際、D-86745は明らかに生命維持が不可能な損傷を負っているにも関わらず、生存していました。D-86745は終了に伴う苦痛を感じておらず、明確な知性と意識を保ったまま終了措置監督人員を襲撃しました。
D-86745は脱走と小規模な他オブジェクトの収容違反を発生させ、16分後に確保、拘束されました。ただちにD-86745の勤務履歴が調査され、SCP-080-JPの影響が指摘されました。

その後、SCP-080-JPの提示した治療法を実践する実験に使用された他の3名のDクラスに対して、秘密裏に食事への薬剤混入による終了を実施しました。その結果、3名全員が生存し、また終了措置にも気付いていませんでした。
検査の結果3名全員に、混入した薬剤による複数の内臓の機能不全と末端神経の断裂が確認されました。また、右心室にハエのような模様の焼印が出現していました。これは、終了措置の実行前の検査時には存在しなかったものでした。
これらの性質は、既存の精神疾患名の告知と治療法の提示をSCP-080-JPから受けた被験者には現れませんでした。

以上の事からSCP-080-JPの性質に関する見解が見直され、特別収容プロトコルの改正が行われました。SCP-080-JPから提示された、存在しない病名への治療法を実行した人間は、SCP-080-JP-1へと分類されます。

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