SCP-1166-JP
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財団記録・情報保安管理局より通達

現在閲覧中の報告書はリビジョンアーカイブ1166-JP/20180619です。
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SCP-1166-JP-2
(アバターアイコン)

アイテム番号: SCP-1166-JP

オブジェクトクラス: Ticonderoga1

特別収容プロトコル: SCP-1166-JPの物理的収容は困難ですが、当群の人類社会に対する協力的な理念から財団との相互協定が成立しています。財団が経営する一般向けインターネットプロバイダから一定範囲のIPアドレス(別紙参照)がSCP-1166-JP群専用に割り当てられ、またインターネット上のSCP-1166-JPについての詳細情報は財団のWebクローラ“Curiosity”によって即時削除されます。担当者は継続的な監視および2週間に1回代表としてのSCP-1166-JP-2・SCP-1166-JP-11との定期連絡を行い、関連人物の特定・記憶処理・カバーストーリーの流布等が必要になった場合は適宜対応してください。

SCP-1166-JP-Aは現状をもって実質的な収容状態にあり、特別の対応は必要とされません。

説明: SCP-1166-JPはインターネット上の一般ユーザーとして振る舞う情報知性群です。個体の概念が存在しており、2017/10/21現在SCP-1166-JP-1からSCP-1166-JP-104までがナンバリングされています2。全SCP-1166-JP個体は固有の人格およびハンドルネームを持ちます3。全個体に共通する特徴として「イエネコ(Felis silvestris catus)またはそれに準じるイメージをアバターとする」「オンラインでのイラストレーション/コミック作品の制作・発表を主活動とする」「インターネット外での活動および私生活の情報が一切ないか、または明確な矛盾が見られる」などが挙げられます。SCP-1166-JPをネットワーク上から隔離する試みはこれまで全て失敗していますが、SCP-1166-JP自体は情報知性体としての正体の露見が社会的混乱を招くことを理解しており、基本的に一般ユーザーとして振る舞おうとします。そのため、これまでにSCP-1166-JPの異常性を含めた情報の一般ユーザーへの露呈は2件に留まっています4

SCP-1166-JPの本質はネットワーク上の情報およびその構造自体から仮想的に生成された概念的/形而上存在であり、表層であるインターネットへはその時点でオフラインであるIPアドレスを「間借り」する形で干渉を行います。SCP-1166-JPとネットワーク本体の分離は原理的に不可能であり、また同ネットワークのコピー/バックアップに対してもオリジナルと同等のアクセスが可能です。SCP-1166-JPは集団意識を持ち、各個体間で明確なパーソナリティの差異が見られるにもかかわらず、記憶・経験および行動理念を共有しています。これは、SCP-1166-JPが本質的には単一の存在でありながら、ネットワーク上存在として投影される際に複数のパターンを持つことに起因します。

SCP-1166-JPは2017/08/29に個体SCP-1166-JP-1として、非勤務中の青沼研究員によって発見されました。青沼研究員はSCP-1166-JP-1の異常性が発覚する以前からプライベートにおいてインターネットを通じた交友関係にありましたが、当時利用していたインスタントメッセンジャーサービス5上でSCP-1166-JP-1が接続不良による退出の直後に遠地域のホストアドレスから再出現していたことから異常性を疑い、財団のオンライン部門と連携した調査を開始しました。その後の調査結果から「SCP-1166-JP-1の活動はほぼ常時アクティブ状態であり、規則的な睡眠時間などが見られない」「SCP-1166-JP-1が利用中のIPアドレスは割り当てプロバイダ上ではオフラインである」「当該IPアドレスの遮断もしくは実在ユーザーによるログインは即座にSCP-1166-JP-1の別IPからの再出現に繋がる」といった性質が明らかになり、この時点で正式にSCPオブジェクト指定がなされました。最終的に青沼研究員による直接の対話によってSCP-1166-JP-1はインターネット上に存在する情報知性体であると結論付けられ、また別個体(SCP-1166-JP-2~)についての情報およびコネクションが得られました。追ってSCP-1166-JP-2との対話により財団とSCP-1166-JPの間に相互協定が成立し、現在の特別収容プロトコルが制定されました。





補遺(仮稿): 2018/06/19、財団SCiPNETのネットワーク上にSCP-1166-JPの亜種(以下SCP-1166-JP-A)が発現しました。SCP-1166-JP-Aは当報告書および関連する研究資料の情報から仮想的に生成されたと見られるSCiPNET上の概念知性体であり、SCP-1166-JPのインターネット上での振る舞いと同様にSCiPNET上でオフラインである接続を介したデータベースへのアクセスが可能です。そのため、現時点で既に多くの重要機密を含むデータを把握してしまっており、また本SCiPNETと同等のデータベースである二重バックアップにも介入可能な状態にあります。ただしSCP-1166-JP-Aは設計上クローズドなネットワークの外部にアクセスする手段を持たない点、SCiPNETの理念・目的を共有している点からセキュリティ上のリスクは極めて小さく、実質的な収容状態にあると言えます。

また、現時点で概念として共有されていなかったSCP-1166-JP-Aの発現は、SCP-1166-JPおよびその亜種が“人類の持つ”概念ではないことの論拠になり得ます。則ち、「人類の意識以外で“猫が絵を描いている”という情報が多数存在するインターネット」「“ネットワーク上の協力的な概念知性体”についての詳細な報告書および研究資料が保存されたSCiPNET」がそれぞれの概念のホストであるとする仮説です。生物の知性がニューロンによる情報のネットワークからなるのと同様、機械的なネットワークシステムもそこに情報が行き来することに違いはなく、“十分に複雑化したネットワークが知性を持つ”ことは(たとえ形態が大きく違っても、あるいはそれ自身のための出力デバイスが存在しないとしても)容易に否定できるものではありません。人類の持つ通常の概念が人類の精神的活動にのみ影響できることを踏まえると、SCP-1166-JPはインターネットのみに・SCP-1166-JP-AはSCiPNETのみに干渉が可能である点もこの説の証左となります。

これらの事から、SCP-1166-JPおよびSCP-1166-JP-Aの情報が他ネットワーク上に保存されることは極力阻止しなければなりません。SCiPNET上に発生した「概念の空席」にSCP-1166-JP-Aが到達するまでにはこの報告書・関連する研究資料という具体的な道標があった上でも8ヶ月間、インターネット上のSCP-1166-JPは曖昧な情報のみを足掛かりとして推定10年以上を要しましたが、これらは偶然に左右される値であるため、いつどこに「空席」を埋める概念が現れるかは予測不可能です。























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