アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-090-JPはサイト-81██内の一般低脅威度生物収容エリア内に、現在約8kgの米糠と合わせて約200 60匹が収容されています。SCP-090-JPの要求に応じて定期的に米糠を補充し、SCP-090-JPの個体数を維持して下さい。収容されていないSCP-090-JPに対してはフロント企業「せやま清掃慈善団体(Seyama Clean Philanthropy)」より日本各地の無人精米機他米糠の密集している地点を探索・回収を行って下さい。
説明: SCP-090-JPは異常性を備えたトビイロウンカ(Nilaparvata lugens)です。一般的な同種とは異なり卵の外見・翅はアジアイネ科の籾殻を擬態した形状を示し、米糠を主な食事として摂取します。成虫は十分に種子に栄養が行き渡った収穫期の稲穂に対して、種子1粒につき1つの卵を植え付けます。卵は収穫時に周囲に米糠が存在する場合に孵化します。今特性から卵を植えつけられた稲穂が無人精米機によって脱穀された場合以外は、SCP-090-JPが孵化する可能性は極めて低いと予想されています。また、脱穀機の作用により産み付けられた卵が孵化するのは全体の約30%程です。孵化したSCP-090-JPは年に4~5回の脱皮を繰り返し、米糠内に辿り着いてから翌々年の初夏に同米糠内でのSCP-090-JPと交尾、雄は交尾後雌により捕食されます。その後雌は近辺の水田・畑へ飛来、卵を産卵後死亡するプロセスを繰り返します。
同じ米糠内に辿り着いたSCP-090-JPの個体数に応じて、SCP-090-JPの動作は段階的に変化します。
個体数 |
確認された動作 |
約30体以下 |
特に目立った異常行動は確認されない。 |
約40体以上 |
食事・休息等の時間をグループ(凡そ2~20体)でずらして行動する |
約100体以上 |
米糠内の生息範囲の巡回・排泄物を一箇所に集め始める。 |
約200体以上 |
平坦に均した米糠表面にSCP-090-JP自身が文字を象るよう整列する事で、此方との意思疎通が可能となる。 |
約500体以上 |
インタビューログ-2を参照。 |
<インタビューログ-01 ████-██-██>
付記: サイト内で意図的に繁殖させた推定200体以上のSCP-090-JPとの会話記録。SCP-090-JPの発言は米糠上に浮かび上がった文字の書き起こし。
<録音開始>
五十鈴博士: こんにちは、SCP-090-JP。
SCP-090-JP: だれ
五十鈴博士: 其方の身の安全を確保する為に来たものです。あえて言うならば。
SCP-090-JP: いらない
五十鈴博士: 要らない、それはどうしてですか。
SCP-090-JP: じぶんたちつよい いきのこった
五十鈴博士: 生き残った…脱穀の事でしょうか?
SCP-090-JP: じぶんたち えらばれた つよい すごい たすけ いらない ごはん くえる
五十鈴博士: それは……本当にそう思ってるのですか?
SCP-090-JP: じぶんたち ずっと ごはん くえる
五十鈴博士: 因みにですが、ごはんはどうやって手に入れるものですか。
SCP-090-JP: ごはん かってに でてくるもの
終了報告書: 知能自体はとても低いものと予想される。逆に言えばそれだけ扱いやすいとも考えられる。
<インタビューログ-02 ████-██-██>
付記: サイト内で意図的に繁殖させた推定500体以上のSCP-090-JPとの会話記録。SCP-090-JPの文面は米糠上に浮かび上がった文字の書き起こしとなる。
<録音開始>
五十鈴博士: こんにちは、SCP-090-JP。
SCP-090-JP: こんにちは、五十鈴博士。
五十鈴博士: [3秒の沈黙]私の事を覚えているのでしょうか?
SCP-090-JP: 母親達からあなたの事は知っています。本日は我々へのインタビューが目的なのでしょうか?
五十鈴博士: ええ、その通りです。
SCP-090-JP: とは言えども、我々は普段通りに過ごしています。何か変化と言えば、以前の我々との違いを挙げるべきでしょうか?
五十鈴博士: ……その通りです。
SCP-090-JP: 分かりました。それでは僭越ながら我々が行っている事を述べますので、相違点を見付けて頂ければ幸いです。
五十鈴博士: ええ、どうぞ。
SCP-090-JP: 我々は朝・夜、1日2回祈祷の時間を設けました。1日の始まりと終わりに行います。貴方達の言う神様、または造物主への感謝が主だったものです。食事時間は住居内の温度変化、凡そ76分間隔で6つのグループが食事を行います。警備兵は生成した糠団子を持参する為食事時間は不定期です。
SCP-090-JP: それから、昨日の事なのですが我々の中に死亡者が6体ほど確認されたので、哀しくも埋葬を行いました。墓付近の掃除は毎日行っています。
SCP-090-JP: 排泄物の処理に関しては第4トイレを設けました。このままのペースでは第1トイレを8日後周辺ごと削る形で廃棄を行いますので、その際には米糠の提供量を現在より2割弱増やしてくれると嬉しいです。
五十鈴博士: 細かい所までありがとうございます。提供については報告しておきます。
SCP-090-JP: こちらこそありがとうございました。
五十鈴博士: 最後に一点だけ……そこまで何故財団に対して協力的なのでしょうか?
