SCP-1080-JP
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SCP-1080-JP

アイテム番号: SCP-1080-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: SCP-1080-JPはサイト-8137の、より重点的な耐震設計が施された低脅威物品収容庫へ、金具により固定された状態で保管されます。口部は硬化ガラスを用いて密閉され、定点カメラによりSCP-1080-JP内部を監視します。SCP-1080-JP-aがSCP-1080-JPから流出した場合、SCP-1080-JPの転倒が原因であるなら口部を上方へ向け、流出を停止させます。

SCP-1080-JP-Aより回収可能な物品のすべては、適切な処理を経て別個の収容室に保管されます。

説明: SCP-1080-JPは内底が異常空間(以下、SCP-1080-JP-A)に接続している、直径16cmのステンレス製調理鍋です。外側面の赤の塗装が剥げかけており、外装に窪みや擦り傷が確認されていますが、重大な損傷はありません。

SCP-1080-JP-Aの空間構造は3次元ユークリッド空間に基づいています。その広大さから全体容量の計量が困難であり、現在所定範囲内のみの探索が行われています。SCP-1080-JP-Aでは接続地点から下方に対し、微弱な引力が確認されています。なお、SCP-1080-JP-Aは無限の空間であるという説が浮上しています。

SCP-1080-JP内底から高さ約4cm程度、及びSCP-1080-JP-Aは非透明性の液体(以下、SCP-1080-JP-a)で満たされています。SCP-1080-JP-aはニワトリ(Gallus gallus domesticus)の卵白及び卵黄、水、塩化ナトリウム及び寸断された肉用品種ニワトリ個体の胸部、タマネギ(Allium cepa)の球根からなる混合物です。SCP-1080-JP-aは一定温度で加熱されていますが、卵白及び卵黄の固形化は一定まで進行した段階で停止しています。SCP-1080-JP-aの容積をSCP-1080-JP内部から減少させた場合、SCP-1080-JPはSCP-1080-JP-aの容量を回復させます。このとき内底側より水流が確認されるため、SCP-1080-JP-aの発生はSCP-1080-JP-Aに起源を持ち、流出する形で容量を補填していると考えられます。

また、SCP-1080-JP-Aには複数の物体(以下、SCP-1080-JP-b)が存在し、徐々に沈降していきます。SCP-1080-JP-A内のSCP-1080-JP-bは経年劣化しませんが、これがSCP-1080-JP-A及びSCP-1080-JP-aの作用であるかは判明していません。SCP-1080-JP-bの多くは外部から投入されたと考えられます。しかし、全長がSCP-1080-JPの口部直径を越えるものも存在し、SCP-1080-JP-bがSCP-1080-JP-A内部で生成される可能性も推測されています。


以下、調査が完了したSCP-1080-JP-bの一覧です。探索機器が到達した順に記述されます。これらの他にもSCP-1080-JP-bは確認されていますが、探索機器の範囲外であるため、調査は保留されています。なお深度とは、SCP-1080-JPとSCP-1080-JP-Aの接続地点からの距離を示しています。

深度10.72m SCP-1080-JP-b-1: 現在3m程度の楕円球状硬質物体

物体の外壁は純白であり、探査機による非破壊検査では内部は空洞と判断されています。内部からは音、振動が不定期的に発生します。これらは日本文化圏で自然に発生する生活音や微振動に酷似しており、具体例として調理や掃除、複数の人間の足音や発話に酷似しています。より詳細な内容の判別はできず、外壁により妨害されています。時間経過により、徐々に巨大化しています。

深度13.34m SCP-1080-JP-b-2: ナップサック

既製品ではなく、ハンドメイドの製品と思われます。文房具、幼児向け玩具、スマートフォン、アルバムなどが入っていました。

深度55.36m SCP-1080-JP-b-3: 業務用ポリエチレン袋

ノコギリ、かなづち、包丁、ノミなど複数の道具類と、2セット分の衣服と布類が入っていました。衣服は男性用が1セット、女性用が1セットで構成されています。道具類には後述するSCP-1080-JP-b-4の血痕が、また布類には後述するSCP-1080-JP-b-7の血痕が付着しています。

深度61.25m SCP-1080-JP-b-4: 日本人女性の死体

SCP-1080-JPの口部直径を下回るよう部位ごとに分割/解体されています。血液の多くを喪失していますが、首下の痕から死因は窒息であると診断されました。また、断面の特徴は統一されています。分析の結果、三嶋 光保氏(死亡時42歳)と特定されました。

深度73.89m SCP-1080-JP-b-5: ポリエチレン製フィンバッグ

破壊された状態の電話機、ラップトップ、スマートフォンが入っていました。これらはバッグに入れた後に、道具を用いて破壊されたと見られています。

深度86.47m SCP-1080-JP-b-6: アルコール飲料

数十本の瓶、缶であり、多くが未開封のままです。基本的に製造日は連続しています。探索機器の範囲外にも同様の物体が確認されています。

深度123.85m SCP-1080-JP-b-7: 日本人男性の死体

SCP-1080-JPの口部直径を下回るよう部位ごとに分割/解体されています。頭部の打撲痕から、死因は頭部損傷と推定されています。SCP-1080-JP-b-4と比較して、喪失した血液量が抑えられています。また、断面には2パターンの特徴が見られます。分析の結果、三嶋 悠也氏(死亡時45歳)と特定されました。


SCP-1080-JPは2018/7/17、██県███市の放棄された給水塔にて回収されました。発見当時、SCP-1080-JPが横転していたために███LのSCP-1080-JP-aが放出され、給水塔の限界容量を突破、外部へ噴出していました。

同給水塔には三嶋 由紀氏(死亡時15歳)の死体が内在していました。死因は転落による頭部外傷及び全身打撲と推定され、水がない状態の給水塔へ転落したことから自殺と考えられています。死因となった外傷とは別に、死体頭部には直径16cmの円形の圧迫痕、また微小なアザが身体の複数個所に存在していました。なお、発見時点で死体は死後数時間が経過していると診断されましたが、後の調査で由紀氏が最後に目撃されたのは2018/7/10であることが判明しています。死体は回収、冷凍保存されましたが、飛散した脳の一部が現在も発見されていません。


補遺: 由紀氏は2018/7/10時点で近隣の郵便局に立ち寄り、便箋と荷物の郵送を依頼していました。宛先は██県███市に在住していた川畑 百奈氏(当時15歳)であり、由紀氏とは友人関係にありました。財団が確保に向かったところ、百奈氏は既に失踪していました。空白期間に超常団体と接触した可能性を含め、以降も捜索を継続します。

郵便物は百奈氏の住居に残されており、回収は完了しています。


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