SCP-1030-JP
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アイテム番号: SCP-1030-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1030-JPはサイト-815█の標準小動物収容室内にて飼育用水槽に収容して下さい。飼育方法はLigia exoticaと同様ですが、水場の作成及び定期的な清掃には水道水ではなく、薬品等で汚染されていない自然由来の海水を用いて下さい。水槽は最低二つを用意し、水槽一つ毎に10匹を飼育して下さい。繁殖行動が見られた場合、妊娠した個体は新しい水槽に隔離し、新たに生まれた個体は特に実験上の必要が無い限り焼却処分して下さい。いかなる場合においてもSCP-1030-JPの総数を百匹以上にしてはいけません。

野生のSCP-1030-JPの群体は可能な限り早く破壊しなければなりません。財団は必要に応じて海上保安庁やその他の海洋研究機関と連絡し、偵察衛星を駆使してSCP-1030-JPの生息地の追跡と調査を試みます。担当エージェントは定期的な沿岸の水質調査を実施し、不自然な水質の改善が為されていないか調査する必要があります。発見された生息地の付近にはSCPS”うみねこ”を中心とした機動部隊ろ-12"海鳥船団"が速やかに派遣され、対象の無力化と適切なカバーストーリーの流布が行われます。

説明: SCP-1030-JPはフナムシ(Ligia exotica)の亜種である体長40mmの甲殻類です。基本的な身体構造は標準的なフナムシと差異がありませんが、人為的な遺伝子操作の痕跡があります。確認された異常性は下記の通りです。

  • 耐衝撃性に優れたコロイド分散体1を内部に備蓄できる外骨格
  • 口内に新たに生成された、Thunnus orientalis2に酷似したイオンチャネル3とポンプを持つエラ。長時間の游泳を可能にする他4、デトリタスを濾過摂食する機能も果たす
  • 幅500μmの微小水路と、海水を汲み上げるペダル状の細胞構造を有する第六脚及び第七脚5。脚は他の個体の胴部とフック状の爪にて連結可能であり、汲み上げた海水は尾部から噴出される
  • 腸及び上述の水路内部に存在する網目状の生体超分子構造体。生殖器官付近にある未知の器官と直接接続されている

SCP-1030-JPは游泳により体内に海水を取り込み、濾過作用によって有機水銀、PCB、BHC、鉱油、マイクロプラスチック等のあらゆる海洋汚染物質を除去します。合成洗剤に含まれる有機リン等、通常の海洋にも一定量が存在する物質は、水質が海洋生物の生存に適した状態になるまで除去されます。濾物は生殖器付近の器官に一旦蓄積され、クチクラ内部の分子コロイドとして後述の擬態に用いられるか、未知のプロセスで無害化・分解されイオンとして排出されます。これらの有害物質が持つ毒性に対し、SCP-1030-JPは抵抗力を持つことが判明しています。

SCP-1030-JPは通常のフナムシとの遺伝的類似性から異種交配を行うことが出来、また上記したような異常性質を繁殖によって子孫に継承することが可能です。これは野生個体の駆除が困難な理由の一つとなっています。SCP-1030-JPは現在、石川県以南の本州~九州地方沿岸に幅広く生息していると考えられています。駆除を目指す財団の努力にもかかわらず、この分布域は徐々に拡大する傾向にあります。

SCP-1030-JPは海岸に数百~数万匹のコロニーを作って生活します。コロニー初期段階のSCP-1030-JP群は一見して標準的なフナムシのコロニーと差異はありません。コロニーは集団的知性を持っており、総数が百匹を越える毎に知性の水準は指数関数的に増大していきます。一万匹のコロニーが持つ知性はシャチ等の大型海生哺乳類に匹敵すると考えられており、群れで協力し天敵であるカニやチドリを撃退する他、食料や船舶を求めて海岸付近を約10ktで游泳します。

コロニーの総数が一万匹を越えると、コロニーは群れが全体を覆い尽くせるサイズの小型船6に取り付き、船舶に”擬態”する特性を得ます。この状態となった群れをSCP-1030-JP-Aと呼称します。擬態は夜間に行われ、クチクラの内部でコロイド状成分が凝集されて黒色の光沢を帯びると共に、個体が隙間無く船舶表面を覆い尽くすことで、SCP-1030-JP-Aの耐衝撃性は飛躍的に向上し、最大で200kN程度の衝撃に耐えられるようになります。

船体への取り付きが完了すると、SCP-1030-JP-Aは船体下部に全没型ハイドロフォイル様の水中翼を形成します。水中翼部分を担うSCP-1030-JP群は、第六脚及び第七脚のフックを用いてお互い強固に連結し、尾部から全個体が同時にハイドロジェットを行うことで高速推進を可能としています。現在観測されている最高速度は約54kt7です。SCP-1030-JP-Aは海上に存在するあらゆる人工構造物に対して激しい敵対心を持っており8、衝突によって航路標識や係留船舶を破壊する他、外洋にて小型船舶に激突し沈没させることもあります。沈没により拡散した燃料等は濾過によって無害化されます。付近の人工物をあらかた排除すると、SCP-1030-JP-Aは擬態を解いて元の生息地に戻ります。

擬態した船舶はその独特の外貌から容易に通常船舶との区別が可能であり、標準的な火炎放射器による処理で直ちに死滅・無力化することが判明しています。その為、SCP-1030-JP個体が確認されている海岸に木造の廃船を放置し、引き寄せられたSCP-1030-JPを無力化する方法が実施されています。

しかしながら、SCP-1030-JPの個体数の多さと異常な繁殖能力のため、これまでに約10%のSCP-1030-JP-Aが財団の捕捉を逃れ、外洋にて民間船との大規模なインシデントを引き起こしています。

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