SCP-1008-JP
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SCP-1008-JP-A(電子顕微鏡写真)。

アイテム番号: SCP-1008-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1008-JPの収容及び実験はサイト-8191に設置されたバイオセーフティレベル3の研究室内で行われます。万一SCP-1008-JPの収容違反が発生した場合、標準的な対飛沫感染ウイルス封じ込め手順に基づき、周辺の隔離・消毒を行わなければなりません。

説明: SCP-1008-JPは暫定的にベータコロナウイルス属に分類されている異常なウイルスです。SCP-1008-JPはその性質から大きく2種類に分類することができ、それぞれSCP-1008-JP-A、SCP-1008-JP-Bに指定されています。

SCP-1008-JP-Aの発症初期には発熱、咳、くしゃみ、呼吸器の炎症などの症状が見られ、この段階では特に異常な性質は発揮されません。発症後50時間程度が経過すると上記の初期症状のうち発熱と炎症は終息を見せますが、代わりに罹患者が保有する何らかの“要素”1が失われます。この要素の欠落が終了した時点で、罹患者の体内で新たにSCP-1008-JP-Bが増殖し始めるようになります。

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SCP-1008-JP-B(電子顕微鏡写真)。SCP-1008-JP-Aとの間に大きな外見上の差異は見られない。

SCP-1008-JP-Bは母体となった罹患者(以下一次罹患者と表記)の体内では一切の症状をもたらさず、他の人物(二次罹患者)に感染した場合のみ異常な症状をもたらします。SCP-1008-JP-Bの初期症状はSCP-1008-JP-Aのものと同様ですが、発症から50時間程度が経過した場合でも“要素”の欠落が起こることはなく、代わりに二次罹患者は一次罹患者から欠落したものと同じ“要素”を新たに獲得することになります。SCP-1008-JPは感染後4日程度で死滅しますが、その後も一次罹患者から欠落した要素が復元されることはなく、また二次罹患者が獲得した要素が消滅することもありません。なお、一度SCP-1008-JPに感染した経験のある人物は、再度感染した場合には発症しないことが明らかになっています。

補遺: SCP-1008-JPは大日本帝国陸軍特別医療部隊(通称“負号部隊”)への攻撃が行われた際、当該団体の研究施設から押収されたものです。“負号部隊”内部ではSCP-1008-JP-A及びSCP-1008-JP-Bにそれぞれ“天若日子ア メ ノ ワ カ ヒ コ”、“阿遅鉏高日子根ア ヂ ス キ タ カ ヒ コ ネ”というコードネームが与えられていたことが確認されています。制圧された研究施設の元指揮官であった███の証言によると、SCP-1008-JPの開発目的は特定の個人が保有する異常性を他の多くの対象に移植し、異常兵力の量産を図ることでした。事実、“負号部隊”によって行われた臨床実験の成功例は通称“妖怪大隊”2に編入される場合もあったことが明らかになっています。しかしながら、SCP-1008-JPにより欠落・獲得される要素を人為的に選択することが不可能であったため、財団によって押収された際には本格的な実用化は未だ為されていませんでした。

特筆すべき点として、“負号部隊”がSCP-1008-JPの開発に着手したと思われる1940年代は人類がウイルスの可視化に成功して間もない時代であり、そのためウイルスの性質や遺伝方法に関する知識は極めて限定的なものに留まっていました。そのため“負号部隊”は何らかの異常な手段によって得た情報を元にSCP-1008-JPの開発を行っていたと見られていますが、開発に関わっていた主な研究者の多くが攻撃の際に自害・逃亡を行ったため、その詳細は明らかになっていません。なお、施設から逃亡した“負号部隊”研究者はいずれも要注意人物に指定されており、現在も捜索が続けられています。当該人物の名簿は別途資料を参照してください。

実験記録1008-JP: 以下はSCP-1008-JPに対して行われた実験の一部の記録を抜粋したものです。

実験記録003 - 日付19██/08/11

一次罹患者: D-71832

二次罹患者: D-110561

実施方法: 一次罹患者の“要素”を脱落させ、その後体内から発生したSCP-1008-JP-Bを二次罹患者に感染させる。

結果(一次罹患者): 実験直後は特に変わった様子は見られなかったが、その後の調査の結果一次罹患者が財団雇用以前に獲得していた心理学関連の知識を喪失していることが明らかになった。

結果(二次罹患者): 元来有していなかった心理学関連の知識を新たに獲得していることが明らかになった。対象はこれらの知識について「気がついたら覚えていた。いつ学んだのか分からない」と述べた。

