SCP-1186-JP
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アイテム番号: SCP-1186-JP

オブジェクトクラス: Safe

特別収容プロトコル: 現在、SCP-1186-JPを含む山地一帯はサイト-8128に指定され、収容施設が建設されています。施設は気象庁の特別地域気象観測所として偽装し、警備員を配置して民間人の立ち入りを禁止しなければなりません。実験を行う際は投入物の材料及び形状、投入者、排出物の内容を実験記録に詳細に記述してください。

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SCP-1186-JP

説明: SCP-1186-JPは和歌山県██山に存在する、直径70cmの空洞です。空洞の地上部分から50cm下がった位置に異常な空間が発生しています。異常空間に侵入した一切の光・電磁波・音は吸収ないし歪曲されるため、目視や機器による底部の調査は困難です。SCP-1186-JPはポータル的性質を備えていると考えられており、掘削調査はオブジェクトの予期せぬ変異を招く恐れがあることから、無期限に凍結されています。

SCP-1186-JP内の異常空間に物体を投入した場合、一定時間後に投入物が地上に向かって射出されます1。多くの事例において、再出現した投入物には歯型や引っかき傷など、生物由来の損傷が見受けられます。一方、特定の物品を投入した場合、投入物とは無関係な物品が射出されることがあります。この時、SCP-1186-JPの半径10mにて樹木の形状変化や不明な音声の発生等、小規模な改変現象が併せて発生することが確認されています。詳細は実験ログ及び補遺を参照してください。

SCP-1186-JPは20██年9月██日、██山にて遭難していた██大学の登山グループによって発見されました。彼らは遭難中、オブジェクトを用を足す目的で使用しており、その際異常空間から射出された火矢によって大学生1名が負傷、辺り一帯にて小火騒ぎを引き起こしました。これが捜索隊の目を引いたことで、登山グループの発見に繋がりました。事後処理においてオブジェクトの異常性が判明したため、県警及び消防に潜伏していた財団エージェントが関係者に記憶処理を実施、火事についてはカバーストーリー”火の不始末”が適用されました。

その後の調査により、██山の麓に位置する█集落では「ムスビのほらあな」と呼称される、既存の寓話から派生したとみられる民間伝承の存在が確認されました。伝承の内容とSCP-1186-JPには一定の類似点が存在することから、財団は検証のための投下実験を実施しました。以下に伝承の要約を記載します。

今は昔、█村に住んでいた翁が、筍を取りに山に分け入ったときのことだ。道中、翁はぽつりと開いている奇妙な洞穴を見つけた。中を覗くと、底も見えないほどの真っ暗闇だ。しかしよくよく耳を澄ましてみれば、小さな啜り泣く声が聞こえてくるではないか。「ははぁ、さては間抜けなネズミでも落っこちたのだな」。心優しい翁は腹を空かせたであろうネズミのために、持参していた握り飯を穴に放り込んだ。すると突然、空洞内に大合唱が響き渡った。

”おむすびころりん すっとんとん おむすびころりん すっとんとん”

翁が驚きのあまり腰を抜かしていると、空洞の中から数え切れないほどの金銀財宝が飛び出してきた。翁は家族に知らせようと急ぎ山を下りたが、再び戻った時にはもう、空洞も宝も見当たらなくなっていた。それを見て孫がこう言った。「じさまが見つけたのは、きっと"ホラ穴"に違いない」。翁はまんまと一杯、ネズミに食わされてしまったのだ。


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