SCP-1155-JP
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アイテム番号: SCP-1155-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: すべてのSCP-1155-JPは標準的なSafeクラス物品用ロッカーに保管します。新たにSCP-1155-JPが生成され次第、同様に保管します。保管されているSCP-1155-JPの周囲10mの範囲に"トムとジェリー"が記録された媒体を持ち込むことは禁止されます。

SCP-1155-JPの情報はセキュリティクリアランスレベル2以上の職員に限定されます。ビクター博士はSCP-1155-JP-Aであるものの、オフィスに留まり監視されることを条件として当オブジェクトの研究の継続が許可されています。

説明: SCP-1155-JPは異常な影響を受けた"トムとジェリー"1の記録媒体です。ほとんどの場合、SCP-1155-JPはオリジナルの"トムとジェリー"より収録時間が短く、比較して10%から40%の長さです。これはSCP-1155-JPに収録された"トムとジェリー"がオリジナルよりも早期に終了することに起因しています。

SCP-1155-JPに記録された"トムとジェリー"の主人公である猫のトムと鼠のジェリーは、原作のストーリーに沿って行動します。しかし、トム及びジェリーが死亡する、またはそれに繋がるようなダメージを負う描写が発生した際、当キャラクターはコメディ的な回復をせずに死亡します。その後、画面が黒くフェードアウトした後に再生が終了します。終了後、SCP-1155-JPは周囲5m以内のトムとジェリーを記録した媒体と、オブジェクトの視聴者に影響を及ぼします。

SCP-1155-JPの再生終了時、オブジェクトの周囲5m以内にあったトムとジェリーの記録媒体は、オブジェクトと同様の異常性及び拡散性を入手します。このため、影響を受けた記録媒体もまたSCP-1155-JPとして指定されます。SCP-1155-JPが伝搬する範囲は、読み取り可能なメディアでトムとジェリーが収録されているものに限られます。なおトムとジェリーに関連するテレビ放送等を受信している機器や、インターネットストリーミングを再生している機器は影響を受けません - 外部との通信を必要とせずにトムとジェリーが再生可能である記録媒体に限られます。

SCP-1155-JP-Aと指定されるSCP-1155-JPを視聴した人物は、永続的に外傷に対しての耐性を獲得します。SCP-1155-JP-Aは身体の切断/圧砕/刺突等に対し、人間の身体機構を逸脱した反射運動や瞬間的な柔軟変形で対応します。これらはトムとジェリーシリーズの表現をなぞる傾向があります。

これまでに確認された例

  • 銃撃に対して、弾道と重なる部分に貫通孔を形成し銃弾を避けた。孔の形成に際して出血はなく、断面はスムーズであった。被験者は体に力を入れるような仕草の後に元の状態に復帰した。
  • 頸部、胸部、腰部の切断攻撃を、体の一部分の自発的な除去あるいは放棄によって回避する。この自切に際して出血はなく、自切面はスムーズであった。被験者は細かい部位に分割されたが、攻撃が終了すると各部位は融合し元の状態に復帰した。
  • 致死毒を摂取させた際、被験者の顔面は青などランダムに変色したものの、それ以上の反応は見られなかった。数秒後元の状態に復帰した。
  • ミーム殺害エージェントの適用 上層部の決定により、この措置は実行に移されなかった。

現時点では、SCP-1155-JP-Aの無力化には至っていない。まだ試していないとすれば自然な老衰か、それかミーム接種ぐらいだろうか。上層部がミーム接種実験を中止させた時、実験に使用していたDクラス職員も引き取られてしまった。あのDクラス職員はミーム接種によって実験に従順になっていたのだから、同じようにミーム接種によって終了出来ると踏んで提案したのだが。まぁ、ミームの取り扱いは私のような下位の職員に任せられるものじゃないのだろう。 - ビクター博士

実験記録群

メモ: SCP-1155-JPと原作のストーリーとの違いを調査する目的での連続視聴実験。

フォーマット

タイトル: 視聴したトムとジェリーのタイトル

原作: 原作のストーリーの流れを簡略化して記述する。

SCP-1155-JP: SCP-1155-JPのどの場面でトムもしくはジェリーが死亡したか、その付近の映像が原作とどう乖離しかたを記述する。

付記: 気付いたことを記述。単なる視聴の感想も記述する。

実験1

タイトル: 命の恩人(The Bodyguard)

原作: ジェリーは野犬捕獲トラックに捕らわれた犬のスパイクを助けます。スパイクはジェリーに友情を宣言し、トムとジェリーの攻防戦はスパイクの介入によってジェリーが優位を保ちます。最終的にスパイクは再び野犬捕獲トラックに捕らわれ、ジェリーが再度救出しようとしますが、成功せずにフェードアウトします。

SCP-1155-JP: 初期のスパイク救出段階で、トラックから転がり落ちたスパイクの体にジェリーが押し潰されます。明確な死体は描写されず、困惑した表情のスパイクとその腹部から滲み出る血液の描写の後、映像は終了します。

