SCP-1065
評価: +7+x

アイテム番号: SCP-1065

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1065-1 ~ SCP-1065-4はそれぞれを個別に収容しなければなりません。収容には内部をほぼ真空に保った嫌気性チャンバーを用い、各チャンバーごとに最低一人のユーザーによって操作できる遠隔操作装置を備えてください。いかなる形態の文字で書かれた情報も、SCP-1065についての直接的な情報も含めて、SCP-1065の近傍に留めておいてはなりません。

SCP-1065の異常な特性のため、その内の1つまたはそれ以上の実体を真空収容室から取り出す必要が生じた場合は、湿度98%以上、気温21℃以下の環境内で扱わなければなりません。SCP-1065を取り扱うに当たっては、現状では完全な対危険物質防護装備の装着は必要ないとされていますが、ラテックス手袋などを用いて肌への直接接触を防ぐ必要があります。

説明: SCP-1065は東部スラブ語で書かれた4冊1組の本です。使われている言葉は1800年代早期ないし中期のもののようで、辺境地域の方言か言語の混淆と思われる部分があります。本の上部にアーチ状に書かれているタイトルを大雑把に訳すと「野放しにされた知識の危険性」となります。模造金で型押し装飾した赤い革で装丁されており、縁には火による損傷と水による損傷の両方がみられ、さらに中の紙には著しい変色(経年変化やカビなどによる変色・劣化)がみられます。これらの本は商業出版社によって製造されたもののように見えますが、著者、出版日その他の出版情報は記載されていません。

本の内容は一般教育、知識の拡散、(皮肉な話ですが)文字化された情報に反対する論文となっています。内容を構成する言葉自体は異常な特性を持っていないため、研究とクロスリファレンスのために完全な転記を済ませてあります(文書 1065-0011)。その異常な特性は誰かが1冊ないしそれ以上のSCP-1065と物理的に接触した際に発現します。接触を行った時点で、対象者はこの本の理念に賛成するようになります。この現象は接触者が実際に本の内容を読んでいなくても発現します。その効果は初めは大まかな「理解」や「穏やかな同意」といったレベルのものですが、対象への暴露が長引くにつれて本に記載された行動指針への献身の度合いが増していき、ついには既存の統治機構や教育機関に対する暴動の扇動、公開されている文字情報の破壊・毀損活動、公共のための文書の保管施設(図書館や書店など)の破壊といった極端な状態へと達します。

この効果は対象者とSCP-1065との物理的接触が絶たれれば徐々に薄れていきます。効果の消滅に要する時間は1分間の継続的な物理的接触に対しておよそ26時間です。

SCP-1065の第二の効果はSCP-1065実体の自己発火であり、これらの書物が1か月以上にわたって使用されないでいると発生します。SCP-1065実体は自身が作り出した炎によって損傷を受けることはありませんが、他の方法によって発生した炎に対しては(自己発火能力を発動している時ですら)脆弱であり、またその他のあらゆる種類の損傷も通常通りに受けます。自己発火能力は湿度95%以上、気温23.9℃以下の環境では発動できず、また酸素濃度が非常に低く燃焼が起こらない環境においても同様です。なお、自己発火で生じた炎は通常の手段で消火することが可能であり、その発生源を除けば異常な特性は見受けられません。

補遺: 近年復元された記録により、東ヨーロッパの各所で発生していた一連の図書館・大学における不可解な火災は、それらの施設がSCP-1065を入手しており、いずれも入手からおよそ1週間後に火災が発生していることから、SCP-1065によって説明づけることができました。SCP-1065はソ連崩壊のすぐ後に起きた[データ抹消]政府議事堂の火災において発見・収容されたもので、それ以前のこの書物の送付記録は失われており、火災で破壊されたものと考えられていました。K████博士はこのオブジェクトの前歴を突き止めた上、SCP-1065の各実体を一緒に保管すると自己発火を起こすまでの期間が著しく短くなること、さらにSCP-1065実体の付近に文字化された情報が存在している場合はその期間がさらに短くなることを発見し、その精勤に対して表彰を受けました。

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