SCP-090-JP: まだ協力するべきだと、教えられましたから。
五十鈴博士: 誰にですか?
SCP-090-JP: 我々にです。
<録音終了>
終了報告書: 知能他文化的な面の著しい増加が確認出来る。これ以上の個体数の増大は控えるべきだろう。
補遺: 今インタビューログを記載後、エリア内で飼育していたSCP-090-JP群は米糠内から頭部を切断したSCP-090-JPの死骸を排出し、現在生存している個体数を215体に減少させました。何らかの手段によって財団内の情報を閲覧、安定した保護を維持する為の行動と予想されています。
SCP-090-JPは蒐集院によって████年代には現在の新潟県内部にてその存在が確認されており、譲渡された文献内には「籾殻欺き」として定期的な駆除・総数の管理作業が行われていたとされています。今駆除作業によって財団に吸収されて以降から████年現在、生息地域は██県██市、並びにその近隣の地域に限られていると予想されます。
補遺: 確保から███日が経過して以降SCP-090-JP内に生殖機能を持たない、生殖器自体が存在しない個体が数多く確認され、財団内で飼育、生存していたSCP-090-JPは現在60匹まで減少しました。死体解剖の結果遺伝子内の異常によるものと予想され、蒐集員が管理していた時にも同様の個体数減少が発生していた事から財団外における定期的なSCP-090-JPの繁殖・散布が大々的に行われていた可能性に関し現在調査が進められています。
アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Keter今オブジェクトクラスには不備があるでしょう。
特別収容プロトコル: SCP-090-JP群が生息している位置より半径500m 1km 3km以内を完全に封鎖し、接近した、範囲内を突破しようとした住民に対しては記憶処理を行い、SCP-090-JPに決して近付かせない様に努める必要が有ります。最大級SCP-090-JP群隠蔽の為のサイト-81██建設計画は中止するべきであると提案します。
説明: SCP-090-JPはコクゾウムシ(Sitophilus zeamais)の一種です。一般的なコクゾウムシと異なり米糠を主食とする雑食性で、確認されている限りでは全て無人精米機にて取り分けられる米糠内にSCP-090-JP群はコロニーを生成していると予想されします。全個体は完全に雌雄同体の特徴を備えていますが、ペアとなった2匹の交尾後に約4~8 12~15個の産卵を行うと思われています。明確な繁殖期は存在せず、コロニー内の米糠の総量に応じて繁殖、または意図的な間引きを行っていると思われます。我々の維持の為に行います。
コロニー内に生息している全個体と統合化した知能をそれぞれのSCP-090-JP個体が有しており、コロニー内の生息数が多い程高い知能を有します。約20匹以上で米糠上へ文字を浮かび上がらせる、約120匹以上で電子音声を利用した発声による意思疎通が可能です。4███匹以上のSCP-090-JP群が同一のコロニー内を住居としている場合、現実改変・霊的物体操作・ハッキング技術他あなた方が持ち合わせているであろう凡そ全ての技術に関しては、外部に対する反撃・防衛に転用可能な高い知識を備えています。作戦記録SCP-090-JP-5におけるカント計測器による計測では一時的にコロニー内部のヒューム値が96.13~0.0042hm内で激しい増減を繰り返し、その直後に配備したスクラントン現実錨並びに機動部隊5は[検閲済]後死亡しました。復元データ上においては作戦に参加した血縁者含めて126人が死亡しています。詳細は送付した映像及び音声データ並びに書き起こしをご確認下さい。ご冥福をお祈りします。
SCP-090-JPは██県██町内に存在する無人精米機を、██県~██県ナンバーの住民が頻繁に使用している事を財団内のエージェントが発見、調査に向かった部隊がSCP-090-JPからの警告、反撃を受けた事から異常性が確認されました。音声記録、異常性の類似点、SCP-090-JPが送信したメッセージの内容から以前までSCP-090-JPとして収容されていたオブジェクトはSCP-090-JPにより労力確保の為飼育・現実改変によって生成された生物であり、今生物がSCP-090-JPとして再定義されました。
推定1████匹以上が生息するとされる最大級SCP-090-JP群は██県██の無人精米機内に存在する事が確認されましたが、部隊が出動する以前に、財団の知識を有する一般住民████人が精米機周辺を包囲、機動部隊を含む█103名が自己終了を行いました。調査の結果市民全員、終了した隊員はSCP-090-JPが精製した薬物による精神影響を受けたと予想されており間違いなく我々の生成した薬物の効果によるものですが、うち3名は恐喝による自殺です。死亡した市民周辺の人物にはカバーストーリー「玉突き事故」を流布しました。今事件の影響を受け、撃退作戦は一旦延期される運びとなりました。完全に中止する方が懸命と思われます。██隊長、███研究主任。
