SCP-1052-JP
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アイテム番号: SCP-1052-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1052-JPはサイト-81██に収容されています。SCP-1052-JPの食事、要求、カウンセリングなどはヒト型オブジェクト基本収容プロトコルに則って行われます。SCP-1052-JPの収容房および提供される物品に有機物は基本的には使用されません。SCP-1052-JPの狂暴化を防ぐため、SCP-1052-JPに関わる全ての実験はSCP-1052-JPの同意を得て行ってください。特にSCP-1052-JPが損傷を受ける、SCP-1052-JPが他実体に損傷を与える場合は詳細な説明を行ってください。SCP-1052-JPは実験への参加に拒否感を示すことが多分に予想されますが、SCP-1052-JPの意思を優先してください。SCP-1052-JPに職員および財団への不信感を与えることは今後の収容に多大な悪影響を及ぼします。

SCP-1052-JPの収容を継続して行うために肥大化したSCP-1052-JPを切除し、処分する必要があります。これは1年に1度、必ず行われることがSCP-1052-JPとの間に取り決められています。切除した部位は内側から破壊されない耐久度の金属製の箱に入れて密封し、可能な限り短時間で箱ごと熔解してください。

SCP-1052-JPの収容には独立した空調設備を使用した高気密の収容房が使用されます。またSCP-1052-JPの狂暴化に備え、液体窒素を使用した冷凍装置が設置されています。月に一度、装置のメンテナンスを行ってください。

説明: SCP-1052-JPは20██/█/██の時点で████kgの不定形の肉塊です。SCP-1052-JPには脳や神経が存在していないにも関わらず意思や感情を有しているように観察され、筋肉組織が存在していないにも関わらず動くことを可能としています。また目や耳などの器官は確認されていませんが、未知の手段により正確に外部を把握し、食事や呼吸を必要としているように振る舞います。SCP-1052-JPの摂食は物体を包み込むように行われますが、その分解、吸収のプロセスは不明です。SCP-1052-JPは有機物であるならばどのような物体でも吸収が可能なように観察され、摂食した物体の質量分、自身の質量を増大させます。SCP-1052-JPは発声器官が無いため発話は不可能ですが、日本語での筆記および五十音表を使用した文字による対話が可能です。

SCP-1052-JPは驚異的な回復能力を有しており、損傷は即座に修復され、分断された場合においても1つに統合することが可能です。分断されたSCP-1052-JPは全て同一の知能、記憶を有していることが確認されています。SCP-1052-JPを完全に終了させる方法は、高温での焼却、冷凍による細胞の破壊、強アルカリ性の水溶液などによる溶解など、回復能力を上回る損傷を与え続けることが有効であると判明しています。しかしながらSCP-1052-JPは自身の損傷や死亡する危険性を極端に忌避しています。そのような事態に遭遇したSCP-1052-JPは極めて狂暴になり、自身の安全の確保を優先して行動します。その行動はSCP-1052-JPの流動的な体質を利用した「濁流のような」と形容される暴力的なものです。SCP-1052-JPとの意思疎通が可能であることが判明する以前は、不用意な刺激による狂暴化および収容房の損傷、脱走が度々発生していました。

SCP-1052-JPは██県██市の██████大学病院から発見されました。発見のきっかけとなったのは、同病院から地元の警察に「数日の間に複数の医師が立て続けに行方不明になっている」という通報が行われたことでした。警察および病院に潜入したエージェントによる捜査が行われた結果、SCP-1052-JPが発見されました1。SCP-1052-JP確保の際に発生した人的被害および前述の行方不明の医師はカバーストーリー「極めて毒性の強い食中毒」により隠蔽されました。

補遺-1: 以下は██████大学病院内から発見されたSCP-1052-JPに関係していると推測される手紙です。

20██年█月██日


██████大学病院
██████████プロジェクト代表
██ ██ 様

███会   
████████


サンプルの返却とご提案の共同研究について


拝啓 時下ますますご清栄のこと、お慶び申し上げます。
さて、このたびは貴重なサンプルをお貸しいただき、誠にありがとうございました。また、██様を始め、皆さまの研究、そして今後の展望について興味深く拝見させていただきました。我々も新たな知見が啓かれたような心持ちです。

その上で、このようにお答えしなければならないのは大変心苦しいことではございますが、ご提案の研究については賛同および協力を致しかねます。我々は確かにサンプルから生命の神秘を垣間見ました。しかしながら、サンプルは既に人間とは別個の生命体として確立しているように思われます。その点については██様と同意見です。しかし、協議の結果、我々はサンプルがたとえ人間由来であったとしても、既に人間ではないそれを人間に転用するべきではないとの結論に至りました。特に、サンプルを製造、量産する点については否定的な意見が多数、挙げられております。
重ねて申し上げることになりますが、人間に転用するのならば人間であるべきである、というのが我々の最終的な結論です。

██様のご期待に沿えないこと、何卒ご理解賜りたく存じます。しかしながら、もしお困りのことがございましたら、医学の発展、躍進を望む同士として、相談に応じることは可能かと思います。

末筆ながら、██様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

敬具  



追伸
これは私、████████の個人的な提案です。今のままではサンプルがあまりにも哀れです。彼女を一つの生命体として扱ってあげてください。あるいは一思いに安楽死させてあげてください。██様は方法をご存じのはずです。██様が手を下せないのでしたら私の方で引き取りたいと思っています。
どうか、ご検討を。

██ ██医師は、SCP-1052-JPを発見するきっかけとなった通報の際に失踪が報告されている医師の1人です。また失踪が報告されている全ての医師は現在も発見されていません。手紙の内容および残された研究資料から██ ██医師を始めとした複数の人員がSCP-1052-JPの研究に関わっていたことが判明していますが、その研究資料の大部分は紛失し、全ての人員は前述の失踪者に含まれています。残された研究資料からはSCP-1052-JPはヒト臓器の代替として使用されるために研究されていたことが判明しています。██ ██医師がどのように要注意団体「███会」と接触したのかは不明ですが、前述の手紙の後に██ ██医師と「███会」の接触は確認できず、SCP-1052-JPの研究および発生に「███会」が関係していることは確認されませんでした。

補遺-2: SCP-1052-JPはサイト-81██に移送された際に収容を突破し、サイト内に流れ込みましたが、収容違反から約█時間██分後、機動部隊█-█("█████████")██隊員によって収容されました。██隊員はSCP-1052-JPとの接触により、SCP-1052-JPの知能および知識は想定されていたよりも高度であり、文字による会話が可能であること、SCP-1052-JPは自身の損傷について過敏に反応することを報告しました。██隊員の発見により特別収容プロトコルは大幅に改定され、以降SCP-1052-JPの収容違反は大きく減少しました。
以下はSCP-1052-JP再収容の後に行われた██隊員へのインタビュー記録です。

補遺-3: SCP-1052-JPへのインタビューにより、SCP-1052-JPは19██年██月██から19██年██月█日まで██████大学病院に入院していた██ ███氏の記憶を有しており、「病院に拉致された」と認識していることが判明しています。また自身の身体について「入院中に気付いたら変わっていた」、「医者に何かをされたのかもしれない」と主張しています。インタビューを元に再調査が行われ、SCP-1052-JPが主張する記憶は██ ███氏の来歴と一致することが確認されました。またSCP-1052-JPと██ ███氏の親族のDNAは高い確率で血縁関係であると示されています。病院の記録によると██ ███氏は末期の肝臓癌によって入院中に死亡しています。██ ███氏の遺骨を調査した結果、頭部のみ██ ███氏のものであると確認されました。

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