付記: ダメージが及んだ時点でジェリーに関係するコメディ的な演出が全て取り除かれ、現実が作中に及んだようだった。このオブジェクトが持つ異常性(不死性を視聴者に与える)は、コメディ要素と現実要素を交換していると考えられるのだろうか。となると、何度も視聴を重ねることで観測されていなかった異常性も発露するかも知れない。 - ビクター博士

実験2

タイトル: ネズミ捕り必勝法(Mouse Trouble)

原作: 「ネズミ捕り必勝法」と題された本を入手したトムが、本の内容に従ってジェリーを捕えようとします。すべての作戦は裏目に出るか、ジェリーの対応能力によってトムの負傷に繋がります。最終的にトムは家ごと爆破しますが、ジェリーにダメージを負わせるには至りませんでした。

SCP-1155-JP: トムはジェリーが勢い良く閉じた本によって顔を挟まれ、死亡しました。トムの歯が周囲に散乱し、ページは血に染まりました。

付記: 恐らく、ジェリーの攻撃がコメディ的、つまりデタラメな威力で、トムの耐久力は現実の猫と同等なのだと思う。でなければ、本に顔を挟まれたぐらいで死ぬはずがない。途中、トムに針を何本か刺してノコギリで切断するシーンがあるから、そこが描写される前に終わって良かった。

ジェリーはトムを殺したと言えるわけだが、その後ジェリーは原作と同じく巣穴に走って逃げた。トムの死亡後もジェリーの行動は変わらないのか、それとも単にトムが死んだことにジェリーが気付かなかったのかは分からない。 - ビクター博士

実験5

タイトル: 花火はすごいぞ(Safety Second)

原作: 7月4日の独立記念日をジェリーとニブルス(小さいネズミ)が祝うために行動します。ニブルスはダイナマイトを用いた派手な祝福を望んでいますが、ジェリーがそれを抑制します。トムの襲撃に伴ってジェリーはダイナマイトを黙認し、トムの撃退に成功します。

SCP-1155-JP: ジェリーはニブルスが所持していたダイナマイトを安全のために放り投げようとしましたが、間に合わずに爆発しました。煙が晴れた後のジェリーは頭部を欠いて死亡しています。

付記: ニブルスは頭部の吹き飛んだジェリーを見て、オリジナルよりも驚愕していたように思える。単に私の思い過ごしか。耐久性の無い二人は死んで、それで終わり。ニブルスにもジェリーを殺すつもりは無かったんだと思う。分からない。あの後どうなったのか気になるが、死んでも見る気にはならないだろう。もっとも、私は死ねないのだが。

恐らく私はカウンセリングを受けるべきなんだと思う。気付くと、原作のトムやジェリーが楽しく笑って追いかけあっているビデオを繰り返し見ている。SCP-1155-JPを見さえしなければ二人は仲良く喧嘩し続けるんだ。それか、見るストーリーを自分で選ぶことぐらいは許してくれるだろうか。申告してみよう。 - ビクター博士

実験9

タイトル: 淋しがりや(The Lonesome Mouse)

原作: 割れた花瓶の責任を家の主人に追求されたトムは、家から追い出されてしまいます。ジェリーはトムが居なくなったことを喜びますが、一日が経過する前に寂しくなります。ジェリーはトムと作戦を練ります。トムとジェリーは主人に見せるための偽の追いかけっこを展開し、最終的に絨毯の下のトマトをジェリーの死骸に見せかけることに成功します。ネズミ捕りの報酬として、トムは家に戻ることを許されました。

SCP-1155-JP: 序盤に花瓶が頭に落ちてトムは死んだ。

付記: これなら死なないと思ったんだ、最初の花瓶のことを忘れていた。あの花瓶さえなければあとはずっと平和なんだ。あの二人は仲良しだから、全部ただのじゃれ合いなんだ。二人があの世界で生きていくのに十分なコメディ性を、私は奪ってしまった。この話は本当に良いものなんだ。ジェリーがトムが居ないと寂しいことに気付く。トムだって同じことを思ってる。二人は息を合わせようと思いさえすれば最高のパートナーなんだ。

また原作の方を見よう。 - ビクター博士

実験10

タイトル: 天国と地獄(Heavenly puss)

原作: ジェリーとの戦闘で死亡したトムは、猫が天国と地獄どちらに行くのかを決める管理官と話します。「人生の限り迷惑を掛け続けたネズミに赦しのサインを貰わなければ、天国に行く資格は無い」と忠告されたトムは、1時間だけ現世に戻ることを許されます。ジェリーはサインすることに否定的でしたが、トムは説得を繰り返し、ジェリーのサインを貰うことに成功します。しかしその時点で1時間が経過していたために、トムは地獄に堕ちます。最終的にすべてがトムの見ていた夢だと判明し、安堵してジェリーに泣きつくトムと、身に覚えのない対応に困惑するジェリーが映されて映像は終了します。

これなら死なないはず - ビクター博士

SCP-1155-JP: N/A

付記: N/A

ようこそ██博士。あなたはSCP-1155-JPを編集中です。

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