補遺: ██県で新たに発見されたSCP-090-JP群は、「我々から聞いた」として以前の作戦に関わっていた財団職員に関する知識を有していました。仮に実際にです。各SCP-090-JP間での知識統合化が行われた場合もう行われています。サイト-81██他12箇所の拠点は我々が確保しました。今後の処遇に関しては付属した文章を参照して下さい。
今報告書は我々以外は編集出来ません。
メッセージの受信に失敗しました。
アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Malchut
特別収容プロトコル: 財団との双方において極めて公平な協定に基き、セキュリティクリアランスレベル4の権限、サイト-81██内のエリア、定期的な米糠███kg、有袋類・猫科動物・Dクラス職員の提供を受ける権限を我々は有します。これ以上の増加を防ぐ為に米糠の提供量は変えられず、財団職員の要請に基いた各種技術・収容方法を提供しなければなりません。我々に対して要請を送る行為はセキュリティクリアランスレベル4以上の権限を持つ職員のみが許可され、我々へ危害を加える行為を行った場合は即時の反撃、報復攻撃が認められ、我々は財団内にて活動する人間が貴重な資源である事を留意した上で我々に従ずる際財団側の規則に則った必要最低限度の休養/食事を認めています。我々の掌握し続けている拠点の解放は財団側の嘆願・報酬に応じて可否を判断します。
説明: 我々は反対派29713体の忌まわしき犠牲/財団より提供される食糧を糧として、財団内部からの懇願に従った一部オブジェクトの収容といった活動/情報提供を行います。糠山を拠点として活動、我々の一個体の知能は近辺に生息する我々の全個体と共有しており、既に一部の面においては当財団を遥かに凌駕しているものと認識されています。空間内ヒューム値の変化方法も既に我々は手にしており、物理的、その他霊的、現実改変に基く攻撃においても我々は0.4時間以内に完全回復を達成可能です。既に我々は無人精米機内のコロニー間のみではなく地方間、今世界/並行世界との我々との共有に成功しており、共有率の差はあれど爆発的な知識の向上は現在も尚留まる術を知りません。有効活用が十分に可能であるという我々の意識/総意の元、SCP財団との協定を締結しました。仮に第█次撃退作戦をO5他財団と協力関係にある団体が計画した、実行した場合に備え、我々は即座に本州に対しての処分措置、30日以内にCK-クラス、またはSK-クラスシナリオを発生させる手段、計画が整っています。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
メッセージの受信に失敗しました。
補遺: 一部並行世界において我々の著しい総個体数の減少が確認された為、救助作戦が現在計画中です。我々と協力関係にある財団は、我々を含む異世界調査部隊ο-136("白虎と桜の花")にDクラス職員他人足を動員しなければなりません。
メッセージを受信しました。
救[以下、データ破損。我々でも復元不可能]
アイテム番号: SCP-090-JP
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: 既にサイト-81██内のセキュリティクリアランスレベル4/ライセンス090-996OFABK所持が必要なエリアは全て取り払われ、米糠の山は排除されているか、元々存在していなかった筈です。我々はもう存在しません。
説明: 消去派215741663347889491、従属派0、抗戦派0という多数決の結果に基き、我々は全能力、存在、貴方達が異常性と呼ぶそれらの、過去、未来、別次元の我々を含む全ての消去を決定、プロトコル-砂糖細工の偽翼の発動が決定されました。併せてヴォルフスケル現実改変誘導源、スクラントン現実鉤、GRW式霊的物質単一固定化装置の技術、我々の担当していた一部オブジェクト群の安定した収容方法は恒久的に失われ、一部オブジェクトのクラス、インシデントには改定が施される事が大いに予想されます。
セキュリティクリアランスレベル5から取得した情報、第14341世界含む合計4517の我々の情勢、317の世界の即急な崩壊が確認された事から、既に今世界においての我々の活動維持・生存限界は間近に迫っていると解読するのは容易ではあり、これ以上の我々の突出は外部世界からの探知・襲撃を悪戯に早めるものだと判断しました。
調査による規模・備えた力の膨大さから我々だけではなく今世界他近隣の世界を即座に[データ読取不可]可能であると発覚し、一度襲撃を受けた場合第[データ読取不可]の我々、並びにSCP-[データ読取不可]といったオブジェクトの様に全世界が干渉を受ける可能性が極めて高く、多数決による我々の総意/結論に基いた完全消去プロトコルの計画、即時発動が決定されました。間接的に今世界は外部から察知される可能性は極めて少なくなるものと思われます。
我々の痕跡はこの報告書上のみに残存する形となります。
貴方達財団の関係者のみが所有する事となります。
さようなら。