SCP-1102-JP-RE 達磨の業は輪廻する
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発見時の様子

アイテム番号: SCP-1102-JP-RE

オブジェクトクラス: Safe Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1102-JP-REはサイト-81██の隔離モニタリングルームに収容され、各種センサーによって24時間体制で監視されます。センサーの値に許容範囲を越える変動が確認された場合、監視担当者は直ちにサイト管理官に連絡して下さい。SCP-1102-JP-REを用いた実験は、サイト管理官の許可があるまで延期されています。

説明: SCP-1102-JP-REは達磨落としの玩具です。達磨の顔が描かれたパーツ1個(サイズ約5×5×6cm)、円柱形のパーツ5個(サイズ約5×5×3cm)、および付属の木槌(サイズ約5×15×3cm)から構成されます。素材は一般的な木材、および塗料であり、材質には特筆すべき点はありません。各種年代測定の結果、制作時期は約350年前と判明しています。

SCP-1102-JP-REの異常性は、人間の手で達磨落としが行われ、完遂した瞬間に発現します。詳細な発現条件は以下の通りです。

1. 円柱形のパーツ5個を全て積み重ね(順番は関係しない)、達磨の顔が描かれたパーツをその上に置く。
2. 付属の木槌で円柱形のパーツを横方向へ叩き出し(順番は関係しない)、上に積まれているパーツを崩すことなく落下・着地させる。
2(条件A). 1回の打撃で叩き出さなければ、異常性は発現しない。
2(条件B). 使用者が途中で交代した場合、異常性は発現しない。
3. 2.を繰り返し、達磨の顔が描かれたパーツを落下・着地させる。

発現条件を完遂した瞬間、SCP-1102-JP-REから半径5m以内に存在する使用者以外の人間(以下、対象者)は、第1~5頸椎が分断された状態でSCP-1102-JP-REの半径1m以内に転移します。結果、対象者は頸椎損傷による呼吸筋の麻痺によって死亡します。頸椎の転移位置については、異常性発現時の円柱形のパーツの位置と関連があると研究班は考えており、原理解明のためさらなる実験が予定されています。インシデント1102-JP-REを受け、第█回以降の実験は延期されています。

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第█回実験時、異常性発現時のイメージ図。パーツと頸椎の位置に注目

SCP-1102-JP-REの回収地点は、青森県██群██村で農業を営む██家宅です。201█/██/█、██家からの「母が突然倒れて意識を失った。周囲に骨のような物体が散らばっている」という通報を受け、救急隊員や警官に偽装したフィールドエージェントが現場に急行、通報主の██氏(37)から聴取を行ったところ、SCP-1102-JP-REの発見に至りました。

インタビューログ-1102-JP-██: 日付201█/██/█

インタビュアー: エージェント・戸神(警官に偽装中)

対象: ██氏(方言部分は標準語に置換済)

〈前略〉

██氏: あの、私にも、何がどうなっているんだか。あの血塗れの骨みたいな物は、やはり母の?

エージェント・戸神: 落ち着いて下さい、██さん。そちらは鑑定中です。倒れられる前、お母様はどこで何をなさっていましたか?

██氏: 座敷で三男の██と遊んでやっていましたよ。ほら、あの達磨落としで。

エージェント・戸神: 失礼、あの達磨落しは、この家にあった物ですか?

██氏: へ? ええ、そうですよ。1ヶ月ぐらい前、母が蔵から出してきたんです。何でも、ご先祖がさるお寺から頂いた、大層古い物だそうで。それで、これなら孫に根気を付けるのに丁度いいと言って。

エージェント・戸神: 根気、ですか?

██氏: はあ、その、██の奴、飽きっぽい性格でしてね。何をやっても長続きしなくて。私や妻は子供なんてそんなもんだと気楽に構えていたんですが、昔気質の母は「このままじゃ将来が心配だ」と言っとりまして。そこであの達磨落しを、██に「これは病気を治す達磨だ。最後まで崩さずに落とせば、婆ちゃんの腰痛が良くなる」と言って与えたんですよ。

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SCP-1102-JP-REの保管に用いられていた箱

エージェント・戸神: そういった謂れがある品なのですか?

██氏: いやいや、母の作り話ですよ。箱に病気退散とか書かれていたので、思い付いたんでしょうなあ。

エージェント・戸神: なるほど。しかし、██君はそれを信じた?

██氏: ええ、婆ちゃん想いな子なんですよ。それ以来、来る日も来る日も、木槌を握り締めて。いつも途中で崩しちまうんですが、何度失敗しても諦めなくて。あの子にあんな根気があったなんて、驚きましたよ。そんな孫を、母はよく側で応援していました。「真横から一気に叩くんだよ」とか言って。

エージェント・戸神: もしや██君は、今日初めて達磨落しに成功したんでしょうか?

██氏: ええ、そうなんです。「できたよ、お祖母ちゃん!」という██の声がして、どれどれと見に行ってみたら、母が倒れていて、白目剥いて、泡吹いて。その横で、██がきょとんとした顔で「お祖母ちゃんどうしたの?」って。██の奴、やっとやり遂げたっていうのに、どうしてこんな。ああ、すいません、関係ないことを長々と。

〈後略〉


付記1: ██家の関係者にさらなる聴取を行ないましたが、SCP-1102-JP-REに関する情報は得られませんでした。聴取後、彼らには適切な記憶処理が行われ、カバーストーリー「急性心不全」が適用されました。

付記2: SCP-1102-JP-REの保管に用いられていた箱に描かれたマークは、仏教禅宗のごく小規模な一派である██派の宗紋と判明しています。研究班はSCP-1102-JP-REの起源と関係があると考えています。██派は神仏習合的な教義で呪術的性格が強かったとされていますが、明治時代の廃仏毀釈運動で断絶したため不明な点が多く、現在調査中です。

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