分析: SCP-1008-JPが着脱させる“要素”に知識が含まれていることが明らかになった。- 北川博士

実験記録005 - 日付19██/08/28

一次罹患者: D-9203

二次罹患者: D-13600

実施方法: 一次罹患者の“要素”を脱落させ、その後体内から発生したSCP-1008-JP-Bを二次罹患者に感染させる。

結果(一次罹患者): 発症から53時間が経過した時点で、対象は言語を理解する能力を喪失した。

結果(二次罹患者): 異常な変化は見られなかった。

分析: 既にその“要素”を保持している被験者にSCP-1008-JP-Bを感染させた場合、新たな“要素”の獲得は起こらないということだろうか?本実験で得られたSCP-1008-JP-Bは追加実験のために冷凍保存する。- 北川博士

実験記録006 - 日付19██/09/13

一次罹患者: なし

二次罹患者: D-132(英語話者)

実施方法: 実験009でD-9203から得られたSCP-1008-JP-Bを二次罹患者に感染させる。

結果: 対象は一時的に困惑した素振りを見せたが、その後日本語で会話を行うことができるようになった。後に行われた調査で、現在の対象は思考言語として日本語を用いている可能性が高いと判断された。

分析: 対象が獲得した“要素”、つまりD-9203が喪失した“要素”は思考言語としての日本語であったらしい。実験009での考察は正しかったようだ。また、日本語を思考言語とするということは則ち“思考言語としての英語”という“要素”を喪失することでもあるという点には注目すべきだろう。SCP-1008-JP-Bは“要素”を単純に追加するだけではなく、何らかの調整を行っている可能性が高いと考える。- 北川博士

実験記録010 - 日付19██/10/22

一次罹患者: D-2001

二次罹患者: D-11020

実施方法: 一次罹患者の“要素”を脱落させ、その後体内から発生したSCP-1008-JP-Bを二次罹患者に感染させる。

結果(一次罹患者): 発症後48時間が経過すると、対象の右腕が壊死し始めた。53時間が経過した時点で右腕の細胞は完全に死滅した。

結果(二次罹患者): 発症後52時間が経過した時点で、対象の胸郭中央部から一次罹患者の右腕と外見的に類似する第三の腕が出現した。新たに出現した腕は血管・神経・骨格・筋などが被験者の身体と正しく接続されておらず、実験終了後に切断された。

分析: 身体の部位も“要素”の範疇に含まれるようだ。また、必ずしも整合性のとれた形で“要素”の獲得が行われるわけではないらしい。- 北川博士

実験記録015 - 日付19██/01/01

一次罹患者: D-631

二次罹患者: D-39445

実施方法: 一次罹患者の“要素”を脱落させ、その後体内から発生したSCP-1008-JP-Bを二次罹患者に感染させる。

結果(一次罹患者): 発症後51時間が経過した時点で対象は突然死亡した。検視の結果大脳の一部と小脳の全部、及び[編集済]が消失していることが確認された。

結果(二次罹患者): [削除済]。適切に処理された。

分析: [削除済]

実験記録020 - 日付19██/3/10

一次罹患者: なし

二次罹患者: D-91180

実施方法: “負号部隊”の研究施設内で保存されていたSCP-1008-JP-Bを二次罹患者に感染させる。

結果: 実験終了直後は特に異常な変化は見られなかったが、後日対象が実験用の隔離房から消失していることが明らかになった。捜索の結果、サイト-8191から約30km離れた農道で対象の死体が発見された。検視の結果、対象の死因は少なくとも600m以上の高度からの落下であると断定された。

分析: 状況から判断するに、対象が獲得した“要素”は瞬間移動、或いはそれに類する能力であったと推定されます。- 辻研究員

20██/██/██追記: 20██年の日本生類創研に対する潜入調査3の際に得られた資料の中に、SCP-1008-JPと極めて類似した特徴を持つ異常オブジェクトに言及したものが含まれていることが明らかになりました。“負号部隊”の日本生類創研への関与は以前から疑われており、財団による攻撃から逃走した“負号部隊”関係者が日本生類創研に合流した可能性が指摘されています。

以下は実際の資料の抜粋です。

V-716-P8管理文書

分類 特異ウイルスV-P型

起源 V-715-P8V-382-U5T-036-F6SARS coronavirus

開発者 “赤井”、“山城”、“鳥井”

培養方法 従来のV-P8と共通の培養法を用いてよい(Homo sapiensの生体細胞を用いるのが好ましい)。

利用許可 不要。

性質 V-716-P8は他のV-P8同様、生物が持つ特定の性質を移し替える特性を保持する。従来のV-P8とは異なりHomo sapiensのみに留まらない多くの動植物を宿主とし得るため、生体開発のためのツールとして高い利用価値がある。

V-716-P8を利用して開発された生体の例 P-011-C3B-200-S9V-336-T7I-017-N3 他

漏洩時の対処 直ちに施設を放棄し、重要被験体と研究員に抗V-P8剤を投与せよ。しかる後は「財団」、あるいは「連合」、あるいはそれに準ずる機関が対処するに任せて構わない。

管理担当者 上級研究員"